暴れん坊本屋さん:久世番子 暴れん坊本屋さん

作者:久世番子(くぜ・ばんこ)

ウンポコ

新書館

全3巻
(この2人に注目です!!)
番子さん(1巻〜)
ハチさん(1巻〜)
<追加情報:2006年3/31>
・2巻発売しました!! 相変わらず、本屋さんの裏話などなどを、面白いコミック形式で知っていくことができます!
・先生のサイン会時のエピソードも綴ってあります……というか、サイン会やってたんですね!?
<追加情報:2006年11/27>
・3巻発売……最終巻です!
・本屋さんの格闘をここまで描いた作品が他にあっただろうか!


 さて、今日紹介するコミックは、久世番子先生の描く痛快コメディコミックです。
 名前は
「暴れん坊本屋さん」
 名前の通り、本屋さんのコミックです。



 作者の久世先生自身が、作家でありながら本屋で働かれており、その経験を通じて本屋さんの裏側の話や苦労話、様々なエピソードを毎回描いています。
 登場人物のハチさんともども、毎回笑わせてくれる……しかし、本屋さんの様々な苦労も読み手に教えてくれる……そんな痛快コメディコミックです。



 これ、非常にオススメです。
 ぜひ買ってください!!



 さて、コミックの一部を通して、どれほどオススメなのか……紹介していきます。




 例えば、本屋さんの苦労…………。
 私たちが本屋さんに行くと、本にビニールカバーがかかっていますよね?
 あれ、本屋さんが「シュリンク」という袋詰め作業を行ったものなんです。
 毎日たくさんの本が入荷されるわけですから、その作業は大変。
 しかも、返品する本は、その「シュリンク」を取らなくてはならない。
 毎日のように繰り返す……とてつもない作業……。


 

 と、こんな感じの作業らしい……。
 私たちが知らない、本屋さんの苦労ですね。
 本当にご苦労様です。


 ……穴掘りと埋め戻しを繰り返す拷問……みたいですね……

 ちなみに、このコマの人物が、久世先生ご自身です。




 

 久世先生……それはマズいですよ(笑)




 他にも本屋さん……お客さんの対応もあるわけです。
 私たちも、本屋さんに、
 「●●って本どこ?」
 とか聞くときありますよね?
 でも…………


 

 タイトルを間違って言うどころか……

 お客「新聞に載ってたアレないか?」

 先生「『新聞に載ってたアレ』……」


 そんなの、この客の頭の中でも覗けなければ、分かるはずもない!

 この客の次のセリフは……


 お客「あんた本屋だろ、探してくれんか!?」

 先生『あなたの脳内に入れと?』(心の中)


 ……こんな無茶苦茶な客も来るそうです。
 私たちも、本屋に行く際には気をつけましょう。





 また本屋さんは、お客さんの買う傾向を見て、
 本を発注するわけです。
 需要の無い本ばかり揃えるわけにいきません。
 自分の店に来るお客は、何を求めてくるのか…………


 

 ハチさん「なんでこの店はこんなに

      マッチョや鬼畜系のBLの売れ行きがいいんだ!?」


 先生「知るかよ……」


 こうした、売り場担当者の悩みがあるわけですね。




 

 ハチさん「客が求めてるなら

      売り場担当として受けて立とうではないか!!

      追加発注ー!!!」


 例え自分好みの本でなくても、

 それがいかに濃いボーイズ・ラブ本だろうと……

 需要に応えるのが本屋さん…………




 なのに…………




 

 いざ並べてみれば…………
 その濃いボーイズ・ラブのコーナー充実振りに、


 お客「店員のシュミなんじゃない〜?」


 お客に応えたはずなのに、

 お客に陰口を叩かれる……そんな本屋さんのジレンマ……




 

 先生「ハチさん!?」

 先生「待って!!

    私ちゃんとわかってるから!!」

 先生「ハチさんが好きなのは

    『王子さまモノ』なんだってこと!!」




 

 先生「しかも砂漠の王子が好きで、

    売り場でひっそり王子さまフェアやったことも!

    ハチさんうれしそうに言ってたじゃん!!

    『王子さま話には8割の確率で

    オークションシーンがあって

    9割方受けが出品される』って……!!!」


 ハチさんも腐女子らしいです。
 けど、お客の求めていた『マッチョ・鬼畜系』ではなく、
 『王子さま』モノのボーイズ・ラブがお好きなようです。



 お客とすれ違う……そして誤解される……店員のジレンマ。
 売れる本と売りたい本は別物……ということらしいです。



 個人的に、このマンガではハチさんが好きです、私。




 他にも、発売日に本屋にその本がない……
 それには、ちゃんと理由がありました。
 私、この本で初めて知りました。



 簡単に言えば、
 本屋さんの実績に応じて、配本する量が決められてしまうらしく……
 たくさん本が売れる本屋に話題の本が多く流され、
 あまり売れない本屋には、そういった「売れ筋本」はあまり流されない……。



 つまり換言すれば……


 『でかい本屋ほど、売れる本が配本されるので、さらに儲かる!』


 元々大きいところほど儲かって、小さいところほど苦労する……
 なんだか、資本主義社会の現実を見せられている気になりますね。



 

 先生「ああ……今日もダメ。

    まだ靴下の中には本が入らないわ。

    取次さんも版元さんも、

    どうしちゃったんだろう……」


 だから、大きい店に欲しい本が配本されて、
 小さい店にはなかなか回してもらえない……こんな事情があるようですよ。





 と、久世先生のこのコミック……。
 本屋の苦労・裏話……これだけは守って欲しいマナーなどなど。
 本屋さんの事情を、本屋の店員の立場から非常に上手く描かれています。

 コミック自体、非常に面白くて笑えます。
 ぜひぜひ、本屋で見かけたら手にとって……そして買いましょう!!



 ……どこかの本屋では、久世先生自身がレジを売っている可能性だってありますよ。
 だって、先生自身本屋の店員なんですから。
 ……どこの本屋かは知りませんが……そう考えるとワクワクしますねえ。



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