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僕は友達が少ない
原作:平坂読 キャラクター原案:ブリキ マンガ版:いたち
MFコミックス アライブシリーズ
メディアファクトリー
現在6巻 |
(友達が少ない女子高生・中学生・シスターたち!!)
・三日月夜空(1巻〜)
・柏崎星奈(1巻〜)
・楠幸村(1巻〜)
・志熊理科(3巻〜)
・高山マリア(3巻〜)
・羽瀬川小鳩(2巻〜) |
こちらはMF文庫J『僕は友達が少ない』(著:平坂読、イラスト:ブリキ)のコミック版になります。2011年10月にアニメ化され、2013年1月からもアニメ第二期が決定されています(2013年1月からTBS、BS-TBSで放映予定)。スピンオフコミックなども出ている人気作となります。
大まかな内容を言ってしまうと、「聖クロニカ学園」に通う生徒たちの中でも、友達が少ない(というよりもいない)人達が、『友達を作るための部活』を創って……そしてその彼らの人間関係が……という内容です。
小鷹「俺の密かな悩み……それは、友達が少ない」
主人公の羽瀬川小鷹。面倒見もよく優しい性格なのですが、ハーフであるため髪の色がくすんでおり、笑顔も上手く作れない事から……周囲に不良だと思われて、浮いた存在となっていました。
そんな彼がある日、忘れ物を取りに教室に戻ったところ…………
誰もいない教室から談笑する声が聞こえます。
夜空「ええ〜? ほんとに〜?
あはっ、だったら嬉しいなぁ」
普段は不機嫌そうな顔、全身から不機嫌オーラを出し、誰かと一緒にいる事のない、三日月夜空が楽しそうに笑顔を浮かべて話をしているではありませんか。
小鷹「あれ? 待てよ。そういや誰と話してるんだ?」
しかし、教室には夜空しかいません。小鷹がそう思っていると、手にかけていたドアをつい思い切り開けてしまいました。
小鷹「も……もしかして、幽霊とか見えたりするのか?」
夜空ににらまれて、気まずい雰囲気。
小鷹は話を逸らすためもあってか、『幽霊が見えるの?』と聞いてしまいます。
何故なら、先ほどまで談笑していた夜空……ですが、その隣には誰もいないからです。
夜空「幽霊なんているわけないだろ。
バカかお前は」
小鷹「いや、でもさっきまで誰かと話して……」
小鷹に問われて、表情を一変させる夜空。彼女は観念するように言いました。
夜空「私は友達と話していただけだ」
夜空「エア友達と!!」
小鷹「………………ぇあともだち?」
夜空曰く、「言葉通りの存在だ。エアギターというのがあるだろう? それの友達版だ」。
夜空の隣りには、彼女にしか見えない(設定の)トモちゃんという友達がいるのだそうだ。遊園地に一緒に行けば、ナンパをされてしかたがない。トモちゃんを守るために、『脳内遊園地』で安全に2人で遊んでいるとの事…………
夜空「仕方なく脳内遊園地で我慢しているだけだ」
小鷹「エア友達に、脳内遊園地……だと……」
小鷹が心の中で強く思います。
『……駄目だこいつ……早くなんとかしないと……』
そんな事を思っていると、
夜空「何だその目は?」
小鷹「友達とお喋りしたいなら、リアルで作ればいいじゃないか?」
小鷹としては、まっとうな意見を述べますが…………
夜空「ぷっ、くくく……それができたら苦労はしない」
腰まで届く程の黒いロングヘアー。容姿は完璧ですが、それ以外は色々残念なのが、本作のメインヒロインの1人であるこの、三日月夜空です。
この後、小鷹と2人で「どうしたら友達が作れるか?」を色々考えますが、なかなか結論が出ません。
小鷹の「部活に入れば友達が出来るんじゃ?」という意見には、夜空が「2年の今の時期に入っても、チームワークを乱すだけだ」と受け付けません。
そのような中で…………
夜空「そうか、部活だ!!」
夜空は唐突に提案し、翌日の放課後、小鷹に話を持ちかけてきました。
つまり、「友達作りのために、新しい部活を立ち上げた」という事です。
小鷹「……って待て。今、『手続きが終わった』とか言ったな?」
夜空「ああ、「隣人部」だ」
まず、名称からして怪しい。いくらカトリック系の高校だからって、こんな適当な部を作ることが許されるのだろうか。夜空は、悪知恵と悪い方向の実行力がやたらと高く、学校側を言いくるめて、新たな部を創り上げてしまいました。
夜空曰く、
「『キリスト教の精神に則り、同じ学校に通う仲間の善き隣人となり、友誼を深めるべく、誠心誠意、臨機応変に切磋琢磨する』部活動だ」
という、小鷹が聞いても「うさんくさい」部活を1日の内に創ってしまったのです。
小鷹「んで、その隣人部? って結局何をする部なんだ?」
夜空「友達作りに決まってるだろう」
あっけらかんと言い放つ夜空に、呆れてしまう小鷹。しかも、この怪しい部活に、夜空はともかくとして、小鷹の名前まで勝手に入れられてしまっているという始末でした。こうして、物語の本編『隣人部』での「友達作り活動」が始まるのでした。
…………で、表向きには何を活動目的にしているのかすら不明な、この怪しい『隣人部』に、次々とやってくるヒロイン達。
たとえば、金髪碧眼の美少女、柏崎星奈。
彼女に至っては…………
星奈「頭脳明晰、スポーツ万能、そして見ての通り美少女。
神がオーダーメイドして創ったとしか思えない
完璧な造形美じゃない?
天の不平等を嘆く自由を与えるわ、庶民ども」
夜空「下品な乳牛のくせに」
星奈「あら貧乳が何か言っているわね」
そして、夜空と星奈は徹底的にそりが合いません。会えば会って、毎回毎回互いをののしり合ったりする状況に(ただ、傍目には仲良く見えなくもない……)。
ただ、夜空は性格が徹底的にサディスティックなため、星奈が毎回言いくるめられては、泣きながら部室を飛び出すのが日常的な光景になってしまいます。
星奈「……ぁぐ……あんたマジで性格悪いわね……
でもあたし、絶対この部入るわよ。
入部届けも持って来たんだから!」
夜空「ちっ」
入部の段階からメインヒロイン達が残念な感じ。
そして、メインヒロインが舌打ちです……
小鷹は『隣人部』に部員が入ったのだから、互いに友達になれば、それで目的達成じゃないかと言えば……双方からにらみつけられる始末。部の目的が置き去りにされています。
初期の部員がこんなある意味『残念なヒロイン達』ばかりのため……後から入ってくる部員(ヒロイン)達もベクトル的には全員が「残念」(そもそも、友達がいないという時点で、なんらかの問題を持つ生徒ばかり)。
理科「では先輩、ためしに理科と性行為でもしてみましょうか」
小鷹「ぶっ」
理科に『隣人部』の普段の活動について「具体的に何をするんですか?」と聞かれた夜空が、「友達作りに役立ちそうな事をする」と答えたところ、上記の突拍子もない提案をする……彼女もまた、あらゆるベクトルで変態……残念なヒロインです(汗) 自分で認めているように『理科、エロければなんでもいいんだと思います』。
理科「しかし、聞くところによれば、世の中には
セックスフレンド
というものがあるそうですよ」
夜空「ない! そんなものはない!」
普段はサディスティックで部員達を主導的にひっかきまわす夜空ですが、真に変態の理科だけはどうにも上手く対処できません(後、夜空は結構純情です)。
さて、こんな「残念なヒロイン達」が集う『隣人部』に、唯一(?)の男子部員としている小鷹ですが、彼には同じ学園の中等部に通う妹がいます。
小鳩「ふ……小鳩とは仮の名に過ぎぬ……
我が真名はレイシス・ヴィ・フェリシティ・煌
……偉大なる夜の血族の真祖なり……」
……本当に残念なことに、これが俺の妹です。
小鷹の妹は、とんでもない程の中二病でした。
さて、「友達が少ない」と言っていた小鷹ですが、かつて……10年前この町に住んでいた時(父親の仕事で引っ越しを重ねていた。高校には編入の形で、舞台となっている町に戻って来た)、たった1人だけ『親友と呼べる友達』がいました。
XX「オレの母さんが前に言ってた。
友達百人なんてできなくてもいいから、
百人分大切にできるような、
本当の友達を作りなさいって」
10年前の小鷹に、そう語ったかつての親友。
XX「たった一人だけでもお互いのことを、
誰よりも大切に思える友達がいれば、
きっと人生は輝かしいものになるだろうって」
小鷹はその親友の言葉を、10年経った高校2年生のその時でも覚えて……途中で思い出しました。
小鷹が時折思い出す、かつての親友とのキーワード。
『友達百人なんてできなくてもいいから、百人分大切にできるような、本当の友達を作りなさい』
これが、話の一番根幹部分になっています。
小鷹はその親友と再会できるのか……その親友は今、どうしているのか……その親友ともし、再会できた時、互いに何を思うのか。
小鷹「だったら俺はXXのこと、百人分大切にするよ。
世界中が敵になっても、
俺だけはお前の友達でいる」
小鷹が思い出せない、かつての親友のあだ名、その名前を思い出した時に……ストーリーが動きだします。
小説としては『はがない』シリーズとして人気を博していますが、コミック版から入った私としても非常に面白かったです。話のテンポも良いですし、よくコミックで……女子高生に伏せ字も使わずにこれだけ過激な言葉を吐かせられたなと思うところが、多々あります。
三十路を過ぎて思いますねー。『友達百人なんてできなくてもいいから、百人分大切にできるような、本当の友達を作りなさい』。そういう親友がいるだけで、確かに人生は変わるものだなあ……と。
コミック版だけではなく、小説版もぜひ手を伸ばしてみてください。
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