ヨルムンガンド(高橋慶太郎) ヨルムンガンド

作者:高橋慶太郎

サンデーGXコミックス

小学館

現在7巻まで
(常に笑みを浮かべる若き女武器商人)
ココ・ヘクマティアル(1巻〜)
(武器を憎む少年兵)
ヨナ(1巻〜)
<追加情報:2010年1/9>
・初回紹介から1年……この間に6巻、7巻発売しておりました!!

【6巻】:バルメの過去の清算

・6巻では、ウゴの過去が一部明らかに。ヘクマティアル小隊に入る前の彼は。
・6巻では、CIAが送りこんだ殺し屋との死闘もあり、また……バルメの過去の清算が……


 
 バルメ「立て陳国明! 『叩き壊し』てやる!!

     過去、貴様が私のすべてをそうしたように!」


 バルメの過去の清算……それは所属していた部隊隊員の全てを殺された過去。
 その相手とは……現在は貿易会社専務の陳国明。





 
 陳「叩き壊す。いいじゃないか。感謝しろ少佐。

   お前はすべてを失うことで軍人の本質を手にした」




【7巻】:オペレーション・アンダーシャフト

・7巻は、CIA欧州課長のジョージ・ブラック(あだ名:ブックマン(学者))による工作活動が中心です。
・作戦名は『オペレーション・アンダーシャフト』
・多数のエージェントを操るブックマンが最も頼りにしていた彼の「右腕」。その男の話が、7巻の本質。


 
 ブックマン「潜入のチャンスは今しかない! 行けレナート!

       ”オペレーション・アンダーシャフト”を開始する!」


 ブックマンがココ・ヘクマティアル小隊に潜入させた男は…………




 
 ブックマン「テロリストの破壊に絶大な威力の「左腕」が

       時折サクリファイスを欲するならば、私もそれを望む!」


 その男は、ヘクマティアル小隊の色男アール
 ブックマンの「右腕」であるアール。
 また、ブックマンの「左腕」であり、テロリストと武器商人を憎悪する
ヘックス
 その2人とブックマンの想いが交差する中、何も知らないココはヨナと街歩き。





 
 ブックマン「子供の命一つ、くれてやれ」

 アール「駄目だ。絶対に駄目だ!」


 彼がヘクマティアル小隊に潜入し2年……その彼はココ・ヘクマティアルとその仲間達と過ごす間に、何を思うようになっていったのか…………




 

 そして、そのアールのとった決断は…………



 今日紹介するコミックは、高橋慶太郎先生の『ヨルムンガンド』です。
 私が2007年からはまって読んでいるコミックです。
 
はまり度合いは1番!!


 このコミックは、若い女性武器商人のココ・ヘクマティアルと、彼女が率いている私兵たちを中心に、世界の裏側を鋭く抉り出したものです。
 
激しい銃撃戦、武器取引という緊迫した場面、個々の私兵たちがそれぞれに抱えている背景、そして、ココ自身のスタンスとそれに関わる殺し屋や軍人、民間人などの手に汗握るような場面を見事に描き出しています。


 このコミックには1つのテーマともなるべきキーパーソンもいます。
 第一巻冒頭で、ココの私兵集団に1人の新入りが加わります。名前は
ヨナ(本名ジョナサン・マル)。
 
彼は両親を戦禍の中に殺され、武器と武器商人を心の底から憎んでいます。
 しかし、
そんな彼が生きる道は自分が武器を使用して戦場を生き抜くこと……そして、自分が一番憎むべき存在……武器商人と行動をともにせざるを得ないという苦渋の選択でした。


 武器を誰よりも憎む少年と、武器を売りさばく若き武器商人、そして彼女の私兵集団。
 これらが織り交ぜとなった緊迫感のあるコミックです。



 では、どんな人物が物語を展開させていくのか。
 ココとその私兵集団の一部人物を紹介して、
 コミックの雰囲気だけでもお届けしましょう。





 話の主役の1人が、若き女武器商人ココ・ヘクマティアル


 

 「ボスってのは常に笑っているべき」

 「顔に鉄仮面を心に鎧をまとえ」

 常に笑みを絶やさない彼女の表情は仮面。
 実際にその奥底で考えていることは…………?



 

 「武器を売って生きる女。いつかは殺されるとわかっているのに」

 ドバイで遭遇した殺し屋オーケストラに言われた一言。

 いつか殺されると分かっていて、武器を売り続ける彼女の目的は?

 これも、コミックの根幹に関わるテーマとして流れています。




 もう1人の主役ともいうべきなのが、元少年兵のヨナ


 

 「磨いてあげるような付き合いじゃないんだ。でも、お前が錆びると僕が死ぬ」

 武器をとにかく憎む彼。
 ココが笑顔で自分の真意を隠しているように、
 
彼もまた、無表情になることで自分の真意を隠している。
 しかし、誰よりも武器の頼もしさを身にしみて知っている彼が、
 最後に流れ着いた先が、ココの私兵集団だった。


 隊の中では当然最年少の彼。
 隊の中では時にはマスコットのような存在。
 (特にココには非常に気に入られて可愛がられている)。



 

 ヨナは、少年とは思えないほど強いにも関わらず、優しさも同居させた存在。


 しかし、ヨナは武器を捨てることなどできるのだろうか?


 

 「無理だね。君は一生武器を捨てられない」

 ココに言わせれば、答えは否。
 そんな彼が最後に行き着く先とは……?



 彼はココの“野望”に付き合い、その先に一体何を見るのだろうか?




 

 ココを溺愛する眼帯のナイフ使いバルメ(本名ソフィア・ヴェルマー)。
 
レズビアンだとも思われる彼女は、常に“ココが一番”。
 ココと絡む場面では、常に彼女への愛情表現ばかり。



 そんな彼女も…………


 

 裏切られ、全てを失った過去…………
 これも、物語上での重要な伏線となってきます。



 そんな一癖も二癖もある傭兵たちをまとめている、私兵リーダー格の男が、




 

 レーム。狙撃の名手で、最古参の傭兵です。


 

 常にタバコをくわえているヘビースモーカー。
 なんとなく斜に構えた感じのある、クセ者のオッサンです。
 ココが全幅の信頼を寄せて、あらゆる任務に対応する人物です。





 ココの周囲には危険な存在が常につきまとう。
 武器を扱い、社会の裏側を回る彼女には当然のこと。





 

 陳国明「ミス・ヘクマティアル、

      貴方のビジネスの展望はいったい何かな?」


 表向きアフリカ向けの中国人貿易商(裏の顔は武器商人)。
 ココをビジネスパートナーに組み入れようとした
陳国明
 彼もまた、人民解放軍を部下に従え、ココを暗に脅そうとした人物です。
 (
この点は、現在の中国のアフリカ進出を予言したことでもあり、武器だけでなく、国際関係その他もよく作者サイドが調べて物語を書いているという執筆上の入念さもうかがわせる1コマ




 

 

 銃撃戦を音楽に例える、ドバイで遭遇した殺し屋オーケストラ。




 こうした常に危険と隣り合わせの中で、ココは何を求めているのか?
 彼らの行き着く先は?
 常に目が離せない、緊迫の銃撃戦を展開するコミックです。



 セリフの名前が初出の人物、あるいは必要に応じてフォントを強調して描かれるのも、高橋先生の作品の特徴でもあります。


 彼女の私兵は全部で9名おりまして、その全員を紹介するのは紙面上つらいので、他の私兵たちの魅力などについては、コミックでご自身で確認されてください。
 購入して損はまずしないものです。
 
画力の高さもさることながら、武器や世界情勢をかなりよく調べ上げて、ストーリーに盛り込んでいる。
 その精緻なストーリーに、引き込まれること請け合いです!!



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