3/6(木)

一人酒


 えと、追い出しコンパというのを知っていますか?


要するに、「サークルなどでお世話になった先輩方を、みんなで盛大に祝って送り出そう」というものです。

 まあ、それを口実に飲むというものかもしれませんが。

大学生にとっては、新入生歓迎コンパと並んで、人の出入りに関する飲み会の代表格でしょう。



 この日、私の所属するサークル「文芸部」は、昼は水戸市千波湖で梅見酒でした。

 外はあいにく曇りでしたが。

 さて、ひとしきり騒いだ後は、泉町にある「浜伸」で二次会です。

確か、五時半から九時までだったかなあ。飲み会の日は、よーく観察していると



「かなり面白い構図が見られます」



 意味不明に暴れている人たちや、関節をきめている人、とある少女のフィギュア(贈り物)にシルバニアファミリーのウサギさんからとってきたランドセルを背負わせ……犯罪色をにおわせたり

 あれは、さすがに犯罪でしょう。




 三次会は、四つのグループに分かれました。「カラオケ」「部室へ戻る」「はしご」「帰宅」


 ……いや、グループという規模でもありません。十名以上が参加するカラオケはともかく、


私と先輩二人だけの「ハシゴ」は、なんかのカテゴリーに入れていいのか……微妙なとこです。


 私は先輩に連れられ、ショットバーの「Amber House」<スペルあってるかなあ?>へ。
 ショットバーは初めてで、先輩に色々教わるところがありました。

 で、一杯目は先輩に任せました。

 ワインが好きな私ですが、ウイスキーはほとんど飲んだ経験がありません。

 でも、飲んでみると、これが結構イケます。

おいしい。二次会の酔った勢いと重なり、最初の三十分は先輩と訳のわからない盛り上がりかたをしていました。



 その後、二杯目が来たとき……先輩が寝てしまいました。

私は店内を見渡したり、流れてくるジャズに耳を傾けつつ、二杯目のウイスキーも飲み干しました。









ZZZZzzzzz

 




先輩、まだ寝ています。



 しばらく迷いました。先輩のカクテルがそろそろぬるくなってきそうです。





「奪い取ってしまうか?」



いえ、そんな悪魔のささやきに負ける私ではありません。




人のものを取るのはだめでしょう。



多分、取っても先輩は覚えてないでしょうが。



さて、私も話し相手なしでは退屈なので、もう一杯、最後にカクテルを頼みました。

カクテルは「アフター・ディナー」です。

まだ、ウイスキーと違って、こっちはなじみがありますから、どれ頼んでもいいけど。





 それを飲み終え、まだ先輩は寝ている。

すでに一時間以上その状態で退屈なので、先輩のつむじをグリグリ押していました。




 下痢になるツボってやつです。



 そんな私のとこへ、渋みがあってダンディー(?)なマスターがやってきて、



 「どうせこの人起きないから、飲んじゃったらどうだい?」
 「でも、それは」
 「カクテルがぬるくなるとおいしくなくなるよ」
 「じゃあ、飲みますかね」


 私もまだ足りない思いがあり、悪魔のささやきに負けました。

カクテルに手を伸ばそうとしたとき、



 先輩が急に目覚め、カクテルを一気に飲み干しました。



 ……自分の物に対する危機意識が働いたのか、驚くほどあっという間のことでした。



 でも、先輩はその後がおかしかった。


 バーの代金は先輩がとりあえず立て替えたのですが、


 「あれ、俺お金払った?」
 「Tさんが払ったんですよ」
 「あれ? そうだっけ?」

 この会話は、記憶上二回交わされています。しかも、台詞も同じ。


 「あ、光一君。これ」
 先輩は財布から3000円を取り出し、渡そうとしてくる。
 「あの、Tさんが立て替えてるんで、払うのは私なんですが」
 「あれ? そうだっけ?」

 この会話も、確か三・四回交わされています。




 人間、酔っ払うと楽しいですね。
 ていうか、私が先輩からお金を受け取ったら、三次会がタダ飲みになっていたのかな?


 ま、その後は部室で飲み会続行です。私的には、


 電気ヒーターで焼いたおもち<半分くらいは床に落ちた>が盛況だったことが印象にのこっていますが。

 酔っ払いは見ていてゆかいだなあ。飲み会は楽しいと思うけど、財布が悲しくなるなあと思う今日この頃です。


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