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呪いと戦う男


すでに今日から授業が始まっているのですが、

一日あたり、予習だけでも4〜5時間は必要な状況。

で、毎日授業……。

毎週のように演習での発表。

学部の授業でのティーチング・アシスタント。

ちょっと苦しい状況です。







さて、そんな状況ですが、

私は土日にはバイトをしているわけです。

バイトをしないと、研究資金もサイトの運営費も……

ネットの接続費も払えないからですね。

ああ、だから無休なのか……。








さて、バイトとはいえ休み時間は存在するわけですよ。





いわゆる昼休みが。

ランチ・タイムが。











私の昼飯はほぼ確実に以下のものです。
















おにぎり2個+カップ麺












非常にバランス悪いことこの上ない。

しかも、量も全然足りないわけです。











そのはずなのですが、

最近の私は不規則な生活のせいか、

この程度の食事でも満たされてしまいます。










というか、


この食事は食べる順番を間違えると食べ切れません。












正しい食べ方は、



@おにぎり2個を食べる

Aカップ麺にお湯を入れる。

Bカップ麺食べる


です。






この順番でないと食べきれないのです。











さて、

しかしそんな食べ方は私だけでして、

先輩や後輩はカップ麺のお湯を最初に入れます。

私がおにぎりをもくもく食べている間、

彼らはカップ麺を作っているのです。














さて、みんなが食事を終えるころ、

私はようやくカップ麺を開けてお湯を注ぐわけです。












バイト先の管理室にはお湯を沸かしているポットが一つあるのです。

それで、お茶を飲んだり、昼にはカップ麺を作るわけです。

















私はみんなが食べ終わって談笑しているところ、

一人立ち上がってポットの前に。





で、カップ麺をポットの口の下に持っていって……





























フカフカフカフカフカ……






















光一「え!?」


























ブブガァァァァ!!!























光一「ちょっと待てーい!!」












さすがに好青年光一と言ってもキレることはあるのです。














お湯が入っていない……















それはいいのです。
















問題は……

















光一「どーするんだよ……














カップ麺の3分の1くらいしかお湯入ってない」










もうタチの悪いイタズラですよ。






お湯がなければ沸かせばいいですが、

カップ麺の一部がお湯に浸ってしまったワケで……









放っておけば下の部分だけふやけて、







大半の部分が硬いドライフード状態のままですよ。













このままではカップ麺1個を丸々失ってしまう……





しかも、

いくらなんでも「おにぎり2個」じゃあもたない。





















光一「このヤロー!!」

















しかし、相手は電動ポットです。


光一には秘策がありました。


























光一「くらいやがれー!!」































どぼどぼどぼどぼ





















光一「フッ……









電動ポットが人間様をワナにかけるなど


100年早いわ!!」









そう……


電動ポットはお湯が出なくなっても、

底のほうにわずかなお湯が残っているものです。











私は、

電動ポットのフタを開け、


きゃつめを逆さづりの刑に処すればよかったのです。
















それを見ていた後輩が言いました。












後輩「そういえば、








光一さんって前はカップ焼きそば作って、













お湯満杯に入れたのに、















上のほうが硬いままでしたね」










光一「……私はカップ麺たちに呪われているのさ」










そう……


光一はカップ麺たちに呪われた男。


呪いと戦う宿命を背負った好青年なのです。













お湯が半分入った時点でお湯切れとか、

お湯が満たされたカップ麺が……


なぜか


「かた焼きそば」


で出てくるとか……
















普通にありえないシチュエーションを

連続体験する男なのです。














光一「この呪いと戦うのが私の使命さ……」












この言葉に、

後輩たちは「おー」と声を上げたワケです。















これが婦女子ならば惚れたところでしょう。









呪いと戦う宿命の男……



















いかにも女の子が寄ってきそうだ。

困るぜ、子猫ちゃんたち……

私に係わるとケガじゃ済まないぜ。




























後輩「本当にネタまみれで面白いですよね、先輩」

光一「……」













後輩よ……

君は先輩のことをそう思っていたのだね……。


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