侵略者
中学一年生時
侵略……他人の土地に対して行う行為で、
その地の人々に損害を与えていくあれですね。
政治的な談義は別にして、
今回は光一が受けた侵略行為を……。
さて、
中学一年生の夏休み。
私は部屋の窓を全開にして、
風を入れながらゲームをしておりました。
やっていたゲームはドラクエ4。
当時一日一時間しかゲームの許されていなかった私は、
それこそ時間をかけてゲームを進めていました……
ファミコンのドラクエ4は全5章構成でして、
私は一ヶ月近くかけて、第五章まで進めていました。
その日も、
限られた時間の中でゲームをしていたのです。
さて、
画面が切り替わって戦闘画面に入りました。
私が選んだコマンドは……
▼たたかう にげる さくせん |
たたかう ▼にげる さくせん |
光一「うぎゃあぁぁぁぁ!!」
大声で叫んで
逃げる
を選びました。
ええ大慌てで逃げましたよ……
隣の部屋に入って、すぐにふすまを閉めました。
だって……
いきなりスズメバチが侵入してくるんですよ!!
部屋にいた私に対して、
なにやら威嚇している模様……
私を部屋から追い出した後は、
部屋を占拠していい気分なのか、
ブンブンブン!!
とめっさ羽音を立てて旋回している模様……
時折、
私が逃げ込んだ部屋とを隔てるふすまに突進して、
バシッ!!
と音を立て、
こちらの恐怖心をあおることも忘れていません。
しかも、
当時の私はヤツに刺されたら
死ぬ!!
って聞いていたものですから、
それこそ隣の部屋でガクガクブルブルと震えておりました。
一刻も早くこの侵略者が立ち去るのを願いながら……
さて、
そうこうするうちに、
10数分が経過しました……
私が恐る恐るふすまを開けてみると……
ぶぅ〜ん!!
光一「!!」
バシーン!!
と慌ててふすまを閉じました。
まだ占領中です……
さて、
それからさらに10数分待ってふすまを開けます。
光一「……」
いません。
望まれざる侵略者は立ち去ったようです。
光一「……」
しかし……
光一「ぁ……ぁ……ぁ……」
しかし、
光一「くそっ!!
なんてことをしてくれたんだー!!」
侵略がもたらした惨禍……
スズメバチの侵略と占領統治は、
私に対して大きなダメージを残していったのです……
光一「ウソだー!!」
その当時の私が少年の純粋な心の叫びを上げても、
事態は改善しません。
光一「こんな……事って……」
スズメバチが立ち去った後の部屋……
テレビ画面は、
様々なバグ表示が現れ止っております。
ええ、
ファミコン時代によく見られた
バグ現象
です……
リセットを押したら……
不気味な音楽とともに、
ぼうけんのしょ1がきえました |
ぼうけんのしょ2がきえました |
ぼうけんのしょ3がきえました |
光一「そんな……」
全てのセーブデータが消えていました。
ええ、
私が一日一時間……
こつこつとプレイしてきたデータの全てが……
スズメバチの侵略行為の前に全滅したのです。
おそらく、
スズメバチから逃げる際に、
ファミコン本体になんらかのショックが加わったのでしょう……
少年の心に深い傷を負わせた侵略者……
大人になった今でも忘れてはおりません。