私と夏と缶ジュース
高校二年生時
今日は自販機に関する話なんですよ。
あれは忘れもしない高校2年生の夏休み。
光一がピッチピチの若人であった頃です。
部活が終わり自転車で帰宅途中のことでした。
ふと、友人Nと遊びたくなって、
自転車をNの自宅方面へ走らせたのですよ。
(親友Nについては、痛笑NO.4「昆虫採集」とNo.5「9食給食の過去」を参照)
しかし夏です。
盛夏です。
み〜んみんみんみんみん♪
光一「暑い……」
み〜んみんみんみんみん
光一「やかましい!!」
セミのけたたましい鳴き声に釣られるように、
太陽の日差しもギンギンと元気に辺りを照らします。
自転車を必死でこいでる自分は、
汗だくで今にも脱水症状寸前。
学校指定のシャツは、
汗でスケスケ……
これが婦女子ならば、
『いやん、ブラが透けちゃった♪』
状態……。
まさにそのとき私の男の柔肌が透けていたのです。
もう、周囲の人々に視姦されまくりです。
周囲の人々が私を視姦している!!
と感じた私は、
裏道に入って友人Nの家へ向かいました。
すいません。
単に近道しただけですけど。
その裏道にはですね、
なんと
『自販機』
なる便利ツールが設置されていたのです。
汗をかきすぎてノドの渇いた私は、
迷うことなく自転車を止め、
その自販機にお金を投入したのです。
ちゃりん、ちゃりん♪
財布から貴重な100円玉2枚を取り出しました。
それらが自販機に吸い込まれると、
Pi!!
というローマ字表記の音が出てくるわけです。
そして、ジュースが買える状態になるじゃないですか?
当然、
この暑い最中ですから、
冷たいものを飲むわけです。
私の指は迷うことなく、
間違えることもなく、
『エメラルドマウンテン』
というコーヒーの、
『COOL』
を押したのです。
ガコン!!
という勢いいい音と共に、
一本の缶ジュースが出てくるじゃあありませんか。
早速そのアイスコーヒーを飲もうと、
取り出し口に手を入れ、
その缶を回収したのです。
光一「熱ッ!! 熱すぎる!!」
そうです。
『COOL』
のボタンを押したはずなのに、
出てきたのは、
『HOT』
いわゆる『熱い』ジュースが出てきたのです。
それだけでも、
『馬鹿な!!』
って気分でしたのに、
光一「こ、コーンスープじゃねえか……」
そう。
本来ならば、
『COOL』
の
『アイスコーヒー』
が出てくるはずなのに……
出てきたのは、
『HOT』
の
『コーンスープ』
ありえません!!
てーか、
クソ熱い夏の昼間に、
冬場に飲むような、
ホットのコーンスープなんて飲めねえよ!!
とやり場のない怒りにとらわれていると、
ジー、チャリンチャリン♪
と、
その自販機からお釣りが出てきます。
ぶつぶつ文句を言いながら、
お釣りの80円を回収します。
光一「60円……お釣りも間違ってるじゃねえか……」
『冷たい・アイスコーヒー』
を
『熱い・コーンスープ』
で出された上、
『80円のお釣り』
が
『60円のお釣り』
になって出てきました。
なんで機械である自販機がこんな間違いしているわけですか!?
なんであのクソ暑い夏の昼空の下で、
私はコーンスープ(ホット)を飲む羽目に!?
しかも、釣り間違えてるし……
そのことを、
親友Nに話しました。
もちろん話しましたよ。
光一「さっきな、アイスコーヒー飲もうとしたら、
ホットのコーンスープが出てきたんだよ。
しかも、釣りが足りない!!」
それを聞いた親友Nも、
きっと私と怒りを共有し、
なぐさめの言葉の一つでもかけてくれると期待したのです。
親友N「うわー、バカじゃないの、お前!!」
光一「!?」
自販機に裏切られ、
親友にも裏切られた高校時代の夏休み。
今でも忘れられないのです……。