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光一
「いやぁ……今回はスゴかったねえ」 |
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鳴島
「そうですねぇ。
久しぶりですね、
あんなに雪降ったの♪」 |
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光一
「おかげでバイトは休みになって、
お金は入らないし…………
雪道装備ないから、
車は出せないしで……
退屈な土日だったよ……」 |
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鳴島
「だったようですねぇ」 |
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光一
「しかもまた風邪ひくし……
まったく……雪はこりごりだ」 |
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鳴島
「ですねぇ」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「およ?
マスター、どうなさいましたぁ?」 |
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光一
「雪で散々だ…………
という私の言葉に頷いている割に、
随分ウキウキ気分ではないかね?」 |
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鳴島
「そんな〜ことは〜ないですよぉ〜♪」 |
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光一
「…………浮かれてるじゃないか」 |
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鳴島
「べっつに〜ですよぉ〜♪」 |
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光一
「…………綾香君。
写真見る?」 |
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鳴島
「ほぇ?
何のですかぁ?」 |
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鳴島
「これはっ!!」 |
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鳴島
「〜♪
スゴイ雪で大変そうですねぇ♪」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「おお〜っ!!
坂が一面雪!!
これは滑りそうですねぇ……」 |
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光一
「……………………
……………………………滑ったけどね」 |
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鳴島
「んぅ?
何か言いましたかぁ?」 |
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光一
「別に」 |
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鳴島
「いいなぁ♪
マスターの愛犬楽しそうですねぇ。
すっごい雪ー!!」 |
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光一
「私は犬に引っ張られて
そりゃあ大変のなんの……
どれだけ濡れたことか……
これが風邪の原因かねえ?」 |
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鳴島
「それは大変でしたねぇ♪
あ、この写真も良いなあ♪」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「ゆ〜きやこんこん♪」 |
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光一
「って、やっぱり……
思いっきり浮かれてるだろうがー!」 |
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鳴島
「ふにゃぁっ!?」 |
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光一
「ふう…………
雪景色撮っておいてよかった。
こんなリトマス試験紙に引っかかるとは。
どう見ても、今の反応は浮かれてたぞ」 |
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鳴島
「だってぇ…………
雪なんて滅多に見れないんですもん」 |
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光一
「その雪のせいで、
車は動かせないわ、
風邪は引くわ、
バイト休みで金は貰えないわ、
散々な思いをしたんだぞ!」 |
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鳴島
「私に関係ないですもん……」 |
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光一
「く…………そんな、
子供の『わーい雪だー!』
と同じ理屈をこねおって……」 |
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鳴島
「だって…………
雪で遊べて楽しいじゃないですかぁ。
第一、
マスターだって、タイミング次第では、
雪楽しんだんじゃないですかぁ?」 |
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光一
「む?
どういうことかね?」 |
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鳴島
「例えばぁ…………
『大学があったけど、
雪で行けないから堂々と休める』
みたいな時なら、
純粋に喜んだんじゃないですかぁ?」 |
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光一
「ぐぅ…………」 |
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鳴島
「ほぉ〜ら。
やっぱりタイミングの問題ですよぉ♪
何事もタイミングってやつですねぇ。
今日のマスターみたい!!」 |
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光一
「あの話を蒸し返すな!!」 |
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鳴島
「凍った雪で埋もれた車を、
スコップで発掘中に……
通行人に怪しまれる……
これも実にタイミングの問題ですねぇ」 |
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光一
「くそっ!!
だから雪はイヤなんだ!!」 |
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鳴島
「そう言う割にはぁ、
雪の日の画像…………
たくさん持ってますよねぇ?」 |
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光一
「う、うるさいうるさい!!
綾香君に、
私の気持ちが分かるか!」 |
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鳴島
「雪が好きだ……
とお認めになればぁ、
楽になれますよぉ♪
そう言うタイミングを、
今回は逃しちゃったんですよねぇ?」 |
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光一
「くっ…………」 |
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鳴島
「ほれほれぇ〜♪
認めちゃえば、
楽になりまちゅよぉ〜♪」 |
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光一
「うるさいうるさい!!」 |