鳴島
「へぇ〜…………」光一
「綾香君。
仕事サボッて、
テレビなんて見ないでくれないか？」鳴島
「はう！？
も、申し訳ありません！！」光一
「まったく…………
ところで、何を見ていたんだい？」鳴島
「クレジットカードがどーとか……」光一
「あー…………
なんやかやと、カード被害の話は聞くねえ。
しかし、それでも随分定着したものだな」鳴島
「マスターは
カードとか使わないんですか？」光一
「キャシュカードとか、クオカードとか……
クレジットカードの類は嫌いだがね」鳴島
「結構便利ですのにぃ」光一
「あーいうので決済していると、
経済感覚がニブくなるから嫌なの」鳴島
「それで破産する人なんかもいますしねえ」光一
「人間、経済感覚失ったら終わりだよ。
それにこれからの時代、
何でも新しいの買っては捨てるのは、
ナンセンスでしょう？
カードで必要以上に物を買っては捨てる……
なんてのは、もはや流行に敏感というよりは、
時代にも乗れない人間のすることだな」鳴島
「それはそうですねぇ♪」光一
「服だって必要以上にある意味はないし……
日本人は服とか持ちすぎだと思うぞ」鳴島
「そういえば、
マスターって服飾買いませんね」光一
「今あるの着れれば買う必要がない。
それこそ無駄だ」鳴島
「確かに……
１，２回しか着ないでしまってしまう服を買っても、
意味ないですもんねぇ」光一
「そういうことだ」宅急便
「こんにちわー。
クロネコヤ●トです！！」光一
「あ、どうもどうも……
あ、コレクト便ね。
あ、前に注文していた本かな？」宅急便
「あ、そうですね。
えっとそれで御代は、
２万５千円になりますね」光一
「はい、じゃあコレ。
ご苦労様〜」鳴島
「……………………」光一
「ん？
どうしたね、綾香君？」鳴島
「マスター…………
書斎にどのくらい本ありましたっけ？」光一
「さあ、数は把握していないけど……」鳴島
「つい３日前も、
コレクト便に
５万円くらい払ってましたよねぇ？」光一
「うむ。
なかなか手に入らなかった本が、
ネットの古本屋で手に入ったのでな」鳴島
「先月、
古本屋とか書店を
巡ってらっしゃいましたよねぇ？」光一
「うむ。
歴史研究のための本は
いくらあっても足りない。
それに、
良書を発見することは喜びだからね♪」鳴島
「で、確か先月は結局……」光一
「ざっと１０万円くらいかねえ？
まあ、良い買い物ができたよ♪」鳴島
「えっと……
マスターも案外……
そのぉ……
経済感覚が乏しいんじゃあ……」光一
「綾香君！！
何を失敬なことを……
本はねえ、
その価値をわかってくれる人のところに来て、
初めて意味を持つんだよ！！
それを値段で置き換えようなどと……」鳴島
「でもぉ…………
それはそれとして、お金の使いすぎ……」光一
「いいかね、綾香君。
研究の世界に
お金の使いすぎなどないのだよ。
手に入るものは
その時点でしか手に入らない可能性がある。
１０万や２０万……そのためには仕方がない」鳴島
「……………………」光一
「ん？
納得したかね、綾香君」鳴島
「ここにおいてある、
カビ臭い厚手の本は
いくらしたんですかぁ？」光一
「むう、それは良い買い物だった。
たったの２万円で済んだのだ」鳴島
「じゃあ、
この虫食いがあって、
ボロボロの本はぁ？」光一
「あー、それは１００年位前の……
確か約１０万だったかな？」鳴島
「この、壊れかけている本は……」
ドサ……
バササササササ
鳴島
「あ！？
こ…………」光一
「あー！！
綾香君、何ということを！？
ほ、本を壊したねえ！！」鳴島
「い、いやその……
そんなつもりはぁ……」光一
「そ、それは貴重な洋書で……
２０万円もしたのに！！
あ、綾香君！！
こ、今月から減給！！
向こう３ヶ月の給料半分だ！！」鳴島
「ひ、ヒドイ！！
ほ、本の方が
私よりも大事なんですね！！」光一
「あ〜……なんということを……
この本は本当に貴重なもので……
ああ〜…………」鳴島
「本も大事ですがぁ、
人も大事にしてください！！」
ゴス！！
……どさっ
バサササササ
鳴島
「なるほどぉ〜……
古い本でも
カドでの攻撃は有効なんですねえ。
あ、本壊れてる……」光一
「うぐぅぅぅぅ……痛……
は！？
あ、綾香君！！
ま、また本を壊し…………」
ゴス！！
……どさっ
鳴島
「本を買うお金があるのなら、
私のお給料上げてくださいね♪」
