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光一
「……………………」 |
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鳴島
「…………どれどれ?」 |
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光一
「ほれ」 |
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鳴島
「!?」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「ふわわわわわ……」 |
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光一
「どうよ?」 |
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鳴島
「うーん…………
そうですねぇ……」 |
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光一
「何故考えながら、
私との距離をとり始めるのかね?」 |
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鳴島
「だってぇ…………」 |
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光一
「君もあれかね?
最初は同情をしておきながら……
結局それは表面上なのかね?」 |
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鳴島
「そう言われたってぇ……」 |
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光一
「どうなんだね?」 |
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鳴島
「いや、はっきり言いますけどぉ……
これはキモイです!!」 |
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光一
「な、なんだと!?
最初はあれだけ同情しながら……」 |
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鳴島
「そりゃぁ…………
かゆみがひどくて、
一睡もできないなんて聞いたら、
可哀想……って同情しますよぉ」 |
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光一
「じゃあ、何故そこで
キモイ!!
などとヒドイ…………
そんな暴言を吐けるのかね!?」 |
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鳴島
「だってぇ…………
見せてもらったら、
足が全体的に膨れ上がっていて、
真っ赤で…………
よく見ると、ブツブツだらけ……
生理的にツライですよう」 |
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光一
「くっ…………
君もしょせん、私の彼女と同じかね……
自分が辛くない以上、
同情など表面的・一時的な
コミュニケーションに過ぎない!
そうなのだね!!」 |
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鳴島
「ど、同情は本気でしていますよう……
きっと彼女さんもそうだと思いますよう。
でも、彼女さんが気持ち悪がるのだって
当然ですよう…………」 |
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光一
「別にうつるわけではないだろ!
じんましんは、うつらないんだぞ!」 |
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鳴島
「分かってたってぇ、
気持ち悪いのは気持ち悪いですぅ」 |
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光一
「くっ…………
これだから人間なんて……
しょせんうわべだけの付き合いか……」 |
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鳴島
「そこまで言わなくたってぇ……
こんなヒドイじんましん見たら、
誰だって鳥肌立ちそうですよう……」 |
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光一
「だからって、
辛そうにしている本人の前で、
キモイ!!
はないだろう!!」 |
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鳴島
「だってぇ…………」 |
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光一
「じゃあ、君や私の彼女はあれか?
事故で大怪我をした人を目の前にして、
その出血や傷口をみて、
うわ、キモイ!!
生理的にイヤ!!
なんて口にするのかね!?」 |
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鳴島
「そ、それはしないですよう!!」 |
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光一
「でも、現に……
私を前にしては言ってるではないか。
それって結局、
怪我人を前にキモイって言うのと、
次元は同じだぞ!
それがどれ程精神的にキツイか……」 |
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鳴島
「だってぇ…………でもぉ……」 |
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光一
「だってじゃない!」 |
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鳴島
「キモイものはキモイですぅ!
マスターはキモイ!!」 |
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光一
「ほ、本当にヒドイ娘だ君は!!
例えば君はそれを、
怪我人を前に言えるのかね!?」 |
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鳴島
「だってぇ…………
今は怪我人が前にいませんしぃ、
マスターのじんましんしか
見ていませんもん。
怪我人にキモイって言うかは別に、
マスターはとにかくキモイですぅ」 |
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光一
「くっ…………ううっ……」 |
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鳴島
「ほぇ?
マスター?」 |
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光一
「どうせ誰も私の苦しみなど
分かってくれないんだー!!」 |
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鳴島
「あ、マスター!!」 |
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光一
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 |
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鳴島
「マスター、カムバーック!!
言い過ぎましたよう!
戻ってきてくださいぃぃ!!」 |