女性「この人、チカンです!!」
みなさんは、
チカンに遭遇したことはありますか?
満員の電車の中、
後ろからモゾモゾと触られる感覚……
あまつさえ、お尻を触る以上のことまでする犯人。
私は自分の彼女に、
光一「チカンにあったら、恥ずかしいと思っても、
周囲の人に助けを求めること。
協力してくれる人もいるから」
そう言ったことがあります。
チカンは卑劣な犯罪行為です。
それを受けた人が、どれだけ怖いものか…………
私はチカンを許しません!!
さて、とはいえ私も男性。
満員電車の中で、チカンと間違えられてはかなわない。
チカンは同時に、冤罪も多いものであります。
私はチカンと間違われないように、
満員電車の中では、
自分の胸の前あたりで、
両手でカバンを抱きしめて持っています。
これなら、チカンと間違われる心配はありません。
さらに、窓際に立っていれば、より確実です。
さて、彼女には
「この人、チカンです!!」
と勇気を持って訴えるように言っている私ですが…………
実際にその行為を受けた人には、
やはりなかなか言うことができないのかもしれません。
私もそれは分かっています。
だからこそ、
そのような弱みにつけこんで、
お尻をなでまわしてくるチカンは、
絶対に許せません!!
これは私が大学院1年生だった頃のこと。
都内の大学院のゼミに参加した後、
私が山手線に乗っていた時です。
電車内は帰宅ラッシュで満員。
私はいつものように、
カバンを両手で抱えて、窓際に立っていました。
さわさわ…………
最初は…………
満員電車のために、周りの人が密着しているのかと思いました。
さわさわさわさわさわさわ
にしては、随分確信を持って、お尻を触っています。
さわりさわり…………
さらにエスカレートしだしたのか、
その人は、お尻からさらに前の方へと指を伸ばし始めました……
間違いなく、チカンです!!
チカンは重大な犯罪行為!
私は自分の信念どおり、その犯人を捕まえるべきだと思いました。
オッサン「はあはあはあはあ…………」
犯人であるオッサンは、
荒い息遣い……よほどに興奮しているのでしょう……
訴えられない人の弱みにつけこんで……
許されないと思いました。
プシュー…………
次の駅に着いて、電車が停まります。
まだ目的の駅ではありませんが、
満員電車の中で窓際にいた私は、
開いたドアから一旦外へ出ました。
プシュー
と閉まって駅を出る電車……
それをプラットホームで見届ける私。
私は…………
再びあの電車に乗ることはできませんでした……
本来ならば…………
光一「この人、チカンです!!」
オッサン「な、何を言うんだ君。私はやってない!」
声を荒げて否定する犯人。
気持ち悪そうな顔をしている、女性客。
周囲の人の好奇と疑惑の入り混じった視線。
駆けつけてくる警察官や、駅職員。
そうするべきだったかもしれない。
しかし、私にはできなかった……にがい思い出。
光一「この人、チカンです!!」
オッサン「な、何を言うんだ君。私はやってない!」
光一「だまれ!!
私の尻をなでまわしていただろうが!!」
男が……男にチカンをされていた…………
こんな恥ずかしいこと、言えるわけがない!!
人の弱みにつけこむ、チカン…………
あれは許されないものだと、
このときほど強く思ったことはありませんでした。
中年のオッサンに、
密着されて息を荒げられ…………
お尻とかを執拗に触ってこられる……
これを読んでいる男性諸君に問いたい!
男として、こんな気持ち悪いことを、
同じ男にされたら…………
光一「この人、チカンです!!」
と、堂々と主張できるだろうか……と…………
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