奴隷船体験ツアー
予備校生時
奴隷船……
まさに人を人とも思わないような船でして、
多くの人々を座ることすらできないような状態で「すし詰め」にし、
長ければ一週間以上も立たせたままで人を運んだといいます。
その生存率は3割程度で、
多くの人がアフリカからアメリカへ渡る際に命を落としたそうです。
現在の日本でも、
私の常識からすればまさに人を人とも見ない……
いわゆる「人的資源」として扱っている場所がいくつかあります。
私が予備校生時代に、
その経験をしたワケですが……
こんなかくも恐ろしいことが現在日本でも行われているわけです。
その時期はちょうど
真夏
でして……
私もそれ以外の人々も、
みんながみんな
汗まみれ
になっているワケです。
さて、
予備校への移動には
「電車」
を使うわけです。
しかし!!
この電車……
東京方面へ近づくほどに
満員電車
の状態になっていきます……
この中では、
ほとんど全員が立たなければならず、
人の荷物と荷物がぶつかりあい、
身動きもままならず……
電車に乗り切れないほど人が詰められているのに、
駅員は何を憎んでいるのか……
これでもか!!
という感じで無理やり人を電車内に押し込みます。
人と人に挟まれて潰されそうな状態で移動を続けるわけですが……
前述のとおりに、
この時期は
盛夏
です……
全員が
汗だく
になって電車へ乗り込んでくるわけです。
その状態で、
身動きすらできないほどに
すし詰め状態
の満員電車……
「早く目的地に着いてくれ」
というのが切なる願いで……
冷房は、
そのような状態ではまったく効果がありません……
全員が肌をくっつけあう電車内ですから、
汗まみれのシャツや肌が
ベタベタベタ
と互いの汗をくっつけあい……
さらには、
むわぁぁ〜ん
という音を出すような感じで、
汗の上昇気流が、
電車内のあらゆる場所を包み込みます……
そのような、
湿度が飽和状態の列車内……
室温もうなぎのぼりですから……
全員がさらに
汗をかく
ワケですね……
そうして、
さらに各人の汗と汗が密着し合い、
汗の上昇気流が発生する……
この悪循環……
あんまりヒドイ時や、
自分の体調が優れていない日には、
これは地獄です……
止め処もない吐き気が催され、
しかし、耐えなくてはならない……
正直、
現代世界における
「奴隷船体験ツアー」
にはもう二度と乗り合わせたくないワケですが……
この
「奴隷船体験ツアー」
には、
さらなる
最悪のケース
があります。
その体験談が以下のものです……
さてこの日、
盛夏の中でもさらに盛夏の
最高気温37℃
に達するような日でして、
駅まで自転車で来ていた私は
当然汗だく
で電車に乗り込みました。
ほかの人もみんな汗だくです……
さて、こうして恒例の
「奴隷船体験ツアー」
という地獄が始まったのですが、
この日はさらなる事件が襲い掛かってきました。
電車に乗って約30分
あと10分も乗れば目的地です。
さて、このとき目的地の2駅前の駅に到着するところでした。
あと1分もすれば列車のドアが開くところです。
キキキキキィィィィ!!
乗客「うわ」
「何だ何だ?」
突然急ブレーキがかかり、
騒ぎ出す乗客たち……
満員電車なので、
人と人で互いをはさみ潰すような状態に不快感が増します。
そうして少し経つと……
車内アナウンス『ただいま、人身事故が発生しました。
当車は救出作業が終わるまで停止いたします。
ご乗客のお客様には大変にご迷惑を……』
次の駅が、先頭車両ならば見えているような場所でストップです……
いわゆる、
目の前に天国が見えているのに、
自分は地獄の中で必死にもがいている状態です……
この
盛夏で汗だくで
さらにはどうしようもない満員電車……
この地獄のような状態で
人身事故のために現在位置で停止
です……
せめて……
せめて目の前の駅に入って、
「ドアだけでも開けておくれ!!」
そう心から叫びたかったです。
周りで騒いでいる他の乗客も同じ気分だったでしょう……
さて、
そうして1時間近くも、
目の前に次の駅を見つつ……
ドアの開かない
すし詰め状態の
満員電車……
互いに潰しあっているような状態で立っていますから、
カバンからジュースを取り出すことができません……
流れる汗は滝のようで、
列車内はくもってきているのですが……
水分補給すらできません……
あまりの暑さと、
人の汗が発する臭い……
なかば脱水症状状態……
本気で気持ち悪くなり、
吐くのをなんとかこらえていました……
立っているのも限界だったので、
満員電車で動けない状態を利用して、
周りの人々に寄りかかっていました……
あの……
あの現代版奴隷船たる、
真夏の満員電車……
あの中で、
人身事故でストップというのは、
まさに現代版奴隷船の悲劇……
と言えるのではないでしょうか?