原人とカエルの戦い
中学一年生当時
みなさんは、学校教師にイタズラしたことありますか?
保険医にではなくて……
実は光一にはあります。
むしろ、光一のクラスメートはありました。
しかし、それは我々が教師を陥れるべく、
教師をいじめてやろうとしたわけではないのです。
私が中学一年生だったころ、
とある英語の教師と、
とある社会科の教師がいたんですよ。
それぞれ名前を、
英語の女教師は「K」、社会の男性教諭は「S」としましょうか。
事件の発端は、英語教師Kのある一言だったんです。
K「社会科のS先生が授業にきたら、黒板消し仕掛けておいていいよ。
私が許可するから」
今となっては、K先生がどういう意図で言ったのか、
全くわからない……
というか当時も全くわからなかったわけですが、
そこは純真な中学生だった私たちです。
学年主任であるSを陥れようとか、
廊下で怒られた仕返しをしようとか、
そういった子供じみたことからではなく、
K先生の「ご命令」という、
いわば「錦の御旗」を掲げて事に挑んだのです。
というか、
黒板消しをしかける
ですよ?
みなさん経験ありますか!?
私、これ以外では漫画で読んだことぐらいしかないですよ。
みんなでワイワイ楽しくしかけておりました。
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン♪
次の授業の始まりです。
やがてS教諭が教室のドアを開けて……
って、普通はかかりませんよね、こんな罠?
がららら……ボフッ……
S「……」
見事に引っかかってくれました。
S先生最高です。
最高すぎます。
S先生、しかしながらご立腹のご様子。
古典的罠にうかつにもかかってしまったためなのか?
それとも自分の頭が白髪になったせいかはわかりませんが……
とにかくご立腹。
我々はそこですかさず「錦の御旗」を持ち出しました。
S「よし。なら私が許可するから、K先生にも同じことをしなさい」
と、今度はK先生よりも偉い、学年主任S先生からのご命令です。
我々は早速同じように黒板消しを……
ガラララ……ボフッ……
K「……」
K先生まで、
こんな古典的罠にかかった……。
どうなってるんだ、この学校は?
そうしたら、K先生、S先生に対してご立腹ですよ。
これって逆ギレとも言わざるを得ない気がしますが……
K「S先生の授業の前に、黒板をS原人の落書きで埋めておいていいから」
中学生のころ、S先生のあだ名は「S原人」だったわけです。
理由は単純で、
先生が原人ぽかったから……というだけです。
というか、
なんで生徒の間のあだ名を知っていたの、K先生?
ガラララ……
S先生、さすがに二度目は警戒して、
一歩引いてドアを開け、安全確認後に教室へ。
そして、彼が黒板を見ると……
黒板一面中、
S原人
の落書きと、
「イソジン・原人・S原人」
とかいう、微妙に今聞いてもナイスロゴが書かれていたわけです。
やり過ぎの感がしなくもないです。
S「K先生の差し金だな……よし、
彼女の授業が始まるときに、
黒板一面に同じように落書きをしておきなさい」
なんだか、先生二人の抗争と化してきたわけですが、
純真な中学一年生のクラスメートたちは、
この事態を非常に楽しいものと受け止め、
火に油を注ぐことに関与していったわけです。
ガラララ……
K先生も警戒して教室へ……
そして彼女が黒板に見たものは。
黒板一面中に書かれた
かえるティーチャーK、ゲロゲロ
とかいうこれまた絶妙ロゴに、
さらには無数のカエルのイラスト……
クラスメートの力を結集した会心の作品でした。
こうして、この後数回にわたって、
原人教師Sと、
カエルティーチャーKの、
生徒を使った戦争(授業妨害作戦)は続いたわけです。
最後の局面では、
ガラララ……
K「あれ? 今日は落書きないじゃん」
と、Kティーチャーが授業を始めるべく出欠を取り始めました。
彼女が、その日休みのクラスメートの名前を呼んだところ。
???「はい」
と、返事が返ってきたので、
Kティーチャーはその場は出欠表にサイン。
で、授業を始めるときになって、
クラスメートたちが笑っているのに気がつき、
教室を見渡したところ、
K「S先生、何してるんです?」
S「いやいや、私は○●(クラスメートの名前)ですよ」
私は、
このような教師の抗争を、これ以後二度と見ることはなかったのでした。