哀愁バレンタイン!!

予備校生時


さて、

私は予備校に通っていた時期がありました。

いわゆる浪人生ですね。










さて、


浪人生にとって世知辛いイベントがあります。











テスト?


受験の重圧?





















ノンノン!!


そんなことだけではないのです。










予備校に行くために電車を使えば、

電車の中にはバカップル……

広告にはクリスマスやバレンタインの宣伝……













そう……










バレンタイン!!










世間が浮かれまくっているそのころ、

受験生はもっとも大変な二次試験の時期。

浪人生に失敗は許されない。

当然ストイックな生活様式になるわけです。

恋人なんてもってのほか……


バレンタイン?

チョコ?

そんなの無縁です。










さて、

そんなストイックな生活で、

我々に過剰なストレスが溜まっていることに気づいてか、

予備校の講師が自分の体験談を語りだしたのです。










そのYゼミナールの英語講師Mは、

やはりかつて浪人生だったそうです。










しかも、


浪人するときに彼女にフラレたとか……










心の拠り所を失った彼は、






























近所のコンビニのバイトのお姉ちゃん


を毎日見に行くことで自分を慰めていたそうです。










さて、

そんなM講師の歪んだ浪人時代の生活にも、

当然


2/14


が訪れました。

















M講師「でね、私はいつしかそのお姉ちゃんに惹かれていたんだ」






























M講師「きっと彼女も私に惚れているかもしれない











M講師「だから、


私は冒険をすることにしたのです」




















そんな彼の目標は、


バレンタインデーに、


そのコンビニのお姉ちゃんからチョコを貰うこと。




















彼はそのことを友人に相談し、

その入れ知恵で当日の決戦に挑んだのです。










ここから下は、

彼から聞いた話を再現してみました。

M講師の視点で書いています。

断じて、私自身ではないですよ?



<M講師視点……彼の予備校時代>



















ついに決戦のときは来た。






















彼女は……


きっと私にチョコを渡したがっているハズなんだ!!











ウィーン


レジの姉さん「いらっしゃいませー」










私は気にしたそぶりを見せずに、

いつものように雑誌のコーナーに向かった。











バレンタインにバイト……やっぱ、彼女はフリーだ……











今日の俺はいつもと違う。


いつもはただの客だが、


今日は違う!!










今日はきっちり髪もセットした。


そこら辺の男よりは断然カッコイイぜ!!










まずは買い物カゴだ。

これに、日用品を入れる。

なんでもいい……

そうだな、靴下と雑誌……こんなもんだろ。

こんなのただのフェイクなんだ……




















チャンス!!










今レジには誰も並んでない。


バレンタインに勝機を見たぜっ!!




















よし。

姉さんがバーコードの読み取りを始めた。










値段を読み取った商品を……










ガサガサ










袋に入れ始めたぜ……



















ゴク……










く、

汗が止まらねえ。

緊張……しているのか?











なにをしている俺!!

早く行動するんだ!!

今日しかチャンスはないんだぞ!!



















M講師「これも一緒にお願いします」


レジのお姉さん「はい。かしこまりました!!」










よし!!






姉さんに今渡したブツを……





















Pi!!











バーコードリーダーに通した!!










<M講師視点は終了>






と、ここまでM講師の視点で再現しましたが、

上記までの行動を取った後の、


彼の行動はすごかった!!




















M講師は、

まず1000円ほどの日用雑貨をレジに持って行き、

レジの姉さんが値段を計算しているときに、

















レジの真向かいにあるバレンタインコーナーから……



















ではなく……











普通のお菓子コーナーから、


一個30円のチョコを持ってきて、


それを追加。











そのチョコをリーダーで読み取った姉さんが、

袋に入れようとしたまさにそのとき……









































M講師「チョコレート……


どうもありがとう!!





レジのお姉さん「…………え?」










彼は姉さんの手をしっかりと握り締め、


彼女が袋に詰めようとしたチョコレートを


直接彼女の手からぶんどった


らしいです。











コンビニの姉さんは、


唖然としていたそうです。




















M講師「というワケだ。

これが私の予備校生時代のバレンタイン……










帰ってからむなしさのあまりに一人で泣いたんだ。


そのチョコ食べながらな……」











我々は、

この浪人時代の寂しさを、

このときM講師と共有できた気がしたのでした。


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