【真夏のオアシスドリーム】 - 第四章 -
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旭に謝った日から、少なくともそれ以前よりは充実した夏休みを送っていた。
一緒に遊びに行ったりもしたし、旭が『三日月園』についてくるようにもなった。
……子どもたちにはからかわれっぱなしだったが。
告白とかはしていないが、半ば付き合ってるような感じではあった。
ただ、どうしても気になることがあった。
耕介と連絡がとれなくなった。
というよりも、取りづらくなってしまっていた。
「そういえば、耕介と連絡取ってる?」
その日も、旭のほうから話題に出てきた。俺はなんとなく応えづらくて、さあ、と言って視線を逸らしてしまった。
「ちゃんと応えてよ」
「連絡がつかねえんだよ。つーか、お前もだろ?」
俺は、意識的に耕介の話題を避けようとしていた。
そのとき、旭の表情を見ておくべきだったかもしれない。次は決定的なものになってしまった。
「それより、次はどのアトラクション行くか?」
俺は、遊園地のパンフを広げた。
旭は口を半開きにして、こちらを凝視していた。驚いているようだった。
すると突然、俺の手にあったパンフを叩き落とした。
「おい」
「僚」
旭は、俯いてこちらを見ていなかった。
「ねえ、あんなに夏休みに入る前は仲良しだったのに、私たちどうしちゃったんだろう」
顔を上げた旭と目が合った。涙が滲んでいた。
「私、帰るね。ちょっと考えたい」
背を向けた旭を止めようとしたが、振り返りもせずこう言ってきた。
「来ないで!」
そして、そのまま走り去り、群衆の中に消えてしまった。俺は、周囲の連中が無関心に通り過ぎる中、追いかけることもできなかった。
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