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鳴島
「マスター、マスター!」 |
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光一
「ん、何だね?」 |
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鳴島
「うらないしてあげますよぉ!」 |
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光一
「唐突に何かと思えば…………」 |
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鳴島
「トランプもこのように……」 |
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光一
「用意したのは構わんが、
私は占いになど興味ないぞ?」 |
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鳴島
「なんですかぁ…………
今日のマスターの日記にあった、
『風水温泉』にヒントを得て、
人がせっかく用意したのにぃ」 |
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光一
「ふう…………やれやれ。
では、一度だけしてもらうよ」 |
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鳴島
「そうこなくっちゃ♪」 |
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光一
「で、私はどうしたら良いかね?」 |
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鳴島
「まずは…………
このカードを持ってください」 |
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光一
「ふむ」 |
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鳴島
「そのカードは何ですか?」 |
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光一
「スペードの10だね」 |
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鳴島
「じゃあ、
それを裏返してください」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「ほえ?
マスター?」 |
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光一
「まあ、良い。
最後まで聞いてやろう」 |
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鳴島
「ほえ?」 |
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光一
「で?」 |
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鳴島
「カードを裏返しましたね♪」 |
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光一
「そうだね」 |
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鳴島
「そこには何かありますかぁ?」 |
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光一
「スペードの10…………」 |
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鳴島
「表も裏も
スペードの10!!
これこそ本当の……」 |
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光一
「うらない?」 |
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鳴島
「正解ですぅ♪」 |
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光一
「ははははは!
なるほど。
これは一本取られた」 |
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鳴島
「えへへへへ♪」 |
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光一
「などと言うほど、
世の中甘くないわ!!」 |
グリグリ!!
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鳴島
「うみゃぁぁぁぁ!!」 |
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光一
「何が『裏無い』かね?」 |
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鳴島
「うぅ〜痛いですぅ。
頭グリグリしなくたって……」 |
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光一
「くだらんギャグに付き合わさせた、
その当然の罰!!」 |
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鳴島
「むぅ…………
冗談が通じないんですからぁ」 |
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光一
「大体、
『占い』と『裏無い』をかける……
そんなギャグ実践する人、
生まれて初めて見たよ」 |
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鳴島
「そこまで言いますかぁ……」 |
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光一
「言うともさ」 |
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鳴島
「せっかく、
マスターの誕生日記念にと
一発芸をしてあげたのにぃ……」 |
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光一
「ほぉ…………覚えててくれたの?」 |
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鳴島
「ええ。10月30日ですね。
誕生日おめでとうございます♪
これでマスターも、
とうとう30歳ですねぇ♪」 |
グリグリグリ!!
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鳴島
「ひにゃぁぁぁぁ!!」 |
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光一
「30じゃない!!
25歳!!」 |
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鳴島
「間違ってないですぅ!
四捨五入したら30歳ですよぉ」 |
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光一
「年齢を四捨五入するんじゃない!」 |
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鳴島
「せっかく誕生日祝いしたのにぃ……
怒られたぁ…………」 |
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光一
「……………………
とてもではないが、
祝ってもらった気分ではないのだが?」 |
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鳴島
「あ…………
じゃあこれ失敗ですねぇ……」 |
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光一
「ん? 何がかね?」 |
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鳴島
「誕生日ケーキのロウソク……
30本立てちゃいましたぁ……」 |
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光一
「……………………
ワザとではないのかね?」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「えへ♪」 |
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光一
「……………………
綾香君の時給を、
現状の900円から減給!
決定ね」 |
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鳴島
「そ、そんなぁ!?」 |
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光一
「可愛く笑って許される……
そう思ったら甘いのだよ。
経営者なめない方が良いよ」 |