11/18(火)
本当にお見苦しいですねぇ

鳴島

お、マスター
光一

うむ。おはよう
鳴島

やーい、

ヘタレーヘタレー!!
光一

挨拶もせずに、

いきなり何だね、君は?
鳴島

えぇ?

マスターってヘタレですよねぇ?
光一

だから、

どこからそんな意見が出てくるのかね!
鳴島

だって…………

あれだけお見苦しいことをされて……

何をいまさらって感じですよぉ?
光一

何を言うかね!!

私は注射が怖いわけじゃない!
鳴島

あれだけ看護師さんに散々言っておいて

いまさら何を言われますかぁ?

見苦しいことこの上ないですよぉ
光一

いや、私は見苦しいとか怖いではなく、

物事に慎重な性格ゆえに、

『注射って大丈夫ですか?』

『3分間注射跡押さえろと言いますが、

それは時計で測るべきですか?』
鳴島

……………………
光一

自分の健康に関わることだからこそ、

念には念を重ねて

色々聞いただけだ!!
鳴島

まあ、

なんでも物は言いようですねぇ
光一

何を言うかね!!

身体の中に、

注射針という異物を入れるんだよ?
鳴島

まぁ、そうですねぇ……
光一

異物を入れられれば

拒絶反応をするのが

人間の身体の機能ではないかね!
鳴島

その点はそうですけどねぇ
光一

であれば!!

注射針などという異物を入れられ、

それに拒絶反応を示さぬ身体は

どこかがおかしいではないか!!
鳴島

はぁ…………

マスター…………
光一

何か異論でも、綾香君?
鳴島

いや、なんでも…………
光一

では続けるが……

注射針を入れられ、

『あ、チクッってしました!!』

と看護師さんに言う私。

それは身体の拒絶反応なのだ!
鳴島

あー…………
光一

それ故に、

私が看護師さんに採血中

ずっと話しかけていたのは仕方ない!

私の反応は、人間として正常だ!
鳴島

あー…………

マスター?
光一

なにかね?
鳴島

いやー、

本当にお見苦しいですよぉ♪
光一

な、何を言うかね!!

先ほどまでの私の話を聞いていたのか?
鳴島

マスターの言いたいことの

理屈はわかりましたよぉ
光一

だろー?

注射針を身体に入れるなんて……

異物を入れるわけだからな。

痛いし怖くて当然なんだ!!
鳴島

でも、

マスターがヘタレというのも

しっかり再認識できましたぁ!
光一

だーかーらー!

私がヘタレなのではなく、

注射針という異物をだね……
鳴島

マスター、マスター?
光一

なに?
鳴島

自分の子供を連れて、

病院で予防接種とかさせますよねぇ?
光一

まあ、子供ができたらそうだね
鳴島

お子さんがぁ、

『パパー、注射怖いよー』

ってゴネたらどうしますぅ?
光一

『パパの子供なら、

注射なんて怖くないはずだぞ!』
鳴島

……………………
光一

何か言いたそうだね?
鳴島

いえ……別にぃ……
光一

注射はね、

健康を守るためにするんだからね。

子供にはしっかりしてもらわないと
鳴島

じゃあ、お子さんがぁ……

『パパー、痛いよー痛いよー』

て泣かれたらどうしますぅ?
光一

『パパの子なら泣かないはずだよ!

パパは注射怖くもなんともないぞ』
鳴島

……………………
光一

何かね?
鳴島

マスター…………
光一

ん?
鳴島

先ほどまでの自分の言動を

よーく読み返してきなさい!!

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