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光一
「……………………」 |
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鳴島
「マスター、どうしたんですかぁ?」 |
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清香
「コーヒーを淹れる手が止まってますけど」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「三十路になったのが、
そんなにショックだったのかなぁ?」 |
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清香
「あー…………ありえるかもねえ」 |
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鳴島
「つい先日まで、
『切り捨てすれば20歳♪
四捨五入した女子高生と同い年♪』
って言っていたぐらいだからねぇ」 |
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清香
「実際には私と一回り以上離れているけど……
とうとう女子高生と同い年と言えなくなってしまったし。
ショックだったのかなあ?」 |
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鳴島
「マスター、三十路になったからってぇ、
そんなにボーッとするほど落ち込まない。
一気に老けちゃいますよぉ」 |
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光一
「な、何を言ってるの、君は!?」 |
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鳴島
「だって、
ずーっとこっちの話が聞こえてないようでしたしぃ。
三十路になったショックが大きかったのかなーって?」 |
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光一
「そんな事でショックを受けているわけではない!」 |
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清香
「じゃあ、何かあったんですか?」 |
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光一
「そう……あったというかねえ…………」 |
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鳴島
「ほぇ?」 |
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光一
「このカフェ開設時22歳7カ月だった私……
いつしか30歳へ…………
今日は30歳になって初めての登場だけど……
あー、栄光の20代が過ぎ去ったんだなあ……と」 |
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鳴島
「やっぱ、
三十路になったの気にしていたんじゃないですかぁ」 |
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光一
「違う!!
君には物思いにふける、
アンニュイな私が分からないかね?」 |
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鳴島
「あー、分かったぁ!!」 |
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光一
「何が?」 |
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鳴島
「サイト開設の頃ってぇ、
『毎晩お徳用チョコ1袋食べている』
『毎日大学でパフェ食べている♪』
なのに…………
『全然太らないから、女子に羨ましがられてる♪』
って言っていたのに…………」 |
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清香
「そういえば先日の誕生日…………
ケーキも何口かしか食べてなかったような……」 |
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鳴島
「今では食べた分だけ肥え太る身体に……
そりゃあ、20代前半の頃を懐かしみますよねぇ」 |
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光一
「いや、確かにその指摘は当たっているところもあるが……」 |
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鳴島
「あの時、清香とせっかくケーキ作ってきたのに」 |
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清香
「あんまり食べてもらえなかったねえ」 |
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光一
「いや……あれはちょっとどうよ…………」 |
『ハッピーバースデー?』
影利さん、清水ももこさん、白髭狂信者さん合作♪
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光一
「普通20代以降の誕生日って、
ロウソクの数は10の位分だろ?
だったら普通は3本とか…………
3本どころか……本当に30本立ててきて!!」 |
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鳴島
「あまりにも付きつけられた年齢が気になって
食べられなかったという事ですかぁ?」 |
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光一
「違うわ!!
ロウがポタポタたれまくっていて、
食べれる状態じゃ無かったでしょ、あれ!」 |
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鳴島
「それは…………
20代の頃と違って、肺活量の衰えたマスターが
なかなかロウソクの火を消せなかったからですよぉ」 |
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光一
「衰え衰えと…………
そういう単語を連呼しないでくれたまえ!!」 |
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鳴島
「衰えた事を否定していませんよぉ…………」 |
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光一
「グッ…………しかも…………
ロウソク立てるのに邪魔だから、
全部盛り付け食べたってどういうことかね!?」 |
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鳴島
「とても美味しかったですよぉ♪」 |
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光一
「そんな事は聞いていないのだが!!」 |
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清香
「その分、余分なカロリーを摂取しなかったと思えば、
プラス思考になりませんか?」 |
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光一
「いやー……ならないように思えるのだが……
君達……実は自分でケーキ食べたかっただけでは……」 |
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清香
「……………………
まあまあ、過ぎ去った事は忘れましょうよ♪」 |
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鳴島
「そうそう♪
夜中にAV動画観れたような、
あんな元気な時代も過ぎ去ったんですからぁ♪」 |
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光一
「どっからそんな話に転換したのかね!?
確かに、最近はあんまり観なくなったけども!」 |
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鳴島
「マスター……………………
AV動画観ていたせいで、
振り込め詐欺に遭いかけていますよねぇ?」 |
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光一
「それこそ過ぎ去った過去の話ではないかね!?
ピュアで世間に疎かったから、
ちょっと危ない事になりかけただけだよ!!」 |
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鳴島
「それをピュアって言いますかぁ…………
もっと大人になってくださいよぉ、三十路なんですからぁ」 |
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光一
「三十路三十路と連呼しないでくれたまえ!!」 |
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鳴島
「お、三十路を否定しなくなった♪
少しは先日よりも大人になったじゃないですかぁ♪」 |
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光一
「君だって後……2年後には三十路ではないかね!」 |
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鳴島
「私は永遠の20代ですぅ!!」 |
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清香
「お姉ちゃんも往生際……悪いよね?」 |
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鳴島
「いつも思うんだけどぉ、清香ってぇ、
私とマスター、どっちの味方なのよぉ!?」 |