|
光一
「というわけでね、
まだ体調もあまり良くないんだよね」 |
|
鳴島
「まあ、ともあれ
ご愁傷様ですぅ」 |
|
光一
「テレビなどで
大流行大流行と騒いでいるが……」 |
|
鳴島
「まさか、マスター自身が
流行の最先端行っちゃうとはぁ」 |
|
光一
「よりにもよって、
年末の忙しい時期にだからねぇ……」 |
|
鳴島
「もう少しずれていたら、
冬休みに入りますからぁ、
仕事上の問題もそれほどはぁ……」 |
|
光一
「それが冬休み前の、
生徒の成績を出さなきゃならない週に
ノロウイルス感染だからね」 |
|
鳴島
「しかし、
彼女さんにも迷惑かけましたねぇ」 |
|
光一
「うむ。
夜中に嘔吐するわなんだと……
しかもずっと寝込んでいたからな」 |
|
鳴島
「彼女さんに看病してもらえたのが
唯一の救いですかねぇ?」 |
|
光一
「そうだね。
あの辛さ……1人ではツライよ」 |
|
鳴島
「医者にも……ねぇ」 |
|
光一
「そう。
医者に行ったら、
『薬とかは一切効かない』
『手の施しようがない』
『ウイルスが出て行くまで待つ』
と言われたからねえ」 |
|
鳴島
「医者からすら見離された!?」 |
|
光一
「といっても、
本当に抜本的な治療法はないらしい。
そもそもそれ用の薬がないんだし。
せいぜい対処療法くらいで……」 |
|
鳴島
「なんで薬がないんですかねぇ?」 |
|
光一
「どうやら、人間だけに感染するんだって。
だから、動物実験などができない。
そのため、ワクチンなどが作れない……
ということらしいね」 |
|
鳴島
「うーん…………
絶対に感染したくないですねぇ」 |
|
光一
「私自身も、
周囲に感染させたくない……
その点で心配なのが……」 |
|
鳴島
「あ、そうか!」 |
|
光一
「そう。
私の彼女に感染しないかが心配。
実際、嘔吐だって彼女の部屋でだし……
私と一緒にいたわけだからな……」 |
|
鳴島
「うーん…………」 |
|
光一
「こればかりは、
本当にこれ以上広がらないのを
祈るばかりだ」 |
|
鳴島
「ですねぇ…………」 |
|
光一
「まあ、実際に感染したら
とにかく嘔吐しまくるから……
食べるそばから嘔吐……」 |
|
鳴島
「ホント、
脱水症状に気をつけないとですねえ」 |
|
光一
「うむ。
食欲が戻ったら
おかゆとか……ヨーグルトをちびちび」 |
|
鳴島
「そういえば、
嘔吐したものとか、
排泄物にウイルスが……」 |
|
光一
「だから、
嘔吐した場所や、トイレをしたならば、
塩素系洗剤とかで消毒。
ふき取った布は廃棄」 |
|
鳴島
「療養とともに、
滅菌も……ですねぇ」 |
|
光一
「あとはきっちり手を洗うこと……
まあ、とにかく予防に努めることだ。
それがノロウイルス対策になる」 |
|
鳴島
「ところでぇ、
マスターは治ったんですかねぇ?」 |
|
光一
「症状は落ち着いたな。
ただ、治ったようでも、
1週間くらいはウイルスを出すらしいぞ。
トイレの際には気をつけないと……」 |
|
鳴島
「あ!
じゃあ、こうすればぁ……」 |
|
光一
「……………………」 |
|
鳴島
「マスター!
動かないでくださいねぇ♪」 |
|
光一
「ヤだよ、動くよ!
というか、
人に塩素系洗剤を向けて、
君は何を考えて…………」 |
|
鳴島
「汚染源そのものの消毒?
滅菌?」 |
|
光一
「バカ!
な、何をワケのわからな……
や、やめたま…………」 |