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鳴島
「マスター!
お年玉!」 |
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光一
「……………………
何かをすっ飛ばしてないかね?」 |
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鳴島
「ほぇ?」 |
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光一
「あいさつ」 |
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鳴島
「あー!
あけましておめでとうございますぅ」 |
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光一
「お年玉うんぬんと違って、
何だか心がこもってない挨拶だが」 |
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鳴島
「お気になさらず♪」 |
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光一
「……………………
まあ、いいや。
あけましておめでとう。
今年もよろしく」 |
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鳴島
「こちらこそ♪
というわけで、ほらほらぁ!」 |
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光一
「何?
その手?」 |
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鳴島
「お・と・し・だ・ま♪」 |
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光一
「20歳を過ぎた大人が
何をねぼけているのかね?」 |
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鳴島
「えぇ〜…………
新年早々に失礼な。
寝ぼけてなんていませんよう!」 |
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光一
「お年玉をもらえるのは子供だけ!
何で大人にお年玉を
やらねばならんのだね」 |
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鳴島
「私が欲しいからですぅ!」 |
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光一
「私はあげたくもないので、
そういうことだから」 |
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鳴島
「マスターのどケチ!」 |
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光一
「あー、君って娘は
そうやって新年早々失礼な!」 |
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鳴島
「そんなんだから、
イブに大失敗するんですよう」 |
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光一
「それは今関係ないだろ!」 |
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鳴島
「まあ、いいや。
お年玉は諦めますよう♪
感謝してくださいねえ」 |
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光一
「諦めるも何も……
最初からやる気もないし、
別に感謝もしないぞ」 |
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鳴島
「やれやれ…………
マスターの甲斐性なし」 |
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光一
「また君は…………」 |
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鳴島
「まあ、それはさておき、
クリスマスイブは本当にアレでしたねぇ」 |
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光一
「うむ。
クリスマスイブの夜は、
彼女とクラシック演奏会を聴きつつ
豪華なディナーを食べる予定だったが……」 |
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鳴島
「せっかく行きつけのレストランに、
1ヶ月前から予約までしていたのに……」 |
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光一
「そう。
限定8名という、ディナーに……」 |
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鳴島
「よりによって、
マスターの大勘違いで…………
マスターが24日だと思い込んでいたら」 |
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光一
「クリスマスディナーの日は、
23日だったんだよ…………
お店から『どうしました?』
って連絡が来たときは……
本当に絶望的な気分だった」 |
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鳴島
「自宅にいたため、
連絡受けてからでは
間に合わなかったんですよねぇ」 |
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光一
「自宅から1時間以上かかるからな……
彼女の部屋にいれば間に合ったが。
24日だと思って、
完全に自宅でくつろいでいたから」 |
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鳴島
「でもぉ、
何でそんな大勘違いなさったんですかぁ?」 |
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光一
「うーん……なんでかねえ?
私が聞きたいくらいだ。
まあ、店のクリスマスディナー自体は、
23〜25日の3日間あったのよ」 |
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鳴島
「ほぇ?」 |
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光一
「で、24・25日は普通にディナーで、
23日だけそれに演奏会がついていたの」 |
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鳴島
「あ!!」 |
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光一
「まあ、多分…………」 |
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鳴島
「他の日にもディナーがあって、
24日はイブだから、
その日に予約したと思い込んでいた?」 |
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光一
「そんなところだろうね」 |
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鳴島
「そういえばぁ、
マスターって結構物忘れするので、
メモ帳に詳細にスケジュール書いてますよね?」 |
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光一
「そう。そのメモ帳にも
本当に何故だか分からんが、
『24日ディナー』って書いてあったの」 |
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鳴島
「あちゃー…………」 |
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光一
「しかもそのメモね、
店で予約をしたその日のうちに、
『忘れないようメモしよう』
って思ってすぐにメモしてたの…………」 |
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鳴島
「え!?
あれ!?」 |
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光一
「つまりね…………店に、
『23日に予約をお願いします』
って言ったその時に、
私の脳内では何故だか、
本当に何でか分からんが……
『24日に予約入れた』
と変換されていたんだね……」 |
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鳴島
「すごい…………
ある意味ですごい記憶間違い……」 |
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光一
「私もそう思うよ。
何でそんな変な記憶ミスしたのやら……
おかげで、キャンセル料だけ店に払うという
すごく精神的にツライ思いをしたよ……」 |
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鳴島
「まあ、
彼女さんが大して気にしていなくて、
逆にマスターを慰めてくれたのが
唯一の救いでしたねぇ♪」 |
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光一
「あー、まったくだ…………」 |