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光一
「つまり、人間っていう生き物はアレだよね」 |
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鳴島
「なんですかぁ?」 |
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光一
「本来動物が持つ欲求……本能を、
理性で強く抑制しているわけだよね?」 |
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鳴島
「まあ、そうですねぇ」 |
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光一
「しかし、それがゆえに…………
心身を痛めて心の病にもなるわけだ」 |
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鳴島
「それはあるでしょうねえ」 |
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光一
「つまり、私が言いたい事が分かるかね?」 |
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清香
「理性なんてものはかなぐり捨てて」 |
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鳴島
「欲望のままに、
誰でも構わず口説きたいと?」 |
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光一
「君達、なんだかすごく…………
私を悪く言う意図があるのかね?」 |
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清香
「いや、マスターの話からすれば」 |
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鳴島
「『私は妻帯者だから』って『魔法の言葉』
が無ければ、女性を口説けるのに!!
っていう…………」 |
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清香
「色んな女性に手を出したいのに、
自分が『妻帯者』であるという事実。
社会的倫理観……理性の観点から、
それが出来なくて悔しい……って事ですよね?」 |
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光一
「誰でも口説きたいってわけじゃないよ!
私の好みに合致する、
巨乳なKさんを口説き落としてみたい
ただそれだけの事だ!」 |
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清香
「奥さんがいるのに…………」 |
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鳴島
「口説きたい対象まではっきりいるのは、
もう何と言いますかぁ…………」 |
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光一
「何で私、ここまで悪く言われてるの?」 |
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鳴島
「奥さんがいるのに、
他の女性を口説きたいなんて……
そんな事を私達に相談するからです」 |
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光一
「結婚したら…………既婚者は、
他の人を好きになったらいけないのかね?
誰がそんな事を決めたのかね?
法律のどこにもそんな事は書いてないよ!」 |
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清香
「倫理観の問題かと」 |
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光一
「そもそも結婚した後に、
他の人を好きになったらNGなんて……
人生という湖を干上がらせるだけだと思う。
もっと、人間は上昇志向を持つべきだと思う」 |
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鳴島
「その『上昇志向』の後にどこに行く気ですかぁ」 |
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光一
「ああー……キックボクシングは、
運動精神療法のために行ってるのに……
Kさんに会うたびに心が乱れるんだよ、私」 |
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鳴島
「もう、煩悩の塊…………」 |
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清香
「あ、そういえば昨日はメリークリスマスだった」 |
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鳴島
「って事は、もう数日で除夜の鐘だ」 |
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清香
「というわけでマスターは、
今年の除夜の鐘はちゃんと聞いて、
頭の中にこびりついている、
煩悩を追い出した方が良いですね」 |
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光一
「煩悩じゃない!
これはKさんに恋焦がれる気持ちなんだ。
ああー、毎週2回も会ってるのに、
口説く事が出来ないなんて…………
精神的に毎回負うダメージが大きい」 |
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鳴島
「精神の治療に行ってるのに、
ダメージを負ってどうするんですかぁ」 |
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光一
「Kさんの巨乳具合は、
もうなんていうか、すごい目に……
保養効果を与えてくれるんだよ」 |
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清香
「はあ」 |
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光一
「ああ、あの胸を…………
私のために差し出してもらいたい……」 |
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鳴島
「頭の中、お花畑ですかぁ…………
しっかりしてくださいよぉ!!」 |
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清香
「で、そんな煩悩の数々を…………
『人間は理性に縛られている』
『理性から本能を解放すべきだ』
なんて言い張る訳ですか?」 |
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光一
「そうなれば、私のこの欲求不満も解消され、
精神的にはハッピーに♪
Kさんを口説く事が出来て、さらにハッピーに♪」 |
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鳴島
「世間ではそれを浮気とか不倫と言います」 |
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光一
「くっ……ここでも既婚者であるという
巨大なハードル(障害物)がっ!」 |
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清香
「2次元の女の子で我慢しててくださいよ」 |
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光一
「2次元の女の子は確かに可愛い!
相手にしていてもたまらない!!」 |
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鳴島
「じゃあ、それでいいじゃないですかぁ」 |
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光一
「しかし3次元の女性は、
実際に触れる肌の感触とか……
ベッドを共にした時の喜びが、
全然2次元と異なるんだ!!」 |
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鳴島
「こら、既婚者」 |
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光一
「くっ……またその『魔法の言葉』で
私を縛りつけるか……っ!!」 |
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清香
「毎週2回、マスターは頭の中でKさんを口説きながら、
表面上は平静を装って、Kさんと会話しているわけですよね」 |
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光一
「そうだよ。
ホント……高校生の時とかに女子相手に、
色々ドキドキしながら会話していた……
それ以上にドキドキワクワクしながら!」 |
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鳴島
「Kさんにそんな妄想悟られたら、
絶対に避けられますねぇ♪」 |
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光一
「何でそんな事が言えんの!?」 |
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清香
「いや、普通は引きますから。
既婚者から口説かれそうなんて、
普通は引きますからね?」 |
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光一
「くっ……ここでも『魔法の言葉』かっ!」 |
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鳴島
「はい、ほら。
だから奥さんと2次元の女の子で我慢して下さい」 |