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光一
「うーん…………」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「うーん、やっぱりこの角度から見ると、
たまらないなあ…………」 |
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鳴島
「鏡を前に、何してるんですかぁ?」 |
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光一
「いや、何…………
綾香君、私がどう見えるかね?」 |
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鳴島
「はぁ?」 |
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光一
「いや、君から見てだね…………
ほら、私に言える事があるだろ?」 |
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鳴島
「…………あー、ありますねぇ」 |
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光一
「ほら、口に出してごらん」 |
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鳴島
「一言で言って(変態)紳士ですよねぇ♪」 |
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光一
「…………ん?
まて、君!!
紳士という言葉に変な響きが入ってない?」 |
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鳴島
「えー、傷つけないように遠まわしにしたのに」 |
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光一
「どういう事かね?」 |
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鳴島
「マスターがどう見えるかと言えば……
一言『変態』に見えますけどぉ?」 |
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光一
「私のどこをどう見て、そうなるのかね!?」 |
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鳴島
「まず女子高生を見て、
『ホテルに連れ込んでナニナニしたい』
とか……変態というか鬼畜の心情ですよね?」 |
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光一
「鬼畜!?」 |
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鳴島
「で、何を言って欲しかったんですかぁ?」 |
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光一
「見て分からないかね?
私が今、何をしているのか?」 |
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鳴島
「鏡を見ていますねぇ」 |
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光一
「ほら、私の言わんとするところ……
分かるだろう?」 |
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鳴島
「んー…………
ねえ、清香、ちょっと来てー」 |
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清香
「なに、お姉ちゃん?」 |
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鳴島
「マスター見て、どう思う?」 |
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清香
「どう思うって言われても…………」 |
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光一
「もう2人そろって、
鏡を見る私……分からないのかね?」 |
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鳴島
「髪の毛が後退してきて、
いよいよ歳をとったと実感しているとか?」 |
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清香
「肌のツヤが無くなって来て、
オジサンになってきたなと実感中とか?」 |
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光一
「全然違う!!
私はまだまだ若いだろうが!!」 |
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鳴島
「で、何なんですかぁ?」 |
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光一
「私って、カッコいいと思わん?」 |
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鳴島
「……………………」 |
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清香
「……………………」 |
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光一
「何だね、その沈黙は?」 |
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鳴島
「マスター、自分を客観視出来ています?」 |
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清香
「自分で自分の事をカッコいいと言うのは、
かなり痛々しいと思うのですが…………」 |
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光一
「君たちまでそんな不当な事を言うかね!?」 |
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鳴島
「いや、あんまり不当でもないでしょ?」 |
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光一
「じゃあ、君達から私はどう見えるのかね?」 |
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鳴島
「えー…………普通の32歳?」 |
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清香
「容姿の点ですか?
まあ、可もなく不可も無くでは?」 |
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光一
「君たちまで私を凡夫扱い!?」 |
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鳴島
「凡夫って…………」 |
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光一
「先日講座の途中で鏡を見たらさ、
『私ってかなりイケメンじゃん!』
ってそう強く感じてさ!!」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「その事を私に対して
『光一さんのお嫁さんになりたいな』
って言ってくれている現役女子大生のKさんに、
言おうか迷って結局言わなかったんだけど」 |
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鳴島
「言わなくて正解です」 |
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光一
「あれ!? どういう事!?」 |
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鳴島
「それって単に自意識過剰なだけですよねぇ?」 |
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光一
「自意識過剰って!?
…………と、『私ってハンサムでしょ?』
って母と嫁に聞いたら…………
『頭おかしいの?』的反応が返ってきた」 |
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鳴島
「まあ、至極真っ当な意見かと思いますがぁ」 |
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光一
「なんでだね!?」 |
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鳴島
「もう32歳なんですからぁ…………
いい加減に自分を客観視しましょうよぉ」 |
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光一
「客観的に見て、そう思ったんだよ!」 |
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鳴島
「あー…………処置なしですよぉ」 |
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光一
「何でだね!?」 |
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清香
「さすがに私も同感」 |
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光一
「清香君まで!?」 |
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鳴島
「そんな事はさておき、
私のイラストをいただきましたぁ♪」 |
『ウェイトレス鳴島綾香イラスト』
(清水ももこ様)
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鳴島
「ももこさん、ありがとうございますぅ!!」 |
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清香
「ありがとうございました!」 |
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光一
「私の事は、
『そんな事は』で済ませるの!?」 |