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光一
「うーん、とうとう2010年も終わりだねえ」 |
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鳴島
「年越しソバー!!」 |
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光一
「君は食べ物にしか興味がないのか?」 |
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鳴島
「そんなことありませんよー!
年が明けたらお年玉ですよねえ?」 |
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光一
「お年玉を期待する20代後半女性って……」 |
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清香
「人としてもどうだろう?」 |
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鳴島
「清香に言われたくないよぉー!
マスターからお年玉貰えるでしょ!」 |
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光一
「清香君はまだ女子高生なんだが……」 |
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鳴島
「ぐっ……四捨五入すれば20歳なのにぃ……
切捨てした私と同年齢なのに…………」 |
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光一
「とても28歳ウェイトレスの言葉とは思えない……」 |
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清香
「そうそう、マスター。
これから奥さんの実家に行くんですよね?」 |
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光一
「そう……夏場でも片道7時間以上の、
東北地方のとある山の中まで……」 |
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鳴島
「冬場の東北地方ですかー……
何時間くらいかかるか読めませんねぇ」 |
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光一
「私、雪道走行って生まれて初めてなんだよね。
スタットレスタイヤに履き替えたり、
バッテリー交換したり、メンテはしたけど……」 |
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清香
「ホント、気をつけて行って来てくださいね」 |
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光一
「そだねえ。
事故に遭ったら、新年から更新なくなっちゃうねえ」 |
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鳴島
「うわぁぁぁぁ…………大丈夫ですかぁ?」 |
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光一
「さすがに無事に帰っては来るつもりだが」 |
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鳴島
「マスターが死んじゃったら、
年明けからの私が路頭に迷っちゃいますよぉ」 |
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光一
「私の心配よりも、自分の生活の心配かね……
って、ウチで8年近く働いているんだから、
さすがに貯蓄くらいあるだろ。すぐに路頭には……」 |
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清香
「お姉ちゃんの事だから、
貰った給料すぐに使っちゃってるでしょ?」 |
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鳴島
「宵越しの銭は持たない主義だからねぇー♪」 |
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光一
「それは自慢するところじゃない…………」 |
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鳴島
「そういえば、奥さんの実家に帰る話」 |
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光一
「うん。元旦の朝早くに出るけど」 |
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清香
「雪だけじゃなくて、スキー客とか……
色々道が混んだりする要因ありそうですしね」 |
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光一
「そうそう。だから、いつもより早くでないとね」 |
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鳴島
「実家に戻ってしまった奥さんを
迎えにいくわけじゃないですよねぇ?」 |
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光一
「どういう意味かね?」 |
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鳴島
「いやぁ…………
奥さんのためだ、自分のためじゃないと言いながら、
ミニスカサンタコスを奥さんに強要したんですよねぇ?」 |
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光一
「強制とは人聞きの悪い!?
いつもより良かったらしいので、結果オーライだろ?」 |
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鳴島
「そんな具体的な事は聞いていません!!」 |
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光一
「そもそも、嫁さんの事を考えての行動だったのだし、
嫁さんが実家に戻る要因ないでしょ?」 |
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鳴島
「いやいや、それって絶対…………
マスターがコスプレHしたかっただけですよねぇ?」 |
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光一
「私としてはマンネリ化しがちな夫婦間に、
新しい風を入れただけで、
これは嫁さんのためでしょ?」 |
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鳴島
「どう考えてもマスターのためかと……
嫌がる人に無理やり着せようという時点で」 |
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光一
「いやー、改革には痛みも伴うかと思い。
どうかねえ、清香君?」 |
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鳴島
「そういう18禁的な話を、
女子高生の妹に振らないで下さいよぉ!」 |
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光一
「いや、夫婦間の営みを知っておく事は大事。
10代のうちに学ばず、いつ学ぶのかね?」 |
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鳴島
「正論で話を逸らさないで下さいよぉー……」 |
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光一
「いやいや。日本では性教育も含め、
10代に対してこうした教育をおざなりにし過ぎ。
欧米ではちゃんと親が教えているんだよ?」 |
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清香
「だから日本では望まない妊娠も多いという事ですかねえ?」 |
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鳴島
「いや、今はそういう教育論の話をしているのではなく。
それと、清香は適当に話に乗らなくて良いから」 |
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光一
「そういうわけで、
ウチは極めて普通の夫婦生活と思うのだが、
どうかねえ、清香君」 |
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清香
「まあ……何に悦びを感じるかは、
各家庭によると思うので、いいんじゃないですか?」 |
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鳴島
「だから、清香も答えなくていいから!」 |
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光一
「いや、夫婦間の性生活って大事だからね!
ニュージーランドで、性生活に満足できなかったって……
妻が夫を訴えて賠償金勝ち取った裁判だってあるんだから」 |
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鳴島
「いや……確かにそうですがぁ……」 |
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光一
「だから今回の私の行動って、
極めて正しい行動だと思うのだけどねえ」 |
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清香
「そうですねえ。言われてみると正しいですかねえ」 |
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鳴島
「でも、マスターが奥さんのためと言いながら、
自分のためだけに行動した事は間違いないかと……」 |