12/3(月)
服がまとわせる雰囲気

鳴島

あれー?

どこいったのかなぁ?
光一

ん?

どうしたね、綾香君?
鳴島

あ、マスター。

おはようございますぅ
光一

おはよう
鳴島

いやぁ…………

ちょっと物を無くしたみたいで……
光一

ん?

何を無くしたの?
鳴島

手袋なんですけどねぇ……

昨夜から無くて……
光一

うーん…………

店のバックヤードではみていないな
鳴島

どこに行っちゃったかなぁ……
光一

まぁ、今日の帰りまで見つからないなら

店の備品を貸してあげるよ
鳴島

お、それはラッキー♪
光一

えっとね…………

確かこの辺にあったはず……
鳴島

どんな手袋なんですかぁ?
光一

えーっと…………

ああ、そっか……

今、仕込みで使っているから
鳴島

え?

手袋で仕込み?
光一

あー、あったあった。

これ、仕込が終わったらいいよ。

あげるから、帰りに使いなさい
鳴島

ぇー……………………
光一

何?

何であからさまにイヤそうな……
鳴島

だってぇ…………

それ、私のイメージに合いませんよぉ
光一

イメージって…………

夜帰るときに寒いのがイヤなんだろ?
鳴島

そりゃそうですけどぉ……
光一

別に夜帰るときに

いちいち見ている人なんていないだろ?
鳴島

そうは言ったってぇ…………
光一

何、何が不服かね?

人が備品貸してやるっていうのに
鳴島

だってぇ…………
光一

だって?
鳴島

そもそも手袋じゃないというかぁ……











鳴島

生ガキむくのに使っている

軍手じゃないですかぁ!
光一

何を言うかね。

軍手だって、防寒対策にはなる
鳴島

イヤですよぉ、そんなのぉ!
光一

人の好意をそこまで!

いいか、これは田舎では

立派な手袋として流通しているんだ!
鳴島

私、都会育ちだもん
光一

あ、今ちょびっとバカにしたっぺ?

田舎をちょびっとバカにしたっぺ?
鳴島

そもそもですよぉ、

カキの汁がびっちり染み渡った

そんな軍手はめたくないですぅ
光一

閉店までには乾いているし、

ちゃんと洗うっての!
鳴島

それでもヤだぁ!
光一

あー、もうワガママだな!

じゃあ、ちょっと待ってろ











光一

これで文句ないだろ?

新しいの出してやった。

持って行きたまえ
鳴島

はぁ…………
光一

なんだね!
鳴島

だからぁ〜…………

何で軍手なんですかぁ!

これじゃあ、私の

乙女チックなイメージがガタガタですぅ。

マスターだって、

自分のイメージ大事にしてるでしょ。

私だって大事にしているんですぅ!
光一

20をとうに過ぎて乙女も何も……
鳴島

……………………
光一

何かね?
鳴島

マスター、

最初に出してくれた方を借りますねぇ♪
光一

最初のって…………

これかね?











鳴島

はいぃ♪
光一

綾香君?
鳴島

何ですかぁ?
光一

君が手にしたそれはね、

カキをむくために使う

牡蠣むきナイフというものだよ?
鳴島

ふーん?
光一

あ、私は用事を思い出した!
鳴島

……………………
光一

つ、ついてこなくていいから!

じ、自分の仕事を…………

牡蠣むきナイフは置いてい……

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