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鳴島
「マスター、
おはようございますぅ」 |
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光一
「はい、おはよう」 |
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鳴島
「早速ですけどぉ、
占ってよいですかぁ?」 |
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光一
「さ、今日も仕事がんばろう」 |
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鳴島
「無視!?」 |
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光一
「おお、綾香君。
おはよう。すがすがしい朝だね」 |
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鳴島
「さっき挨拶しましたぁ!」 |
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光一
「よし、では仕事頑張ろうね!」 |
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鳴島
「ちょっとちょっとぉ…………
私の話をスルーしないでください!」 |
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光一
「何か言ったのかね?」 |
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鳴島
「何かもなにも…………」 |
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光一
「何もないわけだね。
はい、では仕事だ仕事。
給料は働かなきゃ出さないよ」 |
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鳴島
「働きますぅ!
働きますけどぉ、私の話ぃ!」 |
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光一
「話、話と…………
さっきから一体なんだね?」 |
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鳴島
「最初に言ったじゃないですかぁ、
占ってよいですかぁ……って」 |
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光一
「……………………
くだらない話をする暇があるなら、
さっさと仕事しましょう」 |
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鳴島
「あー!!
くだらないなんて……ヒドイ!
今流行ってるんですよぉ」 |
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光一
「流行りものほど廃れものじゃないか。
そんなくだらないもの別に」 |
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鳴島
「くだらないって…………」 |
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光一
「占いで将来の予見ができるのなら、
今頃地球人類みな平和ではないのか?」 |
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鳴島
「いや、そこまでの話をするつもりは」 |
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光一
「だいたい、将来のことは自分の努力だ。
あとは、周りの人の助けとか……
それを…………
『祖先の霊が』とか
『前世のあなたの行いが』とか
そんなペテンが流行ること自体が、
実に実にくだらない」 |
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鳴島
「うわ、そこまで言いますかぁ!」 |
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光一
「だって考えても見たまえ。
TVのオーラのなんたら……だっけ?
彼らの言う前世とかなんとか…………
人間の前世って必ず人間だよね?」 |
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鳴島
「まあ、そうですね」 |
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光一
「今、地球人口は世界史上一番多い。
全員が前世人間だとしてごらん?
過去にさかのぼったら、
前世の人間の数が足りないのでは?」 |
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鳴島
「そ、それはそのぉ…………」 |
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光一
「私は、
占いと宗教は人類最高のペテン
と思っているので、
そういうのは信じている人にやってくれ。
他人に迷惑さえかけなければ、
信じるのは人の勝手だから」 |
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鳴島
「うーん…………
せっかく見えるのに……」 |
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光一
「『何が』『見える』のかは知らんが……
宗教なんてものは指導者ほどに
自己利益のために戦うではないか?
十字軍など違う宗教を弾圧するのに
どんな行為も辞さない
単なる虐殺者集団だったではないか?」 |
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鳴島
「でもぉ、
私のは占いですからぁ……」 |
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光一
「占いで将来が開ける?
馬鹿馬鹿しい。
将来が開けるのは、その人の努力と環境だ」 |
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鳴島
「はぁーい…………
つまんないのぉ」 |
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光一
「占いが役に立つのは、
落ち込んでいる人を励ますとか……
そういうメンタルサポートだろう。
それを、霊だのなんだの……
実在しないもので構築するだけで」 |
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鳴島
「見えるのになぁ…………
マスターの周りに…………」 |
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光一
「ふぅ…………
君もしつこいね。
じゃあ聞いてあげるよ。
『何が』『見える』っていうのかね?」 |
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鳴島
「えっとですねぇ♪」 |
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光一
「ふむ」 |
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鳴島
「マスターの周りにオーラが見えます」 |
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光一
「それは可視的なものかね……」 |
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鳴島
「えっとぉ…………」 |
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光一
「ああ、はいはい。
続けたまえ」 |
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鳴島
「マスターの周りに見えるオーラですがぁ……」 |
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光一
「ふむ」 |
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鳴島
「これはっ!?」 |
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光一
「はい……で、なに?」 |
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鳴島
「パシリに使われ易いオーラ
がむんむん漂っています……」 |
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光一
「どういうオーラだね!!」 |
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鳴島
「あ、でもほら。
マスターは今日の日記で
見事にパシられてるですよぉ♪
良かったですねぇ♪」 |
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光一
「どこもよくない!!
なんだね、そのインチキ占いは!!
そういうのはオーラと言わずに、
使われ易い雰囲気と言うんだ!!」 |
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鳴島
「あ、自分で認めちゃった?」 |