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光一
「いやー、すっきりしたねえ」 |
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清香
「何がすっきりしたんですか?」 |
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光一
「いや、初詣に行って来たからさ。
この前の休日にね」 |
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鳴島
「遅っ!!!
もう年末ですよ!?」 |
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清香
「何でこんな時期に?」 |
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光一
「いや、何でって…………
『あ、神社行こう』って思ったから」 |
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鳴島
「どこかの旅行会社のキャッチコピーじゃないんですから」 |
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清香
「普通……初詣って正月に行くものでは?」 |
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鳴島
「正月混む……っていうので、
1月末に行く人も多いけどね」 |
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光一
「だから、全然混んでいない12月初日に行くって、
すごい合理的発想じゃない?
神社の駐車場もがら空きだったよ」 |
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清香
「神社に行く時期を間違っているだけです」 |
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光一
「何かね君たちは。
初詣は『1月じゃないとダメ』とかいう、
意味の分からないルールを勝手に作って、
自分を縛っちゃってるのかね?」 |
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鳴島
「いや、普通の人は…………
『今年も良い年でありますように』
ってお願いをしに行くのであって」 |
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清香
「そんな願いを年末にしても、
意味がないじゃないですか」 |
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光一
「だから、私はちゃんとお願いしてきたよ」 |
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鳴島
「何をですか?」 |
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光一
「来年は良い年になりますようにって。
これで来月1月に行く必要はないね♪
来年の分、ちゃんとお願いしたから!」 |
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清香
「こういう人にはまず、御利益が無い。
と、私は思うんですけど」 |
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鳴島
「もうちょっとお正月行事を楽しんではどうですかぁ?」 |
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光一
「ヤダよ。お正月なんてどこも人ゴミだし、
私、人沢山いるの好きじゃないし、
並んだり待つのも好きじゃないもん」 |
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清香
「その並ぶのが醍醐味だと思うんですが」 |
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光一
「私の参拝は1分で済んだからね♪
これを渋滞とかで3時間、4時間かけるんだったら、
その分何かをした方が頭が良いじゃないかね」 |
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鳴島
「屁理屈ですよぉ、マスター」 |
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光一
「どこが屁理屈かね」 |
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鳴島
「そうじゃないですかぁ」 |
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光一
「新年早々にお参りに来て、
『借金返したいから、宝くじ当てて』
ってお願いする人よりも、
よっぽど私の方が信心深くないかね?」 |
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清香
「まあ、絵馬なんて所詮、
他力本願のたまものですからね」 |
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鳴島
「宝くじ当てたいとか、
彼女が欲しいとか、大学受かりたいとか…………
それは自分で努力するものでしょー。
ってお願いが多かったりしますけどねぇ」 |
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光一
「それに比べれば、私のように、
『良い年になりますように』
程度のお願いは可愛いではないか。
実際私はその分努力したもん、今年は」 |
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清香
「まあ、よく教員採用試験受かりましたよねえ」 |
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鳴島
「茨城県採用でも最高齢者の部類ですもんねぇ」 |
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光一
「高齢者言うな!!」 |
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清香
「それにしても、やっぱり…………
初詣くらいは、年初に行ってはどうですか」 |
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光一
「ふふ……実はね、昨年は11月に行ったんだ。
今年は12月で13ヶ月間隔で行っているわけよ」 |
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鳴島
「それがどうしたんですかぁ?」 |
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光一
「すると、次に神社に行くのは…………
2015年1月なわけよ!!
つまり、再来年に私は初詣を1月にするのさ!」 |
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鳴島
「なにドヤ顔で言ってるんですかぁ…………」 |
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清香
「それ、2014年は神社に行かないってことですよね?」 |
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光一
「でも、2014年が良い年になるようお願いしてきたから、
何の問題も無いでしょ?」 |
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鳴島
「そういう問題ですかぁ…………」 |
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光一
「いやー、しかし絵馬の中には、
『奴に天誅を下せ!』なんてのもあったりしてねえ」 |
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清香
「そういう人に天誅が下りそうですけどね」 |
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光一
「しかし、神社って面白いよね。
行くたびに絵馬を見て笑っちゃうもん。
私、絵馬の前で1時間くらい写真撮りまくってた。
1枚1枚見ては色々ツッコミ入れてたよ!」 |
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鳴島
「一番バチあたりなのはマスターじゃ……」 |
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清香
「で、神社行ったかいはありましたか?」 |
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光一
「……………………
その日の内に酷い風邪を引いて、
月曜以降はどうにもならない状態になった」 |
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清香
「うわぁ…………」 |
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鳴島
「天罰ですねぇ♪
人の絵馬を見て笑ったり、
年末に初詣だとか言った事への」 |
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光一
「そんなわけあるかっ!!
この世界に神様などおらん!!
風邪を引いたのは、それが流行ってるからだ」 |
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清香
「自己管理がなってないからでは?」 |
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光一
「うぐっ!!」 |