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清香
「やっぱり見えないなあ」 |
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鳴島
「でしょ、そうでしょ♪」 |
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光一
「何を話しているのかね、君達?」 |
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鳴島
「あー、マスター」 |
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清香
「お姉ちゃんがどう見ても、
20代最後の歳に見えないなと」 |
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光一
「あー、確かにそうかもね」 |
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鳴島
「でしょう。私って可愛いのでぇ、
まだ女子高生ですら通用しそうですからねぇ」 |
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光一
「アホっぽいところが、
全然年齢相応じゃないからね」 |
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鳴島
「はあっ!?」 |
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光一
「20代最後半の女性に普通ならあるだろう、
落ち着きとか全然ないもんね、君」 |
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鳴島
「ちょっと、マスター!!」 |
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清香
「まあ、お姉ちゃんが若く見えるのは、
それも一因ではありますけど」 |
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鳴島
「はあっ!?」 |
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清香
「まあ、それは置いておいても、
お姉ちゃんは、ホント若くみえるよね」 |
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光一
「ところで君達」 |
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鳴島
「なんですかぁ?」 |
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光一
「私は……どうよ?」 |
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清香
「どうよ? と言われますと?」 |
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光一
「私も若く……そう、
20代前半位に見えるんじゃないかな?」 |
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清香
「うーんと…………
10年前からここにいるお姉ちゃん。
お姉ちゃんにはどう見える」 |
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鳴島
「あー、そうですねぇ」 |
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光一
「うん」 |
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鳴島
「10年前の20代前半だったマスターも、
十分にオジサンに見えたのでぇ、
今もオジサンに見えますねぇ」 |
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光一
「はあっ!?」 |
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鳴島
「オジサンが年齢を重ねても、
若返る事はないですしぃ」 |
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清香
「まあ、その点は真実だけども」 |
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光一
「ちょっと君達!?」 |
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鳴島
「何かご不満ですかぁ?」 |
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光一
「当たり前じゃないかね!!
私のどこが…………というか、
10年前もオジサンだったって何!?」 |
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清香
「何で急にそんな事を聞いてきたんですか?」 |
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光一
「先日、『バースデー割引券』が郵送されてきたから、
チェーンの居酒屋に行ってきたの」 |
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鳴島
「それで?」 |
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光一
「会計の時に……レジにあったんだよ」 |
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清香
「何がですか?」 |
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光一
「『お客様の年齢ボタン』
あれ、店員の主観で押してるわけだよね」 |
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鳴島
「あー、そういうボタンがあるんですかぁ」 |
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光一
「チラ見したら、
『20代、30代、40代、50代以上』
とかボタンに書いてあるんだよ」 |
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清香
「目の前で『50代以上』押されたら、
それはショックですよね」 |
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鳴島
「マスター、ご愁傷さまでしたぁ」 |
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光一
「まだ、どれを押されたか言ってないだろ!?
なんで『50代以上』で確定なんだよ。
まあ、どれを押されたか私も分かんないんだけど」 |
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清香
「お姉ちゃんは20代で押されそうだね」 |
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鳴島
「だよねー♪
10代のボタンが無いのが残念だけどねぇ」 |
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光一
「君たちは、私がお客だったら…………
『お客様の年齢』ボタンはどれを押す?」 |
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清香
「え、えーっと…………」 |
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鳴島
「えー…………」 |
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清香
「お、お姉ちゃん。パス!!」 |
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鳴島
「えっ、ちょ、ちょっと!?」 |
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清香
「私、店内の掃除してくる」 |
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鳴島
「清香、逃げないでよ〜!」 |
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光一
「どういう意味だね!?」 |