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光一
「というわけでさ、
どうなのよ?」 |
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鳴島
「なにが、『どうなのよ?』ですかぁ?」 |
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光一
「年末にさ、社員がバイトやパートの女性にだね、
『今年もありがとう』って何がしかの贈り物をするの」 |
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鳴島
「良い事じゃないですかぁ?」 |
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光一
「嫁の職場では、
『おっぱいチョコ』が配られたんだけど」 |
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鳴島
「……………………は?」 |
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光一
「いやだから、女性のバイト・パート従業員に、
男性社員から『おっぱいチョコ』が配られた」 |
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鳴島
「それは…………」 |
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光一
「私が君と清香君に配ったとしたら、
完全にセクハラ扱いするだろ?」 |
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鳴島
「当たり前じゃないですかぁ♪」 |
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光一
「笑顔で!?」 |
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鳴島
「普段から『巨乳大好き』だのなんだの、
そんな事ばっかり言っているマスターが、
私達にそんなものを配ったら…………」 |
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清香
「慰労というよりはセクハラですね」 |
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光一
「普段『巨乳大好き』なんて言わない人間でも、
唐突にそんな物配ったら、
普通にセクハラ扱いされるだろ!!」 |
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鳴島
「奥さんはそれ貰ってきて、
何か言ってましたかぁ?」 |
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光一
「特になにも」 |
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鳴島
「何か聞いたりしました?」 |
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光一
「こんな物配るなんて、
セクハラと違うの? って聞いてみた」 |
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清香
「奥様の反応は?」 |
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光一
「『え? そうかな?』って返ってきた」 |
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鳴島
「ほら、配る人次第なんですよぉ。
セクハラっていうのはぁ」 |
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清香
「相手がセクハラって感じるかどうかですしね。
感じられなければ問題なしですし」 |
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鳴島
「マスターがやったら、
間違いなくセクハラだったでしょうねぇ」 |
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光一
「なんでだね!?」 |
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鳴島
「だから、普段の言動からしてですよぉ」 |
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清香
「そのセクハラ的なチョコは、
結局どうしたんですか?」 |
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光一
「私が食べた」 |
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鳴島
「うわ、奥さんへの慰労品だったのに?」 |
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光一
「ちゃんと食べていいか聞いたよ」 |
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鳴島
「試みに問いますがぁ、
どんな風に聞きましたかぁ?」 |
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光一
「『おっぱい食べていい?』
って聞いてみた」 |
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鳴島
「セクハラ!!」 |
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光一
「なんでだね!!」 |
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鳴島
「チョコ食べていい?
って聞けばいいじゃないですかぁ!」 |
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光一
「とりあえず、おっぱいチョコの
乳首をツンツンしたりして、
遊んでから食べてみた」 |
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鳴島
「ほら、マスターは行動からして、
全部がセクハラじゃないですかぁ!」 |
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清香
「そういう行動を奥様の前でとられるのは、
奥様へのセクハラかと」 |
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光一
「これのどこがセクハラかね!?」 |
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清香
「自覚が無いのが、一番マズイですね」 |
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光一
「乳首が立ってたら、
普通は突いて遊ぶものだろ!」 |
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鳴島
「チョコの事ですよね!?
というか、それを私達の前で言うのだって」 |
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清香
「立派なセクハラですね」 |
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光一
「くっ……こうして私はまた、いつものように、
多数派の意見に屈服させられるのか……
だが、言論の自由を勝ち取るまで、
私は決して膝を曲げないぞ!!」 |
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鳴島
「カッコ良さそうに言わないでくださいよぉ。
ちゃんと、セクハラだと認める」 |
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光一
「面従腹背の姿勢で、
とりあえず今は謝罪しておこう」 |
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鳴島
「面従腹背って…………
全然反省してませんよね?」 |
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光一
「何を言ってるんだ、君は?
当たり前じゃないかね!」 |
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鳴島
「開き直らないでください!!」 |