|
鳴島
「マスター、マスター」 |
|
光一
「なんだね?」 |
|
鳴島
「自分が『不審者』だって自覚が、
おありだったんですねぇ」 |
|
光一
「はい!?」 |
|
鳴島
「だって日記でそう言われてますよねぇ?」 |
|
清香
「もう1月も終わろうとしているのに、
未だに12月のネタを書いているけどね」 |
|
鳴島
「そうそう、季節外れもいいところですよぉ」 |
|
清香
「ようやく今日、冬コミ(C83)のネタだからね」 |
|
鳴島
「旬は外すは、自身が不審者だわ…………
マスターもなんだか、アレですよねぇ」 |
|
清香
「夏には女子トイレの前に立ち尽くして、
女子トイレの撮影なんかもしていたし」 |
|
光一
「なんか、なんなの!?
どうしてこんな扱いかね!?
君達、私をどうしたいの?」 |
|
鳴島
「いや、別にどう扱いたいってわけじゃなく」 |
|
光一
「いきなり会話が始まった途端に、私を、
『不審者』だの…………
『女子トイレ撮影している』だの、
『旬が過ぎている』だのと」 |
|
清香
「多分、単なる事実関係の列挙かと」 |
|
光一
「その列挙の仕方と抜粋の仕方に、
著しい偏りと悪意を感じるのだけど」 |
|
鳴島
「そんなの気のせいですよぉ♪」 |
|
光一
「笑顔で言ったな!?
笑顔だが、私はだまされないぞ!」 |
|
清香
「何にだまされるんですか」 |
|
鳴島
「他意はないんですよぉ」 |
|
光一
「いや、あるだろ……無い人間がいきなり、
『不審者って自覚がおありなんですね』
なんて聞いてくるかね!?」 |
|
鳴島
「だってぇ…………
普通の人は、知らない人に声をかけられたからって、
『自分、不審者じゃないです!』
なんて反応しないでしょうよぉ」 |
|
清香
「コミケ会場でスタッフに声をかけられて、
『自分、不審者と思われた!?』
っていう意識を持っているのは……」 |
|
鳴島
「『自分が不審者かも』
って意識があるからじゃないですかぁ?」 |
|
光一
「そんな事は無い!!
私は不審者などでもないし、
普通にメガネの似合うナイスガイだ!!」 |
|
鳴島
「前半はともかく、後半理解に苦しむんですがぁ」 |
|
光一
「何故だね!?
このメガネの似合う理知的な私……
どう考えても好青年の典型例だろ」 |
|
鳴島
「好青年は自分で自分を、
好青年とは言わないと思いますぅ」 |
|
光一
「なっ……だ、だったら、その理屈ならだ。
不審者は自分を不審者だなんて言わないだろ。
だとすれば、最初の話に戻すが、
私は不審者ではないはずだ!!」 |
|
鳴島
「いや、不審者は周囲の視線を恐れると思うので、
自分を不審者だと思ってるんじゃないですかぁ?」 |
|
清香
「好青年は捕まる可能性が無いけど、
不審者はあるから…………
不審者は自然と周囲を警戒する意識が高まる?」 |
|
鳴島
「そうそう、そういう事♪」 |
|
光一
「何で君たちは、私を不審者にしたいのかね?」 |
|
鳴島
「だって、マスターが自分でそう書いてるんですもん」 |
|
光一
「書いたけれども、事実を歪曲してないかね?
『不審者に思われた!?』
って私が思っただけであって、
『自分が不審者です』
なんて一言も書いてないだろ?」 |
|
鳴島
「んー、そうかなぁ」 |
|
清香
「一応日記、ちゃんと読み返してみたら」 |
|
鳴島
「んー、マスター・イコール・不審者で、
問題ない気がするけどなぁ」 |
|
光一
「私を置いてけぼりで、
勝手な解決に持って行ってないかね!?」 |
|
鳴島
「分かりましたぁ」 |
|
光一
「ようやく分かったかね、そう、私は……」 |
|
鳴島
「とりあえず暫定的に、
『マスターは不審者の自覚がある』
って事にしておきますねぇ♪」 |
|
光一
「それ、暫定から変わる可能性があるの?
というか、認識がおかしい!!
暫定的とされた認識がまず、おかしい!」 |
|
清香
「マスター」 |
|
光一
「清香君、君も自分のお姉さんに言ってくれたまえ。
まず、現在の暫定的認識もおかしいだろうと」 |
|
清香
「好青年は少なくとも…………
すれ違う女子高生を
性的な視線で追ったり、
脳内でホテルに連れ込まないと思います」 |
|
光一
「あれっ!?」 |
|
鳴島
「そうですよぉ、まったくぅ」 |
|
光一
「かえって私の立場が悪化!?」 |