|
光一
「うーん……肩が痛いなあ……」 |
|
鳴島
「……………………
…………四十肩ですかぁ?」 |
|
光一
「違うわ!!
整体の先生にも違うと言われた!!」 |
|
鳴島
「証明方法が整体の先生って……」 |
|
光一
「まったく………………
誰かさんがちゃんと仕事しないせいで
私の気苦労が増えているのが原因ではないのかね?」 |
|
鳴島
「私は悪くないも〜ん」 |
|
光一
「『も〜ん』じゃないよ、『も〜ん』じゃ!
……たく、今更蒸し返しはしないけど」 |
|
鳴島
「あ、そうだ。
マスター、おはようございますぅ」 |
|
光一
「おはよう…………
というか、雇用主にあったらまずは挨拶だろ。
なんで挨拶よりも先に、私への口撃からなのか」 |
|
鳴島
「まぁまぁ、挨拶をしたんだからいいじゃないですかぁ」 |
|
光一
「それは君が言うセリフでは無くて、
私が言うセリフではないのかね?」 |
|
鳴島
「いちいち細かい事を気にしますねぇ……
その内に小じわが出てきますよぉ」 |
|
光一
「今は出てないし、人をそうやって年寄りにするな!
第一、仕事・日常の話としては細かい話ではないわ」 |
|
鳴島
「はいはい」 |
|
光一
「『はい』は1回」 |
|
鳴島
「は〜い」 |
|
光一
「のばすなってーの!!
あー、もう……何で働き始めて7年目になる君に、
こんな基本を言わなくてはいけないのかね……」 |
|
鳴島
「マスターの育て方が悪かったんでしょうねぇ」 |
|
光一
「人のせいにするではない!!」 |
|
鳴島
「みぎゃぁぁぁぁぁ!!」 |
|
光一
「まったくもう……ここまで色々覚えないと、
情けないったらありゃしないよ」 |
|
鳴島
「うぅ〜…………こうやって頭グリグリされてきたから
きっと色々忘れちゃうんだ〜…………というか、
情けないってセリフ、マスターには言われたくないですよぅ」 |
|
光一
「何の話だね?」 |
|
鳴島
「先日、会社の新年会があったそうですよねぇ」 |
|
光一
「あったねえ」 |
|
鳴島
「そこで景品をつけたイベントがあったとか?」 |
|
光一
「うむ。社内対抗の腕相撲大会だね」 |
|
鳴島
「そこで勇んでエントリーしてみればぁ、
見事に新人に瞬殺され…………」 |
|
光一
「まあ、たまたまだ。たまたま。
勝負は時の運だ」 |
|
鳴島
「挙句、女子側の腕相撲2位だった先輩と勝負し、
それに勝てば喜び勇んで…………」 |
|
光一
「ふふ。私は女性相手でも手加減しないよ。
全力で勝負した。大接戦を制したね♪
それが紳士としてのマナーだからね」 |
|
鳴島
「そうして言った事が…………
『女子リーグで出ていれば2位確実だった!』
とか言い回っていたそうで?」 |
|
光一
「そうだよ。私のこの素晴らしい腕力。
これさえあれば……女子リーグで2位は取れたはず。
なんせ、女子側の2位を破ったのだから!!」 |
|
鳴島
「なんていうか…………
それこそ情けない…………
男子リーグでは最下位だったくせにぃ!!」 |
|
光一
「なっ…………」 |
|
鳴島
「そりゃあ、男子で一番弱いマスターでも、
女性には勝てるでしょうよぉ。
それを誇ってどうするんですかぁ……
男性陣では一番弱いくせにぃ……」 |
|
光一
「しょ、勝利は勝利だ!!
男に勝とうが、女に勝とうがね!!
女にだっているだろ……ほら……」 |
|
鳴島
「????」 |
|
|
光一
「アジャコングみたいな怪物!!
あんなんみたら、男も女も関係ないだろ?
つまり、男性陣で例え私が最弱でも、
女性陣では強かった。これが真実!!
つまり私は強くてカッコイイ!!」 |
|
鳴島
「……………………マスターの会社
アジャコングみたいな怪物いるんですかぁ?」 |
|
光一
「いるわけないだろ。みんな普通の女性だ。
あ、巨乳率高いかも!!」 |
|
鳴島
「…………情けないというか、なんというか」 |
|
光一
「何だね。勝利は勝利だ。
素直に認められんのかね」 |
|
鳴島
「まあ、確実に言えることは2つありますねぇ」 |
|
光一
「なんだね?」 |
|
鳴島
「その女性の先輩…………マスターの力をみて、
『あ、光一君になら簡単に勝てそうかも』
と思って、かなりナメて挑んできたのではぁ?」 |
|
光一
「そ、そんなわけがあるか!!
私の実力のすさまじさに、きっと惹かれたんだ!」 |
|
鳴島
「後は、どう取り繕っても、
やっぱりマスターはカッコ悪いですねぇ♪」 |
|
光一
「な、私のどこがカッコ悪い!!
どこからどう考えてもかっこいいだろうが!!」 |
|
鳴島
「そう思うんであればぁ、
みなさんに聞いてみたらいかがですかぁ?」 |
|
光一
「ふん。バカバカしい。
そんな結果の見えた事を聞くわけがないだろ」 |
|
鳴島
「そうですよねぇ♪」 |
|
光一
「みんな、『光一さんはカッコイイです!!』
ってそう言うに決まっている」 |
|
鳴島
「……………………」 |