2/10(木)
枯れ尾花
鳴島
「ままま、マスター!!」光一
「ん〜……
まだ朝じゃないだろう?」鳴島
「お、起きてくださいよぉ!!」光一
「ん〜……
まだ夜中の3時じゃないか。
なんだね一体?」鳴島
「い、今ですね、
トイレに行こうと思ったんですけどぉ」光一
「うん」鳴島
「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」光一
「ゆ?」鳴島
「幽霊が出たんですよー!!」光一
「…………
くだらん。
寝るぞ」鳴島
「い〜や〜!!
起きてください!!
こ、これじゃあ怖くて
トイレに行けないですぅ!!」光一
「幽霊なんて、
そんな非科学的なものが
いるわけないでしょ」鳴島
「で、でもぉ〜……
見たんですもん。
トイレの前の通路で……」光一
「電気つけていけばいいだろ?
幽霊なら明かりに弱いんじゃない?」鳴島
「今、
あの通路の電気切れてるんですぅ!!」光一
「あー、そういやそうだったね」鳴島
「と、とにかく
付いてくきてくださいよぉ!!
こ、このままじゃあ……
が、我慢できないですぅ!!」光一
「面倒くさいなあ」鳴島
「面倒くさいじゃないですぅ!!
私が呪い殺されたら
どうするんですかぁ!!」光一
「はいはい。
わかったよ、まったく……」
ギィギィ……
鳴島
「うにゃっ!?
こ、この音ってまさかぁ……」光一
「ここの通路は、
いつもきしむ音がするでしょ。
君も知ってるではないか」
タタタタタタ……
鳴島
「あ、頭の上を何かが……」光一
「数日前に
ネズミが入り込んだって言ったでしょ。
天井を走っているだけだ。
ほら、もうトイレの前の通路だぞ。
何もいないじゃないか」鳴島
「いたんですってばぁ!!
とにかく
トイレまで付いてきてください!!」光一
「そしたら、
部屋に戻っても良いかね?」鳴島
「一緒に部屋まで戻ってくださいよぉ!!」光一
「はいはい。
意外にトイレの中で幽霊に襲われたり?」鳴島
「うううう…………」光一
「あ、泣いちゃった。
ごめんごめん」鳴島
「じゃあ、
トイレのドア開けておくので、
見張っててください!!」光一
「いや、
それは別の意味でマズイだろ?」鳴島
「とにかく、開けておきますので、
マスターは
廊下側を見張っててください。
なら、トイレの中見えないですぅ……」光一
「はいはい。
って、どした?」鳴島
「………………」光一
「ん?
『右を見ろ?』
確かそこは空き部屋……」
じー……
鳴島
「(声になってない……)」光一
「ん?
『何か部屋の中から見ている?』
そういや、
何か光ってるなあ……
確認してみればいいだけだ」鳴島
「マスター!!
行っちゃダメですぅ!!
のの、呪われちゃう!!」光一
「ん?
なんだ、これか」鳴島
「あわわわわわわ……
マスターが光ってる目と並んで……」
パッ
光一
「ほら、部屋の明かりをつけたから、
よく見てみなよ」鳴島
「あれ!?」光一
「『幽霊の正体見たり枯れ尾花』
って言うだろ?
これ、
商店街の販促用マスコット人形
ウチも加盟しているから貰ったの」鳴島
「あれ?
じゃあ…………」光一
「言ったではないか。
幽霊などこの世にいないって」鳴島
「そんな紛らわしい物を、
そこに置いた
マスターが悪いんですねぇ!!」光一
「お、おい!!
それって単なる八つ当たりだろ!!
私は何も悪くないだろうが!!」鳴島
「うるさーい!!」
ザクッ!!
……どさっ……
鳴島
「マスターが悪いんだもん。
マスターが悪いんだもん。
マスターが悪いんだもん」
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