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鳴島
「ふんふふーん♪」 |
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光一
「お、綾香君。
おはよう」 |
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鳴島
「おはようございますぅ」 |
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光一
「何か甘い匂いがしていると思えば……」 |
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鳴島
「あー、今ちょうど、
チョコを湯煎で溶かしているトコですよぉ」 |
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光一
「あー…………
何かの日があるんだっけ?」 |
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鳴島
「もう2月14日は目の前ですよぉ」 |
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光一
「2月14日……あー」 |
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鳴島
「そういうことですよぉ」 |
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光一
「2月14日といえば、
『煮干の日』だね。うっかりしてた」 |
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鳴島
「はぁ!?」 |
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光一
「なんだね、綾香君。知らないの?
2月14日は煮干の日だよ?
2(煮)+1(棒)+4(し)」 |
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鳴島
「知りませんよぉ、
そんなへんちくりんな日」 |
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光一
「『全国煮干協会』に謝りたまえ!!
このご時勢に自前のHPも持たず、
じんわりとこの日を広めようとしているのに」 |
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鳴島
「だって、私、煮干し好きじゃないし…」 |
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光一
「まあ、何て娘でしょう!!
日本人なのに煮干しがキライ!?」 |
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光一
「そんなものよりも、
2月14日はチョコですもん」 |
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光一
「日本人なのに、
そんな西洋かぶれしたイベントに惑わされて……
しかもそのイベント自体、
日本の製菓メーカーの陰謀なのに!」 |
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鳴島
「別に楽しめればいいじゃないですかぁ」 |
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光一
「まったく……キリスト教にあやかりながら、
その実本場とはかけ離れた……
まるでクリスマスを連想させるイベントだよ」 |
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鳴島
「じゃあ、
マスターはチョコいらないんですかぁ?」 |
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光一
「は!?
何を言ってるの君は?」 |
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鳴島
「だってさっきから
『2月14日は煮干しの日』だとか、
『バレンタイン反対』だなんて……」 |
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光一
「別にバレンタインはどうでもいいが、
貰える物は貰ってあげてもいいよ。
裸体の綾香君にチョコをコーティングして……
そしたら全身くまなく舐めとってあげるからね」 |
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鳴島
「気持ち悪い!!」 |
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光一
「なんだね、せっかく人が、
綾香君の身体を美味しく食べてあげよう♪
って言ってあげてるのに」 |
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鳴島
「そんな態度を取る人にはあげませんけどぉ」 |
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光一
「なんだってー!?」 |
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鳴島
「マスター、
ご存知じゃないんですかぁ?」 |
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光一
「何をかね?」 |
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鳴島
「今年のバレンタインの流行」 |
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光一
「知らん!
バレンタイン当日は休日出勤だ」 |
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鳴島
「ご愁傷様」 |
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光一
「で、バレンタインの流行がどうしたかね?」 |
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鳴島
「マスター…………
チョコ下さい、私に!!
1万円くらいのヤツがいいなー♪」 |
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光一
「は!?
何で私があげなきゃならんのだ!?
しかも高い!!」 |
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鳴島
「んもぉ…………
今年の流行は『逆チョコ』ですよぉ」 |
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光一
「は? なにそれ!?」 |
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鳴島
「男の人が女性にチョコを贈るんですよぉ」 |
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光一
「くだらん!!
女性→男性の構図が崩れたから、
じゃあ逆にすれば売り上げ戻るだろう……
そんな製菓会社の思惑丸見えじゃないか!」 |
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鳴島
「そんな事言っていると、
彼女さん以外の女性から
相手にされなくなっちゃいますよぉ」 |
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光一
「ふん、最近のバレンタインは
ますます嘆かわしい!
友達同士で『友チョコ』とか……
疲れた自分に『ご褒美チョコ』とか……
バレンタインイベント発信時の趣旨は
完全にどうでもよくなっていて、
製菓メーカーの汚い欲望まみれ!」 |
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鳴島
「それが今年の流行なんだから、
ほら、さっさとチョコを買って下さい!」 |
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光一
「って、君はいらないだろ!
自分でチョコ作っているだろうが!」 |
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鳴島
「これは自分用ですもん♪
自分への『ご褒美チョコ』!!
人から貰うのは別ですよぉ♪」 |
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光一
「それなら私だって
自分用のご褒美チョコ買うわ!!」 |
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鳴島
「男の人は女性にチョコを買うの!」 |
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光一
「なんだね、そのふざけた趣旨は!?
じゃあ、
ホワイトデーは女性からお返しあるんだろうな?」 |
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鳴島
「は、何言ってるんですかぁ?
ホワイトデーは
男性が女性に物を贈る日ですよぉ?」 |
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光一
「きぃぃぃぃぃぃ!!
そんな製菓メーカーの陰謀など
誰が乗るものか!」 |
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鳴島
「当カフェへお越しのみなさまも、
ぜひ私にバレンタインプレゼントを♪」 |
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光一
「みなさん、騙されてはいけない!!
これは製菓メーカーの陰謀です!!」 |