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光一
「うーん…………」 |
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鳴島
「マスター、
おはようございますぅ」 |
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光一
「ん? ああ、はい。
おはよう」 |
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鳴島
「あれ?
朝から考え事ですかぁ?」 |
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光一
「うん。
ちょっとね」 |
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鳴島
「ちょっと…………
という割には、
結構真剣そうでしたけどぉ」 |
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光一
「まあ、真剣っちゃ真剣だな」 |
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鳴島
「一体何を考えていたので?」 |
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光一
「まぁ、いくつかあるんだけどね」 |
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鳴島
「はい?」 |
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光一
「私の彼女についてなんだが、
4月からの配属先が決まったの」 |
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鳴島
「あー、彼女さんの仕事先ですかぁ」 |
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光一
「うん。
今は私と半同棲だけど……
4月からそれぞれ他県で働くから、
一緒にいられないんだよね」 |
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鳴島
「あー…………」 |
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光一
「互いに仕事はしなくてはならないが、
会うこともままならぬというのも……
私はツライ…………」 |
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鳴島
「確かに大きな悩みですがぁ、
どうしようもないですしねぇ」 |
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光一
「まぁ、
こっちが深刻な考え事の方」 |
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鳴島
「じゃあ、
もう片方は深刻じゃない考え事で?」 |
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光一
「そう言われると誤解があるんだけど。
大事な話だけど、
まだ深刻性がないってだけ」 |
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鳴島
「で、何なんですかぁ?」 |
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光一
「いやぁ…………
当然ながら私は結婚を考えているの。
彼女がどこまで考えているか別にしても」 |
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鳴島
「あー、よく話していますよねぇ」 |
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光一
「私の設計では、
私が30歳の時に……
今から4年ぐらい先に結婚できたら、
と考えているんだけどね」 |
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鳴島
「ちゃんと設計しているのは感心感心」 |
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光一
「まぁ……子供を作るかどうかは別にして、
そのくらいの年齢で結婚するのが良いかと。
子供は……まあ、互いに欲しいなら……
片方が欲しくないならいらないわけだし」 |
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鳴島
「まぁ、そうですねぇ。
夫婦が互いに子供欲しいか、
どういう人生を送るかの問題ですし。
各カップルの自由ですからね」 |
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光一
「で、だ。
結婚すると、婚姻届を出すだろ?
事実婚とかじゃなくて、
正式に結婚するならばだけど」 |
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鳴島
「まぁ、そうなりますねぇ」 |
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光一
「正式にプロポーズして、
それで婚姻届を書く。
まぁ、夫婦になる最初の共同作業だね」 |
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鳴島
「そうなりますねぇ」 |
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光一
「そこでだ…………
婚姻届を出すという一大イベントに、
私は印象的な…………
それこそ一生に残る思い出を作りたいの」 |
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鳴島
「それは良いですねぇ♪
マスター、
意外とロマンチストですもんねぇ」 |
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光一
「そ、それは別にいいとして……
だから、たま〜に、
プロポーズの仕方を提案しているの」 |
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鳴島
「へぇ……例えばぁ?」 |
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光一
「夜ドライブに行って、
山から星空を眺めて
『結婚してくれ!』とか……」 |
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鳴島
「お……ちょっと恥ずかしい」 |
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光一
「恥ずかしい言うな!」 |
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鳴島
「でも、ロマンがあって良いですねぇ」 |
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光一
「まぁ、『結婚してくれ』って言うときは、
本当にそうしようかなと思ってるんだけど」 |
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鳴島
「なるほどぉ♪
マスターらしいですねぇ」 |
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光一
「で、プロポーズしたら、
婚姻届だが…………
ここにスパイスを加えたい」 |
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鳴島
「というと?」 |
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光一
「まあ、提案例として、
今日の日記にも書いたのだが……
遊園地のアトラクションを使う!」 |
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鳴島
「それは良いですねぇ……
って、うわ!?」 |
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光一
「ジェットコースターに乗りつつ、
婚姻届を書く」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「もしくは、観覧車に乗りつつ書く。
そして、どちらの場合でも、
地上に降りたら職員や
他の客が拍手で祝ってくれる」 |
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鳴島
「観覧車はロマンで良いですけどぉ……
ジェットコースターはぁ…………」 |
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光一
「面白いだろ?
時代をさきがけている気がしない?」 |
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鳴島
「そりゃそうですけどぉ……
どうしてこんな方法を考えたので?」 |
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光一
「高所恐怖症の彼女が、
怖がるところをとにかく見たいから!
単純に私は面白いし、
彼女にはつり橋効果もあって、
より愛情が深まるかと……」 |
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鳴島
「マースター…………」 |
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光一
「ん? 何?」 |
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鳴島
「『面白いから』とか……
そういう余計なことを言うから、
いっつも彼女さんに
『光一さんは適当なことばかり!』
とかなんとか、文句言われるんですよぉ」 |