2/22(月)
それは当時から見抜かれていたのではぁ?

光一

なんでだろうねえ?
鳴島

なにがですかぁ?
光一

普通、学校帰りに女子がだよ、

息を切らせて走って来て…………

『こういちくん!!』なんて言ってきたらさ
鳴島

『好きです、付き合って下さい♪』

なんて思うのは妄想ですよぉ
光一

これまでも妄想で片付けるのかね、君!?
鳴島

だって、マスターですよ、相手?
光一

いや、普通だったら告白のシーンだろ!?
鳴島

だって、現に告白されたわけじゃないですよねぇ?
光一

まあ、あの時はそうだった…………
鳴島

女子が走って追いかけて来てくれた、

これだけでも良かった思い出じゃないですかぁ
光一

実質的な利益が伴っていないじゃないか。

あの娘は学校でもトップクラスの美少女だったのに
清香

どうしたんですか?
鳴島

マスターが今から20年以上前、学校帰りに、

学校でもトップクラスの美少女に追いかけられたんだって
清香

へー
鳴島

あ、念を押すと、美少女が追いかけてきたって、

マスターの妄想じゃなくて事実らしいよ
清香

あ、そうなんだ
光一

そこは付け加えるべき情報だったかね!?

さり気に傷つけてるよ、私を!
鳴島

マスターとしては、告白を期待していたんだって
清香

で、結果はどうだったの?
鳴島

『マイトガイン』ってアニメを見て、

視聴率を上げるのに貢献して!

って言われたんだって
清香

あー…………

あれ、専用の機械が設置された家しか、

カウントされないから意味ないけどね
鳴島

その美少女が、そのアニメに出て来る主人公の事、

好きで好きで仕方なかったんだってさ
清香

あー、なるほど。

息を切らして追いかけてきた美少女。

呼び止められて告白を期待したのに、

知った事実は相手が『アニオタ』だった事だと。

それで二重にショックだったという思い出だと
光一

君たちの会話は、私の心をえぐっていると、

そろそろ気が付いた方が良い
鳴島

そもそもそんな美少女が、

わざわざマスターを走って追いかけて来て、

告白するわけないじゃないですかぁ♪
光一

笑顔で!?
清香

まだ声をかけてもらえる対象だっただけ、

マシだったと思うべきではないですか?
光一

えっ、私ってそんなレベルなの!?
鳴島

当時のマスターから既に、

そう言ったオタク臭が漂ってたんじゃないですかぁ?
清香

だったら走って追いかけてきた理由も、

突然アニメの話をされた事も、

まあ、うなづける話ですね
光一

君達、私の心を深くえぐってるよ?
鳴島

まあ、私達が言いたい事は要するに、

マスターは当時からそういった…………

普通の人ではないオーラがあったという事ですよ
光一

それ、絶対ほめ言葉ではないよね!?
清香

当時の女子からも見抜かれていたんですね
光一

何を!?
鳴島

いや、だから、オタク的な要素を?
光一

私のどこがオタクかね!?
鳴島

オタクでない一般人が、

果たしてコミケに行ったりするものですか?

というか、自分をオタクって認めてましたよね?
光一

ぐっ…………
鳴島

あっ、今、目を逸らしましたね?
光一

君達、私の思い出と現在をいじって、

追い詰めて楽しいかね?
鳴島

別に追い詰めてるわけじゃないくて、

マスターが勝手に袋小路に入ってるだけですよ
清香

まあ、そんな思い出話なんて、

20何年も前の事なんですから、忘れちゃいましょうよ
鳴島

そうそう。モテ期なんて妄想の産物ですよぉ♪
光一

君達、私に対する言葉かけが、

最近妙にキツくなってないかね?

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