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光一
「綾香く〜ん」 |
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鳴島
「はい、なんですかぁ?」 |
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光一
「ここ、まだ汚れてるんだけど……
ちゃんと掃除した?」 |
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鳴島
「あ〜、ちゃんと掃除したハズなんですけどねぇ」 |
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光一
「仮にもカフェなんだからね。
ちゃんと綺麗にしておいてくれよ」 |
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鳴島
「は〜い」 |
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光一
「君の部屋はゴミ屋敷かもしれないけど、
職場までそうしないでくれたまえよ」 |
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鳴島
「私の部屋は綺麗ですよぉ!」 |
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光一
「ホントかねえ?」 |
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清香
「信じがたいかもしれませんけど、
お姉ちゃんの部屋、かなり綺麗ですよ」 |
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鳴島
「ほらぁ〜♪」 |
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光一
「ホントに?」 |
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清香
「前に遊びに行った時、
ゴミ袋で足の踏み場もないんだろうな
って覚悟して行ったんですけど……
行ったら綺麗で驚きましたから」 |
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鳴島
「なんか余計な言葉が混じって無かった?」 |
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清香
「気のせい気のせい」 |
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光一
「ふ〜ん…………信じがたいが。
自分の部屋をそんなに綺麗にできるのに、
どうして職場の掃除では手落ちがあるのかねえ?」 |
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鳴島
「そんなにお店の掃除、手落ちありますかねぇ?」 |
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光一
「窓枠とか床にホコリ残ってるじゃん」 |
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清香
「確かに…………
お姉ちゃんの部屋にはチリひとつ無いくらい
すごい綺麗だったんですけどねぇ」 |
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鳴島
「強いて言うならアレですかねぇ?」 |
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光一
「ん?」 |
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鳴島
「お宝探しみたいで、掃除は楽しいんですよぉ♪」 |
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光一
「その楽しいお宝探しで…………
何故、店の掃除は手落ちがあるのかねえ?」 |
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鳴島
「自分の部屋で発掘したものは、
自分の物ですけどぉ…………お店で何か発見しても、
持って帰ったら横領になるじゃないですかぁ」 |
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光一
「ものすごく当たり前の事だが…………
何、それがモチベーションの差なの!?」 |
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鳴島
「はい!」 |
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光一
「……………………
今、ちょっと目まいがした……」 |
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鳴島
「大変!? 大丈夫ですかぁ?」 |
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光一
「うん。原因ははっきりしているからね……」 |
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清香
「まあ、部屋の掃除を始めると……
なんだか時間があっという間に過ぎるってのはあるね」 |
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鳴島
「アルバムとか色々出てきたり、
掃除すると色々見つかって楽しいんだよね」 |
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光一
「職場の掃除も、それくらい楽しくやってくれないかね?」 |
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鳴島
「お店の掃除は……特にウキウキするものもないのでぇ」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「この前なんて部屋の掃除していたら、
1000円の商品券見つけましたからね!
お宝発見って感じですよぉ♪」 |
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光一
「まあ、掃除をしていて見つかるものが……
必ずしもお宝というわけでもないがね」 |
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鳴島
「はい?」 |
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光一
「震災で自宅待機中……部屋の掃除を随分したけど、
うん。私も発見したよ、嫁が放置していた諸々の物」 |
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鳴島
「へぇ〜、何を見つけたんですかぁ?」 |
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光一
「そうだね……………………
タッパーに詰められた残り物のご飯とか、
様々な物資の底に置かれたアルミの包みとか」 |
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鳴島
「はぁ?」 |
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光一
「タッパーを開封すれば…………
糸が引いててね。スープになったご飯があったよ。
知ってた? ご飯ってスープになるんだわ。
アルミ包みからは白いソーセージがね……」 |
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鳴島
「うわぁぁぁぁぁ!?」 |
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清香
「それはちょっと…………」 |
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光一
「嫁に問いただしたら……
それらを保存していた事すら覚えてないし……
掃除って本当に大切だよ。ええ!」 |
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鳴島
「それは宝探しと言うかぁ…………」 |
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清香
「宝箱を開けたらミミックだったというか……
希望は残って無かったんですねぇ」 |
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光一
「タッパーって怖いね!!
あれって、パンドラの箱だよ!
タッパーは……危険物になるんだよ!」 |