光一
「ホントまいったよなあ」清香
「どうしたんですか？」光一
「いや先日の事だけどさ、
３年前に購入したＰＣでWindowsが起動しなくなって」清香
「あー、それは困りものでしたね」光一
「中のデータが吹っ飛んでいたらどうしようかとか、
しばらくサイトの更新できないなあと思ってね」鳴島
「でも、もうメインＰＣ戻ってきたわけですよねぇ。
こうしてウチの更新してるんですから」光一
「うん。
先週の木曜日に修理終わって受け取ってきた」鳴島
「じゃあ今更別にまいったって程でも」清香
「メインＰＣがいなくなっていたのも
まあ１週間そこそこ位だったし」光一
「まあ、そこはそうなんだけどね」鳴島
「もしかして、一部のデータ移行に失敗して
無くしちゃったデータがあったとかぁ？」光一
「基本的に失ったデータは無かったね。
ただ初期化されているから…………
ソフト再導入したり色々面倒くさかったけど」清香
「まあ、でもなら特に問題は」光一
「問題はＰＣの修理持って行った時と、
その後の経過の中だよねえ」鳴島
「んぅ？」光一
「ＰＣのＨＤを初期化することになったんだけどね」清香
「先ほど言われてましたね」光一
「ということは、初期後に当然の事ながら
中身のデータを戻す話になるわけだ」鳴島
「でも先ほど、
特に失ったデータも無いと言われてましたよねぇ？」光一
「まあ、それは特に問題は無かった」清香
「？？？？」光一
「しかし、データを移行してもらうという事は……
何のデータを絶対に移行すべきか、
ＰＣショップの店員に聞かれるよね」鳴島
「そうじゃないと何を移行するか、
何のデータが重要か分かりませんしねぇ」清香
「ＨＤ初期化しちゃった後に、
『このデータが無い！』ってなったら問題ですもんね」光一
「まあ、私の場合必要なデータの大半はＤドライブで、
それは丸ごと移行してもらえればいいんだけど」清香
「このお店（サイト）のデータもＤドライブ？」光一
「そうそう。他にも収集した画像や、
今までに撮影した写真データその他、
以前の職場で作成した授業用の資料とかもね」鳴島
「じゃあ、ＰＣショップの人にも
移行するデータ伝えやすくてよかったですね」光一
「ただ……Ｃドライブにも一部移行したいデータあるし、
デスクトップにあるショートカット群とか……
まあ、フォルダの場所をうろ覚えのものも
やっぱりあるんだよ」清香
「まあ、たくさんデータがあればそういうものですかね」鳴島
「で、結局何がまいったんですかぁ？」光一
「そういう中にはさ…………
人に見られたくないデータもあるんだよ……」鳴島
「あー、なるほどねぇ」清香
「幼児の裸の画像データとかですか？」鳴島
「それだと警察に通報されて捕まりますよね！」光一
「私はそんな趣味などないし、
幼児のデータなど１枚たりとも持ってないわ！！
私を何だと思ってるんだね」鳴島
「だって人に見られて困るデータも持ってるって……
そういう類のものじゃないんですかぁ？」光一
「全然違う」清香
「じゃあ、そんなに困ることでも」光一
「フォルダ名にだよ…………
『１８禁』『AV女優』『Ｈマンガ』とか
そういう名称がついているのに？」鳴島
「……………………」清香
「……………………」光一
「何だねその視線は！？」清香
「幼児の裸データと違って捕まりませんが」鳴島
「ベクトル的にアレですよねぇ……」光一
「しょうがないだろ、男なんだから！！
とにかくそういうフォルダ名ももちろん……
中身を店員に見られる可能性や……
あるいは教える可能性があるじゃないか。
だからすごい冷や冷やしながらで
ＰＣショップ行く度に生きた心地がしなかった」鳴島
「単に人に見せてやましいデータがあるから
そうなっただけではないですかぁ……」清香
「そんなに簡単に見られる可能性があるくらい、
たくさん存在していたんですか？」光一
「１８禁的な画像データや同人ＰＤＦデータ……
それだけで数百点はあるのかなあ……
学生時代から収集しているものだし」鳴島
「うわぁぁぁ…………」光一
「ＡＶ女優のＨな動画は１０ＧＢ軽く超えてた」清香
「それは……ＰＣショップに持ち込みにくい内容ですね」光一
「ＰＣショップの店員に見られたのかと思うと……
彼らが心の中で私を軽蔑してるんだろうなとか、
顔から火が出そうな程に恥ずかしかった」鳴島
「そんな気持ちになる位なら、いっその事
それらのデータ消去してはいかがですかぁ？」光一
「何言ってるの！？
こんな貴重なデータ群を失ったら、
私は何をオカズにすればいいの？」鳴島
「アナタ……奥さんいるでしょうよぉ……」
