  | 
      光一 
       
      「うーん、しっかしあれだよねえ」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「なんですかぁ?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「人間の歴史って古代エジプトから考えたら、 
       
      文字に記載された有史で5000年以上になるんだよね」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「……………………」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「何で人の額に手を当ててんの?」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「熱でもあるのかと思いましてぇ」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「どういう意味かね?」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「いや……マスターが変な事を言い始めるのでぇ」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「失礼だね、君は!! 
       
      私はこう見えても歴史学専攻だったし、 
       
      高校で講師をしていた時期もあるんだよ!」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「そうなんですか!?」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「そうでしたっけ!?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「もう5年ちょっと前までの事だけど…… 
       
      って、その頃ウチで働いていない清香君はともかく 
       
      何で綾香君が疑問符を浮かべてるのさ!」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「いや……普段している会話からそういった知性が 
       
      全然感じられないなあと思いましてぇ」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「君にだけは知性が無いと言われたくなかったが 
       
      無いと言われれば……おっぱいが無い清香君の」 | 
    
    
       
       
       
       
       
        
       
      『ドラクエU、サマルトリアの王子風の清香君イラスト♪』 
       
      (清水ももこ様より) 
       
       
       
       
       
       | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「素敵なDQ2コスプレイラストをいただきました♪ 
       
      はっ、すいません! 言い間違えました!!」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「マスター……後でどうなるか……覚えててくださいね」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「で、いきなりなんでそんな話に?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「いや……人間の文明って言うのは進歩しているように見えて、 
       
      それはハードウェアやソフトウェアの話であって、 
       
      人間の本質は変わっていないという話をしたいんだよ」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「?????」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「古いお酒でも新しい瓶に入れてみれば、 
       
      一見新しくは見えるが、本質は変わっていないわけだ。 
       
      人間も獣の皮から洋服に着替えたけど、本質はどうかね?」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「あー、逆の言い方はありますよねぇ」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「新しい酒を古い革袋に盛る……かな。 
       
      まあ、これは 
       
      新しい様式を古い様式に合わせてみる……だけど」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「19世紀にヨーロッパでは盛んに 
       
      ”進歩主義史観”が叫ばれたんだ。 
       
      つまり”産業革命”そして”国民国家”の形成による 
       
      “国民”という”想像の共同体の形成”なんて言われるものの結果、 
       
      それと科学技術の発達、未開拓地の開拓、国民の統合によって、 
       
      人間世界は豊かになり、ますます繁栄するという思想だね」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「ふむ〜ふむ?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「“自由貿易”なんてものはその頃、特に喧伝された。 
       
      ちなみに、“国境”なんてものが明確化され、 
       
      しかも教え込まれたのはその時期。 
       
      それまで人類に“国境”はあってないものだったんだよ。 
       
      ちなみに“未開拓地”っていうのは日米欧州列強のエゴ。 
       
      つまりは彼らの国の色に染まっていない地域を 
       
      植民地として支配していくというだけのことさ。 
       
      地図に色んな国が色分けされてるだろ? 
       
      あんなの誰が考え出したんだい?」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「あー、言われてみれば……」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「ところが、”進歩主義史観”は大きな壁にぶつかった。 
       
      幾つもその理由はあるんだが、1つはなんだと思う?」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「…………いつもはここでエッチな話ばかりなのに、 
       
      急にどうしたんですかぁ?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「いや、私の本質はそもそも歴史学なんだが……」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「戦争ですかね?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「そう。 
       
      進んだ科学技術・文化思想をもってして、植民地を持つ矛盾。 
       
      世界地図を自国の色で染める程に喝采を受ける政治家。 
       
      同じ”国民”と言いながらも、自国民間の経済格差という矛盾。 
       
      国民間にうずまく不満を、他国に煽ってぶつけて逸らす。 
       
      これらが前者は世界大戦を、後者は革命を引き起こした」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「だから人間の社会は 
       
      実は進歩なんてしていない……と?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「そういう風に考える歴史史観が生まれてきた。 
       
      必ずしも時代が進む毎に進歩しているわけではないのでは? 
       
      そういう考え方が出てきた」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「ふむーふむ?」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「姉さん……分かってる?」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「わ、わ、わ、分かってるよぉ!!」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「今も日米の政治家は進歩主義史観にこだわっているけど、 
       
      実は進歩主義史観なんてのは 
       
      ハードウェアと付属するソフトウェアに対する 
       
      人間の抱いた妄想でもあったわけだ。 
       
      2つの世界大戦およびそれに起因するの死傷者の数は、 
       
      それ以前の数千年間の歴史における戦死傷者の総計を上回っている」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「そんなに!? 
       
      たった2回の戦争で?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「例えば有名な“スペイン風邪”だね。これは第一次世界大戦末期 
       
      1918年から流行したインフルエンザで 
       
      感染者6億人、死者4000〜5000万人と言われている。 
       
      第一次世界大戦の戦死者は民間人を含め1000万人 
       
      って推定されているから、それ以上の数字だね」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「でも、戦争での死者ではないですよね?」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「スペインってそんなに人いましたっけ?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「いや、ちなみに発生源はアメリカと言われているんだ。 
       
      スペインは発生源ではない。 
       
      よくこの事は誤解される。言葉の持つ意味の大きさだね」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「ほえ?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「スペインは世界大戦に中立だったので、 
       
      世界中に情報を発信したのがスペインだった。 
       
      なのでこの名前になった。 
       
      アメリカ軍が大戦に参加したのは1918年だ」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「あっ!!」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「そう。だから米国発のインフルエンザがヨーロッパに渡り、 
       
      世界中に広がって行った。また世界大戦時、 
       
      兵士達は栄養不足や、極度のストレス疲労で免疫力は低下。 
       
      戦争のため医療体制は十分でもなかった。 
       
      同じことは非戦闘員にも言えた。 
       
      そういうわけで、この戦争がインフルエンザ被害を拡大させたんだね」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「でも、第一次世界大戦後に 
       
      ”不戦条約”って出来てますよね?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「さすが現役女子高生! 
       
      3年生ともなれば知ってるか。 
       
      1928年に締結されたこの条約には、 
       
      『国際紛争は武力によって解決しない』と決められている。 
       
      締結国は最終的に63カ国!! 
       
      ところがこれは、未曾有の犠牲者を出した 
       
      第二次世界大戦前夜の事だったわけだ」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「う〜ん………… 
       
      でも今ではそういう大戦はありませんよねぇ?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「誰にも、この先に無いとは言いきれないさ。 
       
      最初の世界大戦は1914年だが……その年の春には誰も、 
       
      世界中を巻き込む戦争が起きるなんて考えてもいなかった」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「そうなんですかぁ?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「あるいはいたとしても圧倒的少数派だった。 
       
      何故ならばその時期、 
       
      ヨーロッパ列強や日米は植民地分割競争をしながら、 
       
      実際戦争寸前になると必ず妥協して握手をしたんだ」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「ファショダ事件とか、タンジール事件とか?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「さすが。前者は英仏。後者は英仏とドイツが妥協したんだね。 
       
      植民地とされた地域の住民抵抗は協力して抑え込もう。 
       
      互いに対立しあっても、 
       
      結局は支配のために握手しようってね♪ 
       
      そういう意味では日露戦争の2年後、 
       
      両国は日露協約という同盟関係を築いている」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「分かるような分からないような…… 
       
      なんだかすごく曖昧な関係ですね」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「当事者にとってはそれでよかったのさ。 
       
      また、1938年の『ミュンヘン会談』が終わった時、 
       
      イギリス首相チェンバレンは帰国した際に、 
       
      『これでドイツとの戦争は起きない。平和が保たれた』と、 
       
      彼は高らかに宣言して、イギリス国民の喝采を浴びた。 
       
      ドイツに占領されることを一方的に会談で決定された 
       
      チェコスロヴァキアの人々の運命なんておかまいなしにね。 
       
      2度目の世界大戦は1939年に始まっている」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「なるほど」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「だからこそ、歴史学は意味がある。 
       
      “ペンは剣より強し”……でしょ。 
       
      人間の誤った歴史でも何でも、 
       
      それを後世に伝えることは出来る」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「だったら進歩してるんじゃないですかぁ♪」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「だと良いね。私はそこまで楽観していないが…… 
       
      ともあれ、この半世紀程度は大戦は起こっていない。 
       
      起きれば恐らく人類そのものの破滅だろうね」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「核もありますしね」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「恐怖の上の“核武装の平和” 
       
      …………私は組しないけどね。 
       
      第一次世界大戦前夜は 
       
      “武装平和の時代”って言われたんだ。 
       
      列強の主張としてはね、 
       
      『ドイツが戦艦を建造した、ならイギリスも同じく造ろう! 
       
      戦力均衡を保てば、互いに手が出せない。 
       
      あるいは相手より多い戦力を持てば、 
       
      ますます手が出せない。 
       
      だから平和は保たれる!!』ってね」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「それだとどう考えたって、 
       
      無制限に次々と軍備増強するんじゃ」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「実際にそうなった。 
       
      各国は軍事費の膨張に四苦八苦し始めた。 
       
      それが各国民にどう説明されたかと言えば、 
       
      『彼らが攻めてくるかもしれない、だから備える』 
       
      こうすれば相互不信が芽生える温床となるんだ。 
       
      しかし彼らとは誰だい? 何時だって相手は変わるんだ。 
       
      生産された兵器群は膨大なコストをかけたのに、 
       
      使われる方法は破壊以外に無い。非生産的だ。 
       
      そして皮肉にも、そうした兵器群は 
       
      自国民に対して使われた事の方が圧倒的に多い」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「何でですかぁ?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「自国民の中で現状に不満を持つグループ、 
       
      特に政府に不満を持つ人々を押さえ込んだのは、 
       
      基本的に政治・官僚・軍のトリニティだからだよ」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「うーん…………」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「今の核兵器で埋められた時代はどうなのかね? 
       
      日本では核武装論者が増えてきているけど、 
       
      本当にそれは歴史的に見て正しいことなのかね? 
       
      そもそも歴史に正しいというのは何なのか?」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「うーん…………何が正しいんですかね? 
       
      マスターの歴史観は正しいんですかぁ?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「さあ、どうだろう? 私には確信は無いよ。 
       
      ただあえて言わせてもらうとね、 
       
      “歴史に正しい”は無いんだよ」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「?????」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「歴史は書いた人の背景・思想で現れるんだ。 
       
      だから“正しい歴史”なんて存在しない。 
       
      ただし、“歴史の真実”は間違いなく存在する。 
       
      起きた事実は絶対に消せないんだ。 
       
      そして消させないことが大事なんだ。 
       
      君たちはオーウェルってイギリス人作家の 
       
      『1984年』って小説を読んだことはあるかい? 
       
      1948年に書かれたものさ。出版は1949年だが」 | 
    
    
        
        | 
      鳴島&清香 
       
      『無いですね。1948年に1984年?』 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「そう。未来のディストピアを書いた小説だ」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「ディストピアって何ですかぁ?」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「ユートピアの逆。楽園の逆って事」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「そう。ディストピアというのは典型的には 
       
      人々が定められた秩序で統制され、 
       
      あらゆる人々を国家が管理し、 
       
      自由を一切認めないという社会。 
       
      ちなみに個人恋愛も性欲すらも許されない。 
       
      で、その小説の主人公は“真理省”に勤めている」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「恋愛も!?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「そうさ。それは”個人の自由”だろ? 
       
      性欲さえもダメ。 
       
      それは子孫を残すためだけに許される。 
       
      快楽などというものは許されない。それは退廃主義とみなされる。 
       
      結婚は子供を残す事においてのみ、国家に許される」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「それで、“真理省”って?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「1984年のその時代、 
       
      戦争によって世界は3つの超大国に分割されていた。 
       
      そして絶対的な政党が支配する時代になった。 
       
      その政党は国民を管理する正当性が必要だ。 
       
      だから歴史の中の出来事で 
       
      国家にとって不都合なものは全て消されて、 
       
      そうして都合の良い歴史が書かれていく。 
       
      主人公の勤めた“真理省”は、 
       
      歴史記録の1ページ1ページを 
       
      毎日毎日、来る日も来る日も 
       
      “削除”し 
       
      “修正”し 
       
      “真理”を 
       
      “創り出す”ものだったんだ」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「歴史を国にとって都合の良いことだけにすると」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「そう。それが絶対的な正義であり、 
       
      国家が国民を統治する理由となり、 
       
      誰もが逆らえない国家体制を作り上げていくわけだ。 
       
      国民はその中で、常に監視され私生活は存在しない。 
       
      そして自分たちが信じさせられている 
       
      国家と党に逆らう存在に 
       
      常に憎悪を向けさせる宣伝を続ける。 
       
      ……と、そんな救われない未来を書いた小説さ。 
       
      しかしながら残念な事に、 
       
      オーウェルが半世紀以上も前に書いた事は 
       
      悲観的な夢物語の小説ではない。 
       
      日本も含めてだけど、現実の世界だって少なかれそうさ」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「その小説の世界で、異議を唱えたら?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「そんな人は 
       
      “初めからこの世にいなかったこと” 
       
      …………になるか、 
       
      あるいは徹底的な検挙活動の対象となる。 
       
      洗脳された国民からは、憎悪の対象になる」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「うわぁ…………」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「日本にだって最近有名になったディストピア作品があるよ」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「ほぇ?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「バトル・ロワイアル……国会議員に映画上映中止を求められて 
       
      問題になった事もあったよね? 
       
      青少年への悪影響? 
       
      いやいや……それは半分本音、半分は違うと思う。 
       
      ディストピアが存在し得る可能性への嫌悪だったんだろうね。多分。 
       
      もしかしたらディストピアに日本はなるかもしれない? 
       
      そういった嫌悪感。もしかしたら確信的かもしれない。 
       
      あれも管理社会におけるディストピア作品だよ」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「あー……言われてみれば」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「ちなみにこんな事は小説の話に限らない。事実ある。 
       
      例えば、ソ連のスターリン時代には粛清の嵐が吹き荒れて、 
       
      1920年代にスターリンが腹心と撮影した写真。 
       
      7人写っていた。 
       
      この同じ写真が1930年代には3人しか写っていない」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「え?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「他の4人は粛清されて、 
       
      “この世に最初からいなかった”事にされた。 
       
      出生記録などは国が管理してるだろ? 
       
      そんな書類は国が処分すれば 
       
      “初めからいないこと”になる。 
       
      そして写真も回収され、 
       
      その後配布された写真は合成写真になった」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「怖いですねぇ…………」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「だけど、“歴史の真実”は誰も変えられない。 
       
      だから先ほどの話で言えば、 
       
      私達はスターリンに“消された人達”を知っている。 
       
      だから、歴史学には意味があるんだ」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「なるほど…………」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「さて、人間の歴史以来“真実”はあるのだけど、 
       
      またそうした真実にはこういうのもあるね」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「なんですかぁ?」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「人間の歴史はお酒と猥談に溢れている。 
       
      ギリシャの喜劇や神様はそんな話ばっかりだ。 
       
      お酒を飲み、エッチな話ばっかり」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「あー……人間はつまり快楽とエッチだと……」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「そういうのが好きな人が多く、 
       
      過去・現在……そして未来も不変ではないかね?」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「まあ……確かにそれは」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「なんで今日は随分真面目な話を…… 
       
      しかも初めて真面目な話をしたのに、 
       
      こんな話で収束するんですかねぇ」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「あー、オフ会のレポート2段目を書いたんだけど。 
       
      男女関係無く猥談話に終始していたから…… 
       
      うん、人間は有史以来猥談が尽きないねと 
       
      そしたら思わず歴史の話になっちゃった」 | 
    
    
        | 
      鳴島 
       
      「最後ぐらい綺麗に締めれば……」 | 
    
    
        | 
      清香 
       
      「マスターの評価も人並みになったでしょうに」 | 
    
    
        | 
      光一 
       
      「何!? 私の評価今まで、 
       
      人並みですら無かったの!?」 |