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光一
「うーん、天気予報見ると雨ばかりだねえ」 |
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鳴島
「もう時期が時期ですからねぇ」 |
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光一
「もう、3日放置した食パンが
ウグイスパンになる時期とはねえ」 |
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鳴島
「ですよねぇー」 |
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光一
「あー、
ジメジメして脳みそにカビでも生えそうだねえ」 |
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鳴島
「そうそう、脳みそにカビといえばぁ……
奥様との『脳トレ』トレーニングはどうなったんですかぁ?」 |
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光一
「脳みそのカビと私を、
何か変な形で結びつけた発言が気になるが……」 |
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鳴島
「やっぱり実年齢と同様にぃ、
脳年齢も奥様の方が若かったんですよねぇ?
マスター、お年寄り年齢のままでしょぉ?」 |
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光一
「し、し、失礼な!!
私はなんとだねえ……
最大で26歳まで若返ったよ!」 |
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鳴島
「うそっ!?」 |
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光一
「ふふ、これが現実だよ。
20代に最も近い30代の私が…………
実年齢より4歳も若い26歳♪」 |
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鳴島
「で?
奥様との勝負はぁ?」 |
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光一
「まあ、とにかくボクはやれば出来る子ってことだね。
26歳に若返ったんだからね♪」 |
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鳴島
「奥様の脳年齢はぁ?」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「へ〜、そういうことですかぁ?」 |
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光一
「何がそういうことだね?」 |
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鳴島
「奥様の方が、より若返ったんですよねぇ?
結局負けたんですよねぇ?
でしょ?」 |
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光一
「さて、脳トレと言えばだねえ」 |
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鳴島
「ごまかさないで答えてくださいよーぅ」 |
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光一
「とにかく、私は若返ったんだよ。
で、だ…………」 |
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鳴島
「おーい、結局どうなったんですかぁー?」 |
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光一
「そんな事はさておいて、
君はこれを何だと思うかね?」 |
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鳴島
「話を逸らし続けるってことはぁ、
結局奥様との脳内年齢勝負は負けたんですねぇ?」 |
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光一
「ほれ、この絵を見たまえ」 |
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鳴島
「この絵、マスタが描いたんですかぁ?」 |
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光一
「そう。『脳トレ』では時折お題が出されてね、
お題に答えて絵とか文を作って、
それを別の人に見てもらうってのがあるの」 |
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鳴島
「このイラストなら、すぐに分かりますよぉ!
特徴をよくつかんだイラストだと思いますよぉ♪」 |
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光一
「お、そうかね?」 |
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鳴島
「はい、ペンギンですよねぇ♪」 |
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鳴島
「一目で分かりましたよぉ♪」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「ほぇ?」 |
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光一
「君はバカか?
脳にカビでも生えているのかね?」 |
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鳴島
「なんでですかぁ!?」 |
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光一
「どっからどうみたって、これは……」 |
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光一
「スズメでしょ!!」 |
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鳴島
「見えませんよ!
どう見ても、ペンギンでしょうよぉ!」 |
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光一
「う……いや、しかし……」 |
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鳴島
「で、一緒に『脳トレ』やってる奥様はぁ、
このイラスト見て、なんて答えたんですかぁ?」 |
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光一
「不思議な事に、綾香君と全く同じ。
『すぐに分かった!』って言って、
迷うことなく"ペンギン"って書きやがったね」 |
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清香
「何見てるんですかぁ?」 |
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鳴島
「あー、清香」 |
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清香
「ん? ペンギンの絵なんて見て。
誰が描いたの?」 |
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光一
「人に何かを伝えるのは難しいことだねえ……」 |
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清香
「はい?」 |
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鳴島
「いや……さすがにこれは……
描いている途中で気がつかなかったんですかぁ?」 |
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光一
「黒く塗ったあたりで…………
もしかしたら万が一、
100に1回位は、ペンギンと答えるかも……
という一抹の不安はよぎったがね」 |
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鳴島
「いや……そういうレベルじゃないと思いますよぉ」 |