|
光一
「うーん、
最近は天気がすっきりしないねえ」 |
|
鳴島
「天気よりも、
別の事ですっきりしませんがねぇ」 |
|
光一
「何? 気分でも悪いの?」 |
|
鳴島
「気分と言いますかぁ……」 |
|
光一
「何、生理が来ないとか!?
それは大変!!
心当たりのある相手は誰かね!?」 |
|
鳴島
「違いますぅ!!
どうしていつもそう、
セクハラな方向にしか
話が流れないんですかぁ!?」 |
|
光一
「セクハラとは失礼な。
君の身体を気遣って言っただけなのに」 |
|
鳴島
「すっきりしないのは、
マスターの今日の日記ですよぉ」 |
|
光一
「GW旅行記2日目の事かね。
どこかすっきりしない点があるか?」 |
|
鳴島
「すっきりというか……
まぁ、
とりあえずはそこに座ってください」 |
|
光一
「うん?」 |
|
鳴島
「……………………
マスター、何故に
椅子に座ってるんですかぁ?」 |
|
光一
「座れと言ったではないか?」 |
|
鳴島
「誰が、何時何分何秒に
椅子に座って良いと言いましたかぁ?
床に正座に決まってますぅ!」 |
|
光一
「何で決まってるんだよ!?」 |
|
鳴島
「何でって……お説教?」 |
|
光一
「何で君なんかに、
雇用主の私が説教されなきゃならんのだ!?」 |
|
鳴島
「分からないんですかぁ?」 |
|
光一
「少なくとも、
説教される理由がない」 |
|
鳴島
「よくもまあそんな事が!?」 |
|
光一
「だって、
実際私が何かしたかね?」 |
|
鳴島
「自分の罪さえ自覚できない。
これこそがまさに罪ですねぇ」 |
|
光一
「罪!?
一体私が何をした!?」 |
|
鳴島
「何をした…………
という意味合いでは、
まだ未遂ではありますがぁ」 |
|
光一
「未遂って…………
私が何をしようとしていたと?」 |
|
鳴島
「今日の三重県旅行レポ……
あれを読み返しても分かりませんかぁ?」 |
|
光一
「特に罪になるようなことは
ないように思えるけどねぇ……」 |
|
鳴島
「あんな記事を読み返しても!?」 |
|
光一
「あんなって…………
人の旅の思い出を
『あんな』とは何かね!?」 |
|
鳴島
「マスター…………
三重県では伊都さんに会えるかも
と、楽しみにしていましたよねぇ?」 |
|
光一
「残念な事にお会いできなかったがね。
まあ、互いに生きていれば、
また会える機会もあるだろう」 |
|
鳴島
「……もう無いかもですよぉ」 |
|
光一
「何故!?」 |
|
鳴島
「今日の記事…………
どこをどう読んでも、
会ったことのない女性に
警戒心を抱かせるには十分かと……」 |
|
光一
「どこが!?」 |
|
鳴島
「どこがって……アナタ……
『旅先で女性とポッキーゲーム』
『間接キ、キ、キ……●ッスが……』
……伊都さんダシにして、
一体何を考えているんですかぁ……」 |
|
光一
「いや、それはその……
えっとだな…………
まあ、そういう事だよ!!」 |
|
鳴島
「開き直った!?」 |
|
光一
「いやだって…………
1メートルのふ菓子なんて、
現実的に1人では食べられないし」 |
|
鳴島
「それ以外にも…………
レストランの女の子が気に入って……
『306号室に今夜11時、君を!!』
って…………反省しなさい!!」 |
|
光一
「実際にそう言ったわけではない!
頭の中で念じただけだ!!
現にその娘、部屋に来なかったし!」 |
|
鳴島
「…………どうしてそう……
どこへ行っても頭の中が
ドピンクなんですかねぇ……」 |
|
光一
「それは私が男だから。
男はそういうもの……
つまりこれが罪とか言うならば、
それは男として生まれながらに背負った
まあ、原罪ってやつだね……
私は十字架を背負った男……」 |
|
鳴島
「変な方向で
自己正当化を図らない!!」 |