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鳴島
「おはようございますぅー!
お盆休みから戻ってきましたぁー」 |
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光一
「おはよう。
お盆休みはどうだったかね?」 |
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鳴島
「楽しかったですよぉー♪」 |
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光一
「帰省してきたんだろ?
ご両親とかどうだったのかね?」 |
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鳴島
「んぁ?」 |
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光一
「いや……『んぁ』じゃなくて」 |
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鳴島
「え?
帰省なんてしてないですよぉ?」 |
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光一
「え? なんて……って言われても。
え、じゃあ、お盆休みは?」 |
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鳴島
「美味しい海の幸を堪能しましたよぉ♪
いやぁ……やっぱり夏は海ですねぇ」 |
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光一
「あれ?
だってお盆中休み理由に……
『帰省のため』って……」 |
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鳴島
「あっ!?」 |
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光一
「ちょい待て…………
喫茶店はお盆中忙しいのだけど。
帰省するって言うから休みあげたんだよ?」 |
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鳴島
「そうそうそうそう。
帰省していたんですよぉ。
帰省していたんですよぉ」 |
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光一
「『海の幸』がどうの?
夏は海?」 |
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鳴島
「ああ、何と言いましょうか?
最近実家が引っ越したんですよぉ?
なんたら海の近くに?
なんたら海の近くに?」 |
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光一
「『帰省なんてしてないですよぉ?』」 |
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鳴島
「こ、言葉のあやというやつですねぇ。
帰省したとも帰省していないとも
申し上げたつもりはないですよぉ?」 |
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光一
「何をわけのわからない答弁を……
ブルドック顔の首相の答弁じゃないんだから」 |
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鳴島
「わかりましたぁ〜!
白状しますぅ!!
帰省を口実にしてぇ、
夏の浜辺で遊んでいましたぁ!」 |
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光一
「まったくやれやれ…………
『帰省して実家の母のお手伝いや
先祖の墓参りをしたいですぅ』
なんて書いておいて…………」 |
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鳴島
「そうでもしないと、
夏休みとれないじゃないですかぁ」 |
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光一
「ああ……なげかわしい……
お盆休みってこういうものかねぇ?
綾香君にちょっとでも幻想を抱いた私が
まったくもって愚かだったよ」 |
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鳴島
「マスターは
女の子に幻想抱きすぎですよぉ」 |
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光一
「いや、そんなに抱いてはいないぞ?
自分の彼女をきっちり見ているからね」 |
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鳴島
「そんなもんですよぉ?
女も男も大差ないもんですって。
性別じゃなくて、そんなのは
個人個人の性格ですよぉ。
男は女に訳の分からないイメージを押し付ける」 |
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光一
「というか君は、夏の浜辺を楽しんで……
って1人で楽しんでいたの!?
うわぁ……THE・寂しい女……」 |
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鳴島
「失ッッ礼ですねぇ!!
1人じゃないですよぉ!!」 |
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光一
「そうは言っても、
君、独り者じゃない?」 |
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鳴島
「浜辺に行けば
男なんて腐るほどいますよぉ。
適当に漁ってくれば良いんですぅ♪」 |
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光一
「うわぁ…………
今ので綾香君に幻想を抱いていたお客が
何割か離れたね…………」 |
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鳴島
「だって声をかけなくても、
男の方から勝手に声をかけてくるんですもん。
『君1人? 俺らと遊ばない?』
『夜は? 1人で寂しくない?』
『3P 4Pとか楽しまない?』」 |
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光一
「今の発言は、
何割かの女性を敵に回したよ?」 |
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鳴島
「まぁ…………
みんな私の胸ばっか見てるんですが」 |
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光一
「で、それら男と遊んでいたと?」 |
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鳴島
「晩御飯とか宿代もおごってくれますよぉ♪」 |
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光一
「…………それって…………」 |
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鳴島
「まぁ……夜に求められるのはイヤなので、
もぐりこんでくる度に半殺しにして
ベランダに吊るしてきましたけどねぇ」 |
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光一
「…………怖…………
声をかけた男の方が哀れに感じてきた」 |
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鳴島
「別に私、淫乱女じゃありませんし……
ひと夏のアバンチュールに
初めてをあげるほどには
私は色ボケしてないですよぉ」 |
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光一
「今、綾香君に抱いていた幻想を失った客が
何割か戻ってきたように感じた…………
自称20歳……正式24歳の社会人で」 |
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鳴島
「自称は余計!!」 |
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光一
「……20歳の社会人女性で
今時生娘なのって……
ある意味では……
絶滅危惧種ではないかね?」 |
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鳴島
「そんな大げさな…………」 |
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光一
「いやいや、国で保護すべきだよ!!
レディースまでやっていた君が!?
生娘!?
全然信じられないんだけど…………」 |
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鳴島
「だから大げさ…………
それと生娘って表現古いです」 |
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光一
「だって……高校卒業時の性交経験率って
今では40%以上なんだよ?
女子がそろそろ50%……
男子ですら40%台前半なのに……
それでいて社会に出て数年の君が……
うーん、信じられん…………
牛みたいな巨乳のクセに……」 |
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鳴島
「巨乳は余計!!」 |
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光一
「夏休み前にこちらが注意事項を言うと
今時の女子高生は…………
『ゴムつければセックスしていい?』
って聞いてくるようになったっていうのに。
いや、あれは恥じらいとかないのかねえ」 |
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鳴島
「うわぁ……それは何というか……」 |
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光一
「すいません。拝ませてください。
女の子への幻想はまだ抱いていて良いんだ」 |
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鳴島
「ちょ、気持ち悪い!!
拝まないで下さいよぉ!!」 |