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鳴島
「はあ……やれやれ」 |
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光一
「なんだね綾香君?
いきなりため息とは、
失礼ではないかね?」 |
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鳴島
「あきれているんですぅ」 |
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光一
「何にだね?」 |
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鳴島
「お盆中に……
しかもお盆初日……
ご先祖様をお墓に迎えに行く
13日に……コミケですかぁ?」 |
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光一
「いや…………それは」 |
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鳴島
「しかも親戚にはぁ
『勉強とか忙しくて』
と言い訳してあったとかぁ?」 |
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光一
「し、仕方ないだろう!!
付き合ってと言われてたんだから!」 |
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鳴島
「しかし何を考えて、
毎年毎年
お盆に実家にも帰らず、
お墓参りもせず、
昼間から同人誌なんかを
買い漁ってるんですかねぇ?」 |
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光一
「さあな…………
私は初参加だったし分からんよ。
そもそもだ……
何でお盆なんかにやってるのかね?」 |
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鳴島
「確かにそうですよねぇ……
何でお盆にやってるんですかねぇ?」 |
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光一
「あー…………他にもだ」 |
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鳴島
「んぅ?」 |
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光一
「あのコミケの会場……
滅茶苦茶混みあっていて、
暑いし疲れるし……
不快指数激高だったのだが……」 |
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鳴島
「夏真っ盛りの頃に、
数十万人ですからねぇ」 |
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光一
「小さい子供連れのお母さんを
結構多く見かけた」 |
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鳴島
「へぇ?」 |
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光一
「あんな…………
すぐはぐれそうな上、
子供の精神衛生上
絶対に良くないもの
を売っている会場に、
連れて来て良いのかねぇ?」 |
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鳴島
「確かにぃ……」 |
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光一
「見ていた感じ、
『大人になりきれていない子供』
が小さい子供を連れて、
同人誌を買い漁っているのは、
なんかねぇ…………」 |
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鳴島
「まあ確かに……
4,5歳くらいの子供を、
連れて歩くような環境では
絶対にない気がしますねぇ」 |
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光一
「コミケとか同人誌は否定しないよ。
同人くらい私も買ってるし……
でもねぇ…………」 |
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鳴島
「子供と一緒にいる場……
ではないですよねぇ」 |
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光一
「小さい子供の手を引きながら、
お母さん方が
『テニプリ』とか『ガンダム』
の『ボーイズラブ』を語り合うのって」 |
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鳴島
「マスターは、
子供できたら気をつけてくださいねぇ」 |
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光一
「さすがに子供の前で、
『ポニテー!』とか『巨乳♪』
なんて語らないよ。
子供の教育上絶対良くない!」 |
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鳴島
「そこらへんの自覚があるなら、
マスターは大丈夫そうですねぇ♪」 |
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光一
「いまいち、
誉められてるのか貶されてるのか……
よくわからん言い方だな」 |
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鳴島
「誉めてるんですよぉ♪」 |
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光一
「何だかんだ言ったって、
私も20代半ばだし……
就職と結婚を考える歳だからなあ」 |
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鳴島
「ま、それもそうですねぇ」 |
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光一
「少なくとも、
自分の子供には
私のようになって欲しくない!」 |
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鳴島
「マスターこそ、
自分のこと貶してるんだか何だか」 |
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光一
「いや何というか……
ヲタクには、
ならなくて済むならならない方が、
絶対に良い!!」 |
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鳴島
「まあ…………
こんな日記を公開している人が言うと
すごい説得力があるような無いような」 |
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光一
「いや…………
ある意味ヲタだから言える気がする」 |
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鳴島
「ほぉ?」 |
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光一
「コミケ会場で、
明らかに
『ハゲ・デブ・中年』
というタイプの人間が、
複数集まって18禁ゲームの本を
見せ合っていた……
万が一にも、
あんな大人になってはならんだろ?」 |
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鳴島
「そりゃ確かにイヤですねぇ……」 |
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光一
「私が持っているヲタへの偏見を、
そのまま体現している人も結構見たんだ。
絶対結婚とかできそうに無い上、
とりわけ老後が心配な人々が
すっごいいた…………」 |
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鳴島
「うーん…………」 |
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光一
「一方で、
ヲタと無縁そうな美形の人々や、
どう見ても一般人って人もいた……
むしろ、
こっちの方が多く見かけたがな」 |
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鳴島
「まあ…………
よくある『ヲタ』のイメージな人……
はさすがに少数ですよねぇ」 |
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光一
「それでも、
そういう人もそこそこいたから怖い」 |
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鳴島
「マスターはぁ、
ちょうどバランス取れてるから
まだ良さそうですねえ」 |
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光一
「そうだな…………
初めてコミケ行って思ったよ。
何事も重要なのは」 |
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鳴島
「バランスの取れた人間であれ♪
ってことですかねぇ」 |
セリオちゅわぁ〜ん!!!!
オタクは美しい!!!!
………………………
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光一
「素でこういう人を
たくさん見ちゃうとねえ……」 |
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鳴島
「ですねぇ…………」 |