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鳴島
「何言ってるんですかぁ、マスター?
また脳内お花畑ですかぁ?」 |
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光一
「いきなり冒頭からどういう暴言だね!?」 |
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鳴島
「いやだってですよぉ…………
『かつての私は女性が選り取りみどりだった』
って、どういう妄想ですかぁ」 |
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光一
「妄想で片付けられる話なのかね!?」 |
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鳴島
「いや、妄想でしょうよぉ」 |
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光一
「いや、私が女性陣を口説くような行動に、
そう行動に出ていたら…………
間違いなく女性を選び放題だった!」 |
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鳴島
「はぁ…………」 |
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光一
「なんで、あきれ顔なのかね!?」 |
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鳴島
「清香〜」 |
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清香
「なに、お姉ちゃん」 |
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鳴島
「マスターがね、かつての自分は
『女性を選び放題だった』
なんて言ってるんだけど、どう思う?」 |
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清香
「……………………
日本は思想信条・表現の自由がある国だから」 |
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光一
「ちょっと、それはどういう意味だね?!」 |
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鳴島
「マスターが思ってるなら、
そうなんじゃないですかぁ?
マスターの中ではぁ♪」 |
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光一
「それって私の妄想だと片付けたい、
そういう事ではないのかね!?」 |
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鳴島
「もう32歳どころか、
33歳も手が届く歳なんですからぁ、
そろそろ誇大妄想は止めましょうよぉ」 |
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光一
「妄想どころか、誇大妄想!?」 |
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鳴島
「それはマスターに好意的な対応してくれる、
そんな女性も多々いたでしょうがぁ、
それとこれとは話が別ですよぉ」 |
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清香
「相手がマスターを『好き』
って言ってるわけでないですしね」 |
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光一
「そりゃあ、確かに
『好きです』『付き合って下さい』
なんて言われてないけど…………」 |
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鳴島
「じゃあ、円満解決ですねぇ」 |
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清香
「じゃあ、仕事に戻ろう戻ろう」 |
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光一
「ちょっと君達!!
私のかつての栄光を、
全部妄想扱いでいいのかね!?」 |
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鳴島
「世の中の女子は、
そんなゲームの世界のヒロインみたいに
動いているわけじゃないですよぉ」 |
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清香
「良い思い出だった、でいいじゃないですか」 |
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光一
「良い思い出扱い!?」 |
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清香
「それに今更、
過去に戻れるわけじゃないですよ」 |
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光一
「それはそうだが…………」 |
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鳴島
「よし、問題解決ですねぇ♪」 |
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光一
「誇大妄想扱いされた、
私の心が救われてないんだけど」 |
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鳴島
「…………どう救えと」 |
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光一
「…………………
女子にモテモテの私になること」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「それは…………」 |
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清香
「ご自分の努力によってしか」 |
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鳴島
「というか、マスターは妻帯者なんですから、
何度も言いますけど、
今更、万が一に、万が一に
モテてどうするんですかぁ?」 |
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光一
「万が一を強調する必要あったかね?」 |
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鳴島
「億分の1の確率として、
モテてどうするんですかぁ?」 |
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光一
「万が一より確率が低くなってない?
いや、モテたら……ほら、
非常食的な?」 |
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鳴島
「妻帯者がそんなストック持ってどうするんですかぁ」 |
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清香
「現状維持が一番だと思いますよ」 |
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光一
「いや、人間進歩が大切だ!!」 |
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鳴島
「妻帯者がモテるための進歩して、
一体どこに向かうつもりですかぁ…………」 |