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光一
「いや、君には分からないかもしれないが、
しゃっくりが1日中止まらないというのは、
本当に恐ろしいんだぞ!!」 |
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鳴島
「まあ、さすがに…………
しゃっくりくらい、
私も子供の頃経験ありますがぁ……
1日止まらないなんてことは、さすがに」 |
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光一
「午前中に煎餅を食べてだ、
それもたったのひとかけらだぞ。
そしたらしゃっくりが出だして、
それで1日中止まらないの……
しかも、周囲にすごい聞こえるくらいに、
大きい音のしゃっくり…………」 |
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鳴島
「で、バイト先の人に笑われたと……」 |
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光一
「バイトなら笑い話なんだけど、
翌日からの学校での勤務は……」 |
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鳴島
「あ!?
学校でずっと『ひっくひっく!』言ってたら、
生徒さんたちに笑われますよねぇ」 |
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光一
「そうそう。
だから夜になっても、しゃっくりが止まらないときは、
本当に困り果てたよ…………」 |
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鳴島
「ま、翌朝起きたら止まってて
良かったですねぇ」 |
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光一
「まったくだ…………
危うく生徒たちに
『しゃっくり先生』
とか変なあだ名をつけられるトコだった」 |
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鳴島
「そのあだ名はちょっとヤ!?」 |
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光一
「まあ、あだ名はともかく、
しゃべるのも一苦労……
って位にしゃっくり出てたから、
あのまま続いていたら、
まともに授業できなくなるとこだった」 |
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鳴島
「しかしなんだって、
12時間以上も
しゃっくり続いたんですかねぇ?」 |
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光一
「私にも分からん。
そもそも横隔膜って
そんなに長くケイレンするのか?」 |
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鳴島
「子供がよくしゃっくりしますけどぉ、
それって普通
1時間以内に大体止まりますよねぇ?」 |
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光一
「ましてや大人がしゃっくりって珍しいのに、
それも12時間以上もねえ…………」 |
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鳴島
「それに……しゃっくりって
1日止まらないと死ぬらしいですからねぇ。
危うかったですねぇ♪」 |
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光一
「うあ!?
さらっと恐ろしい都市伝説を
しかも笑顔で言い放った!?」 |
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鳴島
「まあ、実際に止まったので
笑い話で済むからいいじゃないですかぁ」 |
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光一
「そりゃそうだが…………
しかし、一日続く……
が本当になりそうだったから、
その都市伝説はちょっと怖かったぞ」 |
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鳴島
「ま、原因がよく分からないということはぁ、
人間の為すワザではなく、
神様の為すワザだとでも
思うことにしますかぁ♪」 |
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光一
「何でそんなわけの分からんことを、
神様がするのかね?
仮に神がいるとして…………」 |
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鳴島
「そりゃあ、決まってますよぉ。
分かりません?」 |
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光一
「分かりません」 |
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鳴島
「おやおやぁ?
そんなんじゃ、
またバチがあたりますよぉ」 |
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光一
「そうは言われても、
私の普段の行いを振り返ったら、
確実に神様から褒美をもらえるはずだが。
これほどの好青年、そうそういまい?」 |
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鳴島
「あー、ダメダメですねぇ。
これはまたバチが下されるかも……」 |
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光一
「なぜかね!!」 |
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鳴島
「自分の行いに自覚がない……
というのは最大の罪ですねぇ」 |
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光一
「品行方正。
勤務態度も良好の私が?
何を悪いと自覚するのかね!」 |
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鳴島
「だってぇ、
マスター、自分の彼女さんに」 |
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光一
「私の彼女に?」 |
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鳴島
「彼女さんがお腹一杯になると、
よくしゃっくりするからぁ、
『シャコ! シャコ!』
ってバカにしてるんでしょ?」 |
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光一
「『よくしゃっくりする子』
だから略して『シャコ』とは呼ぶよ。
だって、子供みたいで面白いもの」 |
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鳴島
「立派な大人のレディーを、
子供扱い!?」 |
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光一
「まあ、そうだねえ」 |
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鳴島
「もう、マスターなんて天罰食らって
死んだ方が世のため人のため!」 |
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光一
「な!?
そこまで言われることか、これは!?」 |
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鳴島
「因果応報、信賞必罰!
悪いことをしたら、
必ず返ってくるんですよぉ」 |
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光一
「だって、こんなの
ただのコミュニケーションではないかね」 |
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鳴島
「マスター…………
少しは大人の女性の心も分かりましょ」 |
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光一
「いや、そこまで大袈裟かねえ……」 |
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鳴島
「…………そんなんだと、もう一度、
そのうちきっと痛い目に遭いますよぉ」 |