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光一
「…………と、いうわけさ」 |
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鳴島
「あらあら…………
もう片がついたかと思ってましたがぁ」 |
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光一
「ところがどっこい…………
I先生と私との間に勃発した、
『青シャツ戦争』は、
未だ終わっていなかったわけだ」 |
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鳴島
「今度はどうしたかと思えばぁ……
『ネクタイの柄が被っている』ですかぁ」 |
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光一
「うむ
戦争は別の箇所に飛び火したな」 |
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鳴島
「以前は、
『シャツの柄が被るから
青シャツは着てこないで欲しい』
という、マスターへの圧力があり……」 |
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光一
「結果として、
私は青シャツで出勤しなくなったが」 |
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鳴島
「今度はネクタイですかぁ。
大変ですねぇ」 |
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光一
「さすがに冗談とは言っているけどね」 |
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鳴島
「不安の種はつきないと?」 |
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光一
「そういうことだね。
相手は職場の上司だからねえ」 |
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鳴島
「じゃあ、こうしましょうよぉ!」 |
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光一
「ん?
何か妙案でも?」 |
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鳴島
「はい♪
例えばですねぇ……I先生を」 |
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光一
「『殺す』とか何とか、
そういう社会的にアウトなことを
もしも提案したら、そのときは
綾香君の頭を全力で叩きます」 |
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鳴島
「……………………!?
私からの提案は以上ですぅっ!」 |
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光一
「まだ何も提案してないではないか!」 |
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鳴島
「マスターが急に訳の分からない
条件を出してきたのでぇ、
提案しようと思ったことを忘れたんですよぉ」 |
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光一
「社会的にアウトな提案だったんだろ?」 |
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鳴島
「そそ、そんなことないですよぉ!!」 |
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光一
「い〜や…………
絶対そんな提案だっただろ?
さて…………叩くよ?
約束どおり、君を叩くよ?」 |
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鳴島
「あわわわわわ!!
あ、そうですそうですぅ!!」 |
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光一
「何?
やはり、さっきのは
社会的にアウトな提案だった?」 |
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鳴島
「ノーノーNoooooo!!
違います、違いますよぉ!!」 |
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光一
「素直に認めたほうが、
罪は軽くなるよ?」 |
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鳴島
「…………ためしに聞きますがぁ、
それはどのくらい?」 |
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光一
「グーで頭を10回叩くのを、
9回くらいにはしてあげるかもしれない?」 |
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鳴島
「ほとんど変わってないし、
断定形じゃないですよぉ!!」 |
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光一
「はてさて、そうかね?
じゃあ、ゲンコツ行くよ?」 |
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鳴島
「待って待ってぇ!!
本当の提案はですねぇ……」 |
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光一
「ふむ?
本当の提案は?」 |
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鳴島
「マスターがぁ、
I先生に自分と被らないシャツと
ネクタイを買ってあげるというのはぁ?」 |
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光一
「何で私が金銭的に負担せねばならん。
しかも、結局私と被らない色ということは、
一般的にサラリーマンが
選ばない色のシャツだぞ?」 |
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鳴島
「あー…………」 |
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光一
「そんなシャツやネクタイ…………
I先生が着用するとは思えん」 |
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鳴島
「じゃあ、マスターがぁ
自分用のシャツなどを沢山
あらゆる色で買いまくるってのはぁ?」 |
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光一
「だから、金銭的に負担したくないっての。
しかも、それだってI先生と被らない色選んだら、
私が一般的に着ない
シャツの色になるだろうが!」 |
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鳴島
「じゃあ、他にどうするんですかぁ?
マスターに妙案でもぉ?」 |
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光一
「幸い最近寒くなってきた。
もう、スーツの上着着だしたので、
そうそう下に着ているシャツの色とかは
気にならないのでは?」 |
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鳴島
「それだと、
結局逃げじゃないですかぁ。
問題が根本解決してませんよぉ。
それで秋冬は良いですけどぉ、
来年はどうするつもりですかぁ?」 |
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光一
「うーん…………
来年は来年の風が吹く?」 |
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鳴島
「ふぅ……………………」 |
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光一
「何だね!!
その『あきれたー』って感じは!?」 |
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鳴島
「ため息が吹いたんですよぉ」 |