登山
高校2年生当時
みなさん、山登りって経験ありますか?
実は私が高校生だったころの話なんですが、
私が通っていた高校では1年おきに
「山登り」
があったわけです。
つまり、
高校3年間で
2回登山する連中と、
1回しかしない連中がいるわけです。
私は幸いにも1回しかしないで済んだクチなんですけどね。
ちなみに、
私は「登山」で死に掛けた経験があります。
本当に一生を台無しにするところでした。
今回はそんなお話なんですよ。
今だから 笑って話す 昔かな 光一 |
さて、
登山において人が死んでしまうケースは皆さんも知っているでしょう。
冬であれば、
雪山遭難で行方不明になる話は毎年聞きますし、
夏や秋でもクマに襲われたり、ガケから落ちた話もありますね。
私たちの高校が「山登り」するのは、
確か10月……つまりは秋真っ盛りの時期なんですね。
つまり、
私が死に掛けたのは
「雪で遭難」
のケースではないわけです。
じゃあ、クマに襲われたのか?
ノンノン、違います。
自然を愛する好青年(当時少年)の私が、
友好関係にある獣たちに襲われるなどあり得ないことです。
※好青年だからって、そんなことはない。
さて、その山は茨城県の
「筑波山」
という山なんですよ。
標高は800メートルもありません。
ですから、
「登山」というよりは「山登り」ですね。
ただ、
私の高校から山のふもとまで約15キロくらい歩くんですよ。
まあ、これは友達と話をしながら歩くとあっという間です。
たいしたこともなく、まずは山から手前5キロの地点で休憩です。
みんな、水を飲んだりトイレに行ったりするわけですね。
さて、山の麓まで来ました。
ここからは急な坂道。
しかも、泥の道を進むわけです。
泥だらけの道に滑って……
そのまま……
転げ落ちた生徒は幸か不幸かいなかったのです。
転んで泥だらけになる生徒もいましたが、
幸いに大惨事には至りませんでした。
しかし
光一「は……はう……うぐぐぐぐ」
友達「光一、大丈夫か? 調子悪いのか?」
光一「はあはあ……う、ま、まあなんとか……」
友達「なんとかって……かなり顔色悪いぞ」
光一「上まであと10分ぐらいだろ? なんとかなるさ」
そう。
このときの私。
麓に来るまでは体調もよく、
友達と笑いながら歩いていたんですよ。
しかし、
山を登り始めてほどなく、
急速に顔からは血の気が引いて、
いつ「死ぬ」かわからない……
そんな状況になっておりました。
傍目に見ていても、
「かなりヤバイ」(友人談)
状況に見えたそうです。
低い山といっても、
「山登り」は山登りです。
ここまで15キロ歩いてきて、やや疲れていますし、
急な勾配と泥の悪路で、
体調を崩した私はさらにダブルパンチを受けていました。
どうしようもない激痛が私を襲っていました。
しかし、
山を登るためには力を込めて歩かざるをえない。
山の上まで到達しなくては、
休憩もなにもできないのです。
とにかく、なにがなんでも歩くしかない。
そうして、
本当に死に掛けながら目的地についた私は……
<約10分後>
友達「あ、もう大丈夫なのか?」
光一「ああ、どうにか死なずにすんだよ」
そう……
山道……
私はいきなり腹痛に見舞われたのです。
急速におなかが冷えていき、
ギュロロロロロロ……
光一「はう……」
グルルルルル……
光一「はうううう……」
といった不気味な低層音が奥底から響き渡る。
そのたびに悶絶する私……
トイレは山の中腹の目的地にしかない。
そこまで上らなければいけない。
しかし、
登るためには
足腰に
「力」
を入れて歩かなければいけない。
しかし!!
お分かりのことと思いますが……
力を込めて歩けば歩くほど、
辛うじて排泄物を食い止めている尻の穴が……
そう尻穴が開放されそうになる。
この二律背反する状況にひたすら耐えなくてはいけない。
もし、
もしも、
こんな全校生徒が山を登っているところで
「漏らす」
ものならば……
私は翌日から学校に行けません。
社会的には抹殺です……
よって、
私はこらえたこらえたこらえた!!
あの、
山を登りきって、
そうしてトイレに並び、
さらに5分間も空くのを待ったあの苦痛!!
そうしてドアを開けて放出しきったあの
爽快感!!
解放感!!
人生最大の危地を脱した至福の空間(IN山のトイレ)
私は……
雪山遭難でもなく、
獣に襲われるでもなく、
悪路で道を踏み外して転落するでもなく……
山登り中の突然の
「ゲリ(下痢)」
によって死に掛けました。
まさに……
死地から奇跡の生還をするとはこのことである!!
そう思わざるを得ませんでした。