暴走族(珍走団)!?
小学三年生時

 どうも、光一です。
 そういえば最近は、
 「暴走族」を「珍走団」とか呼ぶらしいですね。



 しかし、暴走族が非常に多く、
 かつ彼らが周囲で暴れまわる環境で育った私にとって、


 「珍走団」

 というのは響きが悪い……というか耳慣れない言葉です。
 周りの人でも


 「ああ、昨日は珍走団うるさかったなー」

 って言う人いませんし。





 「昨日は族車100台くらい来てたねー」

 「たく、暴走族うるさくてさー」

 といった会話の方が日常的です。
 うん。
 最近は減ってきたんですが、
 決まって土曜日の夜中に、
 ウチのすぐ前を、
 100台くらいの族車が列を成して爆走するんですよ。
 うるさいんですけど…………。






 というか、田舎の何もないところを、
 100台あまりで爆走するって……何が楽しいのか?






 さて、
 そんな私が小学校の頃は、
 今以上に「暴走族」が動き回っていました。
 小さい頃から、周囲に族がいるような環境。
 自分の出身中学からも族がポロポロ出てくる位ですからね……






 さて、小学校時代のある日、
 親友Aの家で、友達たちと遊んでいました。
 ああ、Aは以前に「ロケット花火」の話で出たAです。
 もしくは、一緒に畑のネギを
 「一本残らず抜いて来た」ことのある友人です。






 彼の家から、私の当時の家はかなり近く、
 私は一旦帰宅しようとしました。
 で、彼の家を出て、
 路地を曲がる。
 そこから100メートルも直進すれば、
 私の住んでいたアパートでした。































 怖そうな兄ちゃんA「…………」

 怖そうな兄ちゃんB「…………かぁー」

 怖そうな兄ちゃんC「………ぺっ」

 怖そうな兄ちゃんD「…………ぁ」









 光一「………………」




















 ママン、ママン!!

 助けてママン!!

 家の前の自販機に、

 怖そうなお兄ちゃんがたむろしてるよ!!










 しかも、
 彼らのすぐ傍には、
 子供の視線ではよく分かりませんでしたが、


 バイクらしきものがある…………

 そして、自販機の前に

 うんこ座り

 をして、

 ジュースをだるそうに、

 しかし、目のギラギラさは失わずに……




















 ママン、ママン!!

 家の前の自販機に、

 族の連中がたむろしているよぉ!!

 だって、

 昼間から自販機の前で「うんこ座り」だよぉ!!

 こんなの、

 ツッパリ(不良)か族しかいないよぉ!!





 え?

 この現象って、茨城だけじゃないですよね?

 全国区でありますよね?

 まあ、私の体験なんて、80年代の体験ですけど……










 とにかく、子供だった私はそう認識し、
 友達の家に引き返しました。
 当時の私には、
 彼らを無視して、家に入るなんて、
 怖くてできませんでしたもの……











 友達のA君たちに、


 光一「家の前に族がいて、

   怖くて帰れないよ!!


 と訴えました。
 すると、A君。






 A君「よし!!

   俺たちがついて行ってやるぜ!!





 ああ、A君…………
 やっぱり君は頼りになるなあ…………


























 A君「だってさあ、

      暴走族を目の前で見るなんて、

   こんな面白いこと滅多にないじゃん!!










 そっちかよ!!





 面白がるために見に行くのかよ!!

 私の安全は二の次かよ!!










 頼もしく見えたA君が、

 急速に、

 無謀なオバカさんに見えてきた瞬間でもありました。










 ともあれ、
 5人ほどで連れ立って、
 自販機の前の「族」の所まで行きました。











 向こうは4人。
 こっちを見ていますが、
 何も言って来ません。





 いや…………見られているだけでも怖い。

 なんか、目の輝きが常人のソレじゃあない!!










 碇ゲンドウ

 「問題ない…………」




 嫌ぁぁぁぁ!!

 問題になりすぎるくらいに怖い!!









 と、彼らは見ているだけで何も言ってこない。
 それはそれで、


 

 「……(無言)……」

 十分に不気味でしたが、裏返せばチャンスでもある。
 このスキに、私は目の前の家に入ろうと…………































 A君「おじちゃんたち、

    何してんの?」










 この大馬鹿野郎!!










 あろうことか、
 刺激しなければそのまま進めたのに。


 こっちから刺激してどうするんだよ!!

 私は心の中で叫びましたが、
 A君はそもそも


 「こんな面白いこと滅多にないじゃん!!」

 と言ってました。

 暴走族にちょっかいをかけようとしている事は明白!!










 案の定。
 向こうの4人が一斉にこちらを向きます。


 楽しそうな顔をしているA君。

 そしておそらく、

 死にそうな顔で、青ざめていただろう少年時代の私。

 4人組の一人が、
 口を開けて…………































 怖そうな兄ちゃんA「おう。俺たちが何をしてるかって?

             そりゃあ、見れば分かるだろ?










 分かります!! 分かります!!


 私はわかっているから怖いです!!


 A君も分かっていて、

 からかう為に聞いているのですぅ!!


  ひいい、殴らないで殴らないで殴らないで…………

 ひいい、殴らないで殴らないで殴らないで…………
 ひいい、殴らないで殴らないで殴らないで…………
 ひいい、殴らないで殴らないで殴らないで…………












 怖そうな兄ちゃんA「俺たちはなぁ…………











          新聞配達員をしているんだよ










 A君「へぇー、このバイクで配るのか?」





 A君!!

 もういいから黙れって!!

 まずは、私を家に帰らせろって!!










 怖そうな兄ちゃんB「ああ、そうだよ」


 怖そうな兄ちゃんC「配り終わって、

             こうしてジュース飲んでるのさ」










 どこの世界に、

 昼下がり時に「新聞配達」している人がいるんだよぉ!!

 新聞配達員はそもそもだなあ、

 スクーターとかに乗ってるもんだろ!!

 少なくとも、

 ギンギラギンに装飾されたバイクに乗らないって!!

 誰がそんな奴が配る新聞を購読するんだよ!!










 私の頭の中では、

 赤いサイレンランプがぐ〜るぐ〜る回っては、

 逃げなきゃ駄目だ!!逃げなきゃ駄目だ!!逃げなきゃ駄目だ!!
 逃げなきゃ駄目だ!!逃げなきゃ駄目だ!!逃げなきゃ駄目だ!!
 逃げなきゃ駄目だ!!逃げなきゃ駄目だ!!逃げなきゃ駄目だ!!
 逃げなきゃ駄目だ!!逃げなきゃ駄目だ!!逃げなきゃ駄目だ!!
 逃げなきゃ駄目だ!!逃げなきゃ駄目だ!!逃げなきゃ駄目だ!!


 を何度も繰り返していました。






























 A君「そうか。

    新聞配達員か。

   がんばれよ!!










 ちょっと待て!!

 今の信じちゃう? 信じちゃうの!?










 怖そうな兄ちゃんA「ああ、お前もな」










 あれ? そんな拍子抜けでいいの?










 ともあれ、よくわかりませんが、

 「自称『新聞配達員』の『暴走族』」

 は、我々を見逃してくれたのでした。





 ……なんだったんだろ、あれは……

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