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鳴島
「マスター。
ぐっもーにんですぅ♪」 |
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光一
「はい、おはよう」 |
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鳴島
「さー!!
今日も一日お仕事がんばりましょう♪」 |
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光一
「ふぁぁぁ……はぁい」 |
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鳴島
「ってやる気を削がないでください!」 |
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光一
「仕方ないではないかね。
昨夜はほとんど寝ていないのだ」 |
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鳴島
「だからって、朝イチくらい
シャキッツ!!
としてくださいよぉ」 |
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光一
「そう言われても、
眠いときにあくびが出るのは
生理現象なのだから仕方ない」 |
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鳴島
「せっかく私が珍しく
仕事はりきっていたのにぃ……」 |
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光一
「あ、言われればそうだね。
君が仕事を張り切って……
何を食べたの?」 |
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鳴島
「どういう意味ですかぁ?」 |
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光一
「いや、勤労意欲に乏しい君が、
珍しく意欲を見せているので……
頭がとうとう変になっちゃった?」 |
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鳴島
「せっかくやる気の出た人を……
何でそうやって茶化しますかぁ……」 |
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光一
「いやいや、すまんすまん」 |
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鳴島
「そういえばぁ、
何でさっきから眠たそうなんですかぁ?」 |
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光一
「一晩中考え事をしていたのでね」 |
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鳴島
「お? 何をですぅ?」 |
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光一
「うんとね。
『最適な殺し文句』について」 |
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鳴島
「あ、そうですかぁ…………」 |
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光一
「何だね!!
何か言いたそうではないか?」 |
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鳴島
「いや……殺し文句って……
さっき私のやる気を削いでる時点で、
たかが知れたものしか
考え付いてないのでは?」 |
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光一
「むあ!!
失ッッ礼だね、君は!!」 |
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鳴島
「だって殺し文句って、
『相手の気持ちをひきつける』
『決定的な一言』
って意味合いですよねぇ?」 |
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光一
「そうだね」 |
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鳴島
「じゃあ、せっかくやる気になっていた
私の気持ちを引き離した時点で
すでにグダグダじゃないですかぁ」 |
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光一
「う、うるさいな。
私が考えていたのは、
『女性に対する最適な殺し文句』
だから、この際仕事の話はいいだろ」 |
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鳴島
「仕事はどーでもよくはないけど……
まあ、いいや。
で、何で急にそんなのを考え始めたんですかぁ?」 |
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光一
「おうおう。聞いてくれたまえ。
今日の日記にも書いてあるが、
私の彼女に究極の殺し文句が効かなかった」 |
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鳴島
「うわ!?
くだらない…………」 |
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光一
「どこがくだらないのかね!!
自分の最愛の女性に対する言葉を
気にかけることのどこが!?」 |
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鳴島
「いやぁ…………
彼女さんにかけたセリフも含めて……
…………マスターの存在自体全部?」 |
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光一
「ムカァァァァァ!!!
失礼なぁぁぁ!!!」 |
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鳴島
「マスターの価値観が古いというよりも、
彼女さんの言うとおり、
お寒いですよ、マスターの殺し文句」 |
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光一
「どこがだね、何故だね!!」 |
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鳴島
「全部♪」 |
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光一
「むがぁぁぁぁ!!」 |
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鳴島
「いやだって…………
『君は最大の戦犯だ』
『私の心を惑わしたのだから……』
どこのエロ小説の帯ですか?
どこをどう聞いても寒いですよ?」 |
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光一
「なんだとぉぉ!!」 |
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鳴島
「そろそろ秋めいてきて、冬も近づき……
寒くなる季節に、
より一層寒気を加えないで下さい」 |
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光一
「ぬぅぅぅぅ…………
そこまで言うかね!!」 |
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鳴島
「言いますよぉ♪」 |
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光一
「ムキィィィ!!!」 |
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鳴島
「で、昨晩徹夜で考えたとかいう、
『最適の殺し文句』とやらはぁ?」 |
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光一
「ああ、これを聞けば…………
もう、お寒い殺し文句とは言わせない」 |
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鳴島
「はいはい。それで?」 |
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光一
「まず彼女をバーに誘うだろ?」 |
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鳴島
「あー、バーとか良いですねぇ♪
私もお酒好きぃ♪」 |
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光一
「君の趣味はどーでもいいよ。
そこでグラスをかたむけながらこう言う」 |
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鳴島
「ふむふむ」 |
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光一
「…………
銃を突きつけられるたびに
1セント貰っていたら、
今頃大金持ちだぜ」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「どーよ?」 |
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鳴島
「あれ!?
今、どこかに殺し文句ありました!?」 |
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光一
「あっただろーよ!!
格好良いだろうよ!!」 |
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鳴島
「マスター?」 |
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光一
「なに?」 |
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鳴島
「一言で言って、わかりにくいです」 |
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光一
「どこが!!
銃を突きつけられるたびに
1セントもらっていたら大金持ち!!
すごい格好良いじゃん!!」 |
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鳴島
「どこぞの西部劇ですかぁ?
マスターは世代や価値観が古いんじゃなく、
単にセンスがないだけですよぉ」 |
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光一
「むかぁぁぁ!!
人の努力を!!」 |
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鳴島
「センスが無いんだから
余計なこと考えない。
今夜からはゆっくりお休みくださいね♪」 |