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光一
「おはよう。綾香君」 |
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鳴島
「……はにゃっ!?」 |
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光一
「はにゃっ……ってなんだね?」 |
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鳴島
「あー、おはようございまふぅ……」 |
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光一
「仕事中に居眠りって……」 |
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鳴島
「だってぇ…………
眠かったんだもん……」 |
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光一
「あー、もう!!
開店前なのに、
店内の掃除全然終わってない!!」 |
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鳴島
「眠くて……ついつい……
テーブル席でウトウト……」 |
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光一
「ちゃんと給料払ってるんだから、
しっかり働いてよ!!」 |
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鳴島
「だってぇ…………」 |
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光一
「だってじゃないでしょ!!
まったく…………
はい、急いで掃除!!
あー、もう……開店時間まであと少し」 |
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鳴島
「むぅ……わかりましたぁ。
私が悪かったですぅ!
掃除しますよ、掃除…………」 |
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光一
「だぁ!!
開店前から仕事サボッた上に、
こんどはふてくされて……」 |
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鳴島
「だってぇ…………」 |
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光一
「私だって眠くても、
仕事中に寝たりはしないぞ!」 |
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鳴島
「昨夜忙しかったから、
閉店時間遅かったし…………
おかげであんまり寝てないし」 |
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光一
「それは経営者の私もそう!
理由にならないよ、そんなの」 |
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鳴島
「むぅぅぅぅ!!
もう少し優しく言ってくれたってぇ」 |
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光一
「そう言っている間に時間が過ぎる!
はい。早く掃除掃除!!」 |
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鳴島
「はぁい……ふぅ……」 |
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光一
「はぁ、忙しい忙しい……
えーっと……」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「こっちの仕込みは終わってるから……」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「えーっと……食材が……」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「ふぅ……なんとか開店」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「おーい、綾香君」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「おーい、聞いているのかね!」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「お、掃除は終わったようだね。
聞こえたなら返事をしたまえ」 |
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鳴島
「はい。掃除終わりましたぁ!」 |
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光一
「おーい…………もう開店なのに、
ウェイトレスがふてくされてたら……」 |
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鳴島
「別に……ふてくされてないもん」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「……………………」 |
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鳴島
「というようにぃ、
私が仕事中に不始末をしたり、
居眠りをしたり…………」 |
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光一
「……………………」 |
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鳴島
「それでマスターの負担が多くなっても、
叱り方によってはぁ、
店の雰囲気が悪くなるじゃないですかぁ♪」 |
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光一
「ふむ。それで?」 |
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鳴島
「まあ、コミュニケーションの問題……
というか努力というか……
同じ状況でも言い方一つで
看板娘の私の効果が異なるのでは?」 |
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光一
「ふむふむ」 |
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鳴島
「疲れて居眠りをバックヤードで続けていた私。
マスターは優しく、
『疲れてたんだね。
パフェでも食べて疲れを取りなさい』
とでも声をかけると、
労働意欲も増すというものですよぉ♪」 |
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光一
「なるほど」 |
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鳴島
「コミュニケーションの努力によって、
職場の環境もよくなるということですねぇ」 |
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光一
「よーく、分かったよ」 |
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鳴島
「そうですかぁ♪
よかったぁ♪」 |
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光一
「だからといって、
『寝坊しましたぁ♪
6時間ほど遅刻しますぅ♪』
などと…………
通じるわけがあるか!!」 |
ゴン!!!!
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鳴島
「みぎゃぁぁぁ!!
ゲンコツが……ゲンコツが……
私の頭にぃぃぃ…………」 |