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光一
「んー…………」 |
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鳴島
「マスター、おはようございますぅ♪」 |
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光一
「うむ。おはよう」 |
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鳴島
「何なに、何ですかー?
何か考え事ですかぁ?」 |
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光一
「うむ。ちょっとね」 |
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鳴島
「何を考え中ですかぁ?」 |
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光一
「いやー……まあ、いいや」 |
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鳴島
「何ですかそれはぁ」 |
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光一
「君に話しても仕方がないし」 |
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鳴島
「余計に気になるじゃないですかぁ」 |
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光一
「いやー、君って基本的にアレだよね、
おバカなわけじゃないか」 |
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鳴島
「いきなり何を言いますかぁ!」 |
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光一
「あ、失礼。正確にはさ、
天然ボケのおバカ娘なわけじゃないか」 |
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鳴島
「失礼な!!」 |
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光一
「まあまあ、最後まで聞きたまえ。
天然ボケのおバカ娘と言う事はだ」 |
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鳴島
「お客さんに私がそう思われかねないので、
連呼しないでください!!」 |
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光一
「まあ、ということはだ…………
普通は裏返しとして純粋というか……
もっと素直で良い面があるハズなのだよ」 |
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鳴島
「私は十分素直な娘だと思いますけどぉ?」 |
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光一
「本当にそうなら自分で言わないだろ」 |
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鳴島
「だって事実ですしぃ…………
と、一体何が言いたい話なわけですかぁ」 |
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光一
「いやー…………
実は私、昔は女子高生に偏見を持っていたのよ」 |
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鳴島
「女好きのマスターが?」 |
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光一
「……………………
著しく誤解を招きかねないので止めなさい」 |
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鳴島
「事実じゃないですかぁ…………」 |
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光一
「しかしね、3年前にそんな私の偏見を打ち破る……
まさに革命的な出来事があったのだよ!」 |
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鳴島
「どんな出来事ですかぁ?」 |
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光一
「ほら、女の人ってブランド品好きじゃない。
グッチとか、シャネルとか、ルイ・ヴィトンとか」 |
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鳴島
「誰しもそうなわけじゃないですが……
男性だってブランド好きいますよね?
それと同じだと思いますけどぉ…………」 |
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光一
「まあまあ、だから偏見だって言ってるじゃない。
だから、例えば女子高生なんかにとっては、
上記のブランド品は憧れなのかなと思ってたのよ」 |
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鳴島
「まぁ、憧れている女の子もいるのではぁ?
私は使えれば特に何もこだわりませんけどねぇ」 |
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光一
「満員バスの中でさ、しかも雨の日の蒸した車内で、
女子高生がたくさん乗ってきてうるさくて……」 |
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鳴島
「あー、たまにありますよねぇ」 |
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光一
「女3人で姦しいとはよく言ったなあと。もっといたけど。
そういえば男2人と女1人で嬲るだよね?
そういうプレイを表した漢字……?
表意文字って素敵だね♪」 |
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鳴島
「いきなり何を言い出しますか!?」 |
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光一
「ああ、すまんすまん。話題が逸れたね。
それで最初ウザイなーと思っていたのよ。
ただちに押し倒して黙らせたいくらいに」 |
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鳴島
「…………後半気になりますが、
まあ、バスとかで騒々しいのは気になりますよねぇ」 |
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光一
「そうしたらバスの窓に新築された百貨店が見えて
その1Fがブランド店で固められているせいで、
入口にデカデカと『LOUIS VUITTON』ってあったのよ」 |
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鳴島
「あー、ルイ・ヴィトンですかぁ!」 |
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光一
「私、彼女連れて一回ルイ・ヴィトン見てきたけど、
携帯ストラップが何で5万とか7万円もするの?」 |
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鳴島
「高ッ!!!!」 |
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光一
「そういえば日本の携帯電話会社か何かが、
ロシアで金銀ダイヤデコレートの携帯とか売ったらしいね。
1台100万円以上したらしいよ」 |
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鳴島
「うわぁ…………」 |
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光一
「金持ちのところにお金は集まるんだよなあ……
もっとお金の使い方を考えろと思うけどねえ」 |
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鳴島
「まったく金持ちなんて死滅すればいいのに……」 |
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光一
「…………綾香君、
金持ちになんか悪い思い出でもあるの?」 |
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鳴島
「…………別に」 |
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光一
「まあ、いいや。話題を戻そう。
そうしたら女子高生達は何て言ってたと思う?
日記に書いてあるんだけどね…………」 |
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鳴島
「ええっ!?
『ロウイス・ヴイトン』って読んでたんですかぁ?」 |
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光一
「バスの中で連呼していたよ。
ブランド自体は彼女たちもよく知っていると思うんだけど、
すごいねえ………………
きっとモノグラムにされたロゴなら分かるけど、
ブランド名をローマ字で並べられると読めないんだね」 |
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鳴島
「海外で偽ブランド品買わされそうですねぇ」 |
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光一
「あの瞬間…………
ブランド品に凝り固まる女子高生
そんな偏見は雲散霧消したね!!
きっと彼女らはルイ・ヴィトンの何たるかなんて知らない。
フランスなんて月の裏側にあると思ってるよ、多分!
その後の連呼はなんだか……バカっぽくて可愛かった!!」 |
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鳴島
「はぁ…………」 |
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光一
「いやー、この田舎的な純朴さがたまらないね。
きっと東京の女子高生なら普通に読める。
まあ、これも偏見だけど」 |
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鳴島
「まあ、分からなくもないですけどねぇ」 |
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光一
「それに比べたら…………
ルイ・ヴィトンのローマ字表記を迷わず読むなんて……
それでも天然ボケのバカ娘かね?
もっと自覚を持ちたまえ!!
もっと純朴な田舎娘になるべきだ、君は!!」 |
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鳴島
「ひどい言われよう!!」 |
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光一
「あー、純粋純朴とは良いものだ……」 |
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鳴島
「そうですかねぇ…………」 |
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光一
「え? どこか異論があるかね?」 |
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鳴島
「マスター見ていると、
純粋な人ってなんだか……ちょっと」 |
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光一
「どういう意味だね!?」 |
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鳴島
「純粋って言葉…………
『欲望に純粋』とかって意味合いでは
非常に印象が悪いというか……
その意味でマスターは…………
『純粋に女性の身体が好き』というか……
『純粋に女性の身体を求めたがる』というか……
まあ、とっても印象悪いな〜と…………」 |
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光一
「ストレートで清々しいではないか!!
下手に何か企んでいるよりも正直で良いだろ!
君は私とベッドインしたい?
イエス・オア・ノー? たった2択だよ!」 |
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鳴島
「時と場合と…………イケメン?
マスターが若いイケメンならいいけど……
どっちかというと三枚目だし…………」 |
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光一
「何だね、それは!?
イケメンは欲望に純粋で良いのに、
そうでなければダメだというかね!
まさに身体差別、身体差別ではないかね!!」 |
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鳴島
「好意的にとらえれば、少なくともマスターは
ナンパ師とかには見えないって事ですよぉ♪
褒めてる褒めてる♪」 |
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光一
「絶対三枚目は褒め言葉じゃない……」 |