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光一
「ふー、もう11月も終わりか。
あっという間に2011年も終わるなあ」 |
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鳴島
「そうですねぇ」 |
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光一
「もう元旦まで40日もないもんねえ」 |
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鳴島
「お年玉の日まで、あと40日もないですねぇ」 |
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光一
「お年玉の日って…………
子供の認識じゃないんだから」 |
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鳴島
「あながち間違っていないと思いますけどぉ」 |
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光一
「まあ…………と、今年も残り少ないけど
やり残したことが多い年だったなあ」 |
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鳴島
「毎年そんな事言っている気がしますがぁ」 |
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光一
「そういう君はどうなのかね?」 |
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鳴島
「私はやり残した事なんて
ほとんど無いですよぉ」 |
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光一
「へー、じゃあ2011年はどんな事
やりたいと思ってきたの」 |
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鳴島
「特になしでしたけどぉ。
特に無いんで、やり残した事もないですけどぉ」 |
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光一
「…………それもどうなんだね?」 |
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鳴島
「いいじゃないですかぁ。
やりたい事沢山並べてぇ、
結局何も出来なくて凹んでいるマスターより、
よっぽど精神的には健康ですよぉ」 |
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光一
「どうなんだろ……どっちが良いのかねえ」 |
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鳴島
「せっかくなら、マスターは
来年に向けての目標でも考えたらどうですぅ?」 |
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光一
「来年の目標ねえ…………」 |
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鳴島
「色々あるじゃないですかぁ」 |
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光一
「まあ、例えばあれかなあ……」 |
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鳴島
「何ですかぁ?」 |
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光一
「来年こそ宝くじで億単位の当選金を獲得して、
老後までの経済的不安を解消したいよね」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「何だね、その微妙な表情は!!」 |
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鳴島
「当たる確率が、何千万分の1のような
そんなものに将来の計画をかけるのも
どうなんですかぁ?
そういえば宝くじ買ったときに、当たってもいないのに
色々考えてましたよねぇ?」 |
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光一
「当たらなくても、
そんな大きな損失にならないんだから、
目標として悪くないではないかね!!」 |
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鳴島
「目標って達成できるものを
あげるんじゃないですかぁ……
マスターは別の目標を掲げた方がいいですよぉ」 |
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光一
「例えば?」 |
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鳴島
「日本語をしっかり勉強し直して、
正しい言葉を使えるようになる……はどうですかぁ?」 |
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光一
「はぁ!?
私のどこに日本語を勉強し直す余地があると?」 |
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鳴島
「ありまくりじゃないですかぁ……」 |
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光一
「どこにだね?」 |
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鳴島
「奥さんとの会話でマスター……
自分の事を『イケメン』って言ってたらしいですねぇ」 |
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光一
「だってそうだろ!!」 |
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鳴島
「その時の奥さんの反応……どうだったんですかぁ?」 |
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光一
「『イケメンなんてどこにいるの?』とか……
夫を否定するような言葉ばかり発してきたね。
全く……どういうつもりなのかねえ……」 |
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鳴島
「100人に聞いたら…………
『マスターこそ、何を言ってるの?』
って回答が100人から返ってきますよぉ」 |
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光一
「はぁ!? ホワイ!? どうして!?」 |
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鳴島
「だから、ちゃんと日本語勉強し直した方がぁ。
イケメンって……日本語で美男子を指す言葉ですよぉ?
一般的に美形で顔がカッコイイ男の人ですよぉ?」 |
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光一
「うん、知ってるよ」 |
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鳴島
「……………………」 |
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光一
「なんだね?」 |
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鳴島
「マスターに必要なのはぁ、
日本語の勉強じゃなくてぇ、
別の……意識改革ですかねぇ……」 |
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光一
「どういう意味だね!!」 |
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清香
「さっきから何を話し合ってるんですか?」 |
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光一
「いや、来年に向けての目標の話をだね」 |
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清香
「目標といえば、お姉ちゃん。
お店の食器を1つも割ったりしないって目標は、
結局達成できなかったねえ」 |
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鳴島
「なっ…………」 |
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光一
「あれ? 綾香君。
さっき聞いたとき、『今年は何も目標立ててないから、
やり残した事は無い』って言ってたよね?」 |
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清香
「あれ? 今年の初めに、
今まで毎日のように店の備品を壊してきたから
今年は1つも壊さないって言ってましたけど?」 |
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鳴島
「あー…うー………」 |
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光一
「綾香君の来年の目標は、
自分に都合の悪いことを隠さないって事でどうかね?」 |